6. これはもう別格。カヌレを超えたカヌレ「シーン カズトシ ナリタ」

Photo by macaroni

下段中央が「シーン カズトシ ナリタ」のカヌレ
最後に、これまで出会ったなかでもっとも衝撃的だったカヌレを紹介します。

麻布十番にある「Scene KAZUTOSHI NARITA(シーン カズトシ ナリタ)」のカヌレです。ほかのと比べるとその大きさがわかると思いますが、ナリタのカヌレは親指ほどの太さ。ところが、その食感と味わいは群を抜いています。皮はカリカリ。けれど、芯はカスタードクリームのような食感。初めて食べたとき、こんな小さいお菓子に、硬い皮と、なめらかな舌ざわりの芯が同居していることに蒙を啓かれました。

小さいカヌレ型で使っているので、短時間で焼いているはず。けれど、ある程度しっかり焼かないと皮がカリカリにならない。かといって焼きすぎると、芯がカスタードクリームのように仕上がらない。相反する要素を、この極小のカヌレで両立させるにはそれ相当の技が必須のはず。

「一般的なサイズのカヌレは45分程で焼きますが、うちのは30分ほどで焼き上げます」と成田一世(なりた かずとし)シェフはいいます。

Photo by macaroni

「シーン カズトシ ナリタ」のカヌレ 1個 346円(税込)
ナリタでは每日2回、9時と15時にカヌレを焼いています。それはなぜなのか。

「できるだけ焼きたてを食べてほしいから。買ったら店の外で食べてほしいぐらいです。でも、持ち帰ったらリベイク(焼き直し)してください」

大きいと劣化が遅いものの、リベイクに時間がかかります。

「だがらミニカヌレにしました。小さいと短時間でリベイクできて、おいしく食べられます」

温めておいたオーブン、またはオーブントースターで2~3 分リベイクしてほしいと成田シェフはいいます。

「リベイク直後はやわらかくなるので冷まし食べてください」

成田シェフがリベイクしてくれたカヌレをいただきました。カリッとした薄い皮を噛んだ瞬間、まだ薄っすらと温かいクリームが、口のなかではじけ、プリンかクリームパンを食べているような錯覚におちいりました。

成田シェフのカヌレは小粒なのに、圧倒的な存在感があります。カヌレを超越した、成田シェフの作品を舌で鑑賞したければ、9時か15時に麻布十番へ行くか、リベイクしてください。

店舗情報

これからも「カヌレ道」を邁進します

これまで50個ほどのカヌレを食べていますが、基本的にはカヌレ・ド・ボルドーと呼ばれる伝統的なお菓子を選んできました。フランスのリヨンで料理修業をしていた知人によれば、カヌレはフランス全土にはまず存在しないそうです。ボルドーを中心に、フランスの西側からパリにかけてしか販売されていないと教えてもらいました。

ボルドー生まれのカヌレが日本に上陸し、各地で焼かれています。カヌレ好きとしては嬉しい限りです。今後もカヌレを食べる「カヌレ道」を続けていこうと思っています。

取材・文/中島茂信

※ 記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします
Photos:15枚
カッティングボードにカヌレが6つ並んでいる
トレーに直置きされたカヌレ4つ
パロラのカヌレ 1個 324円(税込)
パロラのカヌレの断面
アルカションのカヌレ 1個 230円(税込)
「アルカション」のカヌレの断面
ブルトンヌのカヌレ 1個 216円(税込)
ブルトンヌのカヌレの断面
BGMのカヌレ 1個 400円(税込)
「BGM」のカヌレの断面
ダンラポッシュのカヌレ 1個 300円〜(税込)
「ダンラポッシュ」のカヌレの断面
ダンラポッシュのカヌレを包んだパッケージ
カットボードに6個のカヌレが2列に並んでいる
一覧でみる
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。
この記事に関するキーワード

編集部のおすすめ