ライター : 丸山夏名美

食いしん坊ライター/料理研究家

筍がおいしい季節がやってきた!

芳しい香り、ほんのりとした苦味と自然な甘味、シャキシャキの歯ごたえ……。自然の恵みで育つ筍は春から初夏まで採ることができる、まさに今が旬の食材です。年間を通じて水煮加工されたものを食べることができますが、自分の手で収穫してみたい!そこで、新鮮な筍を求めて筍狩りに行ってきました。

ガイドの方に聞いたおすすめの食べ方や保存方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

東京都内でも筍狩りができる!

Photo by Kanami Maruyama

今回訪れたのは、東京都西多摩郡の檜原村。都内とは思えないほどの豊かな自然に囲まれた森林と渓谷の村で、パワースポットといわれる場所がいくつもあります。その檜原村が運営するサイトで筍狩りのエコツアーを発見したので、参加してきました。

Photo by Kanami Maruyama

ガイドをしてくださった細貝和寛さんは、この土地の魅力に惹かれ2016年4月に新潟県から移住してきたそう。筍だけでなく檜原村で育つ山葵(わさび)、稲、梅などのエコツアーも開催しています。

今回の参加者は私を含めて大人5人。急斜面の竹林の中に見え隠れする筍を探して掘り出します。筍は狩ってからどんどん水分が抜けてエグ味が出てくるため、おいしくいただけるのは2、3時間だそうです。筍狩りのあと、新鮮な筍を使ってお昼ごはんを作ります。

<スケジュール>

10:30 集合・移動

10:45 筍狩りの説明/ガイド

11:00 筍狩り体験

12:00 山菜狩り(お昼ごはん用)

12:30 火起こし・ご飯作り

いざ!新鮮な筍を求めて筍狩りへ

Photo by Kanami Maruyama

安定した場所でレクチャーを受け、鍬(くわ)の使い方や筍の狩り方を教えてもらいます。急斜面の竹林、かつ前日に雨が降ったためぬかるんでいて登るだけで精一杯です。

筍はまだ土から顔を出したぐらいが若くておいしい食べごろ。あまり目立たないため、目を凝らして探し回る必要があります。また、今年はほぼ交互になる「表年」「裏年」のうち「裏年」という収穫できる筍が少ない年だそう。竹のまわりや、竹と竹の間、土から出ている根っこを頼りに、夢中で探しました。

Photo by Kanami Maruyama

なかなか見つかりませんでしたが、筍を見つけた瞬間は心から感激!100%自然のなかで育った食材に心が躍ります。探しはじめて1時間ほどで参加者それぞれが2、3本ずつ掘り出すことができました。

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お昼ごはんのための、山菜も摘みました!自然に生えているタラの芽、ハルジオンや細貝さんが植えたというタラの芽や山椒(木の芽)なども収穫。豊かな自然の恵みに驚かされます。

絶品!採れたての筍でアウトドア料理

Photo by Kanami Maruyama

ではさっそく、採れたての筍を調理開始!この日は、筍ご飯と筍の丸焼きを作りました。

まずはメタルマッチ(金属製火起こしグッズ)で火起こしから。火の粉がうまく燃えつくまでがむずかしかったです。火がついたら炭から安定して熱が出るように枝や枯れ葉を燃やします。

Photo by Kanami Maruyama

ノコギリとナタで竹を割って、竹の器を作ります。

Photo by Kanami Maruyama

竹の器で炊く筍ご飯は、竹を割って米、水、筍を入れてセッティング。炭火が安定してきたら、丸焼き用の筍と米の入った器を崩れないように並べます。あとは炭火が絶えないように見張りながら待つだけです。

Photo by Kanami Maruyama

炊き上がった筍ご飯は、蓋を開けた瞬間に竹がふわりと香り食欲を刺激します。まわりに自生している三ツ葉を散らして、見た目も色鮮やかです!

さすが、新鮮な筍はやわらかくエグ味が一切ありません。自然の中で食べた筍ご飯はとにかく絶品でした。

Photo by Kanami Maruyama

こちらは筍の丸焼き。採れたての筍と大きな炭火があるからこそ、できる料理です。岩塩を少々ふりかけていただきます。焼いて皮を剥いただけなのに、香りが高くほくほく!「筍は2、3時間」ということを実感しました。

筍ご飯と筍の丸焼きのほかにも、筍狩りの途中に摘んだ山菜を使って、炒め物とスープも作りました。こちらも大変おいしかったです。

持ち帰った筍で…筍づくしの朝ごはん

Photo by Kanami Maruyama

持ち帰って下処理をした筍。採るときに引っ張ったため半分に割れてしまった筍も大切にいただきます。
お土産として持ち帰った筍は、夜中に灰汁を抜き、翌朝筍づくしの朝食として楽しむことにしました。

細貝さんの話では、根っこに近いほうは火を通してメンマのような漬物風に、先のほうは筍ご飯や煮物で食べるのがおすすめだそうです。先端と根っこに近い部分とで使い分けられるくらい、筍があるというのはうれしいですね。

Photo by Kanami Maruyama

筍ご飯、メンマ風お漬物、土佐煮のほかに、お吸い物も作りました。キッチンから春の香りが漂います。この春、一番うれしい朝食だったのではないでしょうか。

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筍ご飯はほかの食材は入れずに米と筍を、出汁、調理酒、塩と一緒に炊きました。トッピングには、先週漬けたばかりの木の芽のオイル漬けを。ほおばるごとに、芳香な味わいが口いっぱいに広がります。

Photo by Kanami Maruyama

続いて定番料理の土佐煮。美しい色合いでさらに風味豊かに仕上げるため、味付けは白だしと調理酒のみです。ほっくりと煮た筍に鰹節の旨味がからみ味わい深いひと品になりました。

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細貝さんのおすすめのメンマ風のお漬物。筍独特の風味が生きていて、ご飯にもお酒にもぴったりの絶品な箸休めができました。

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朝は汁物が欲しいと思い作った筍のお吸い物。昆布と煮干しでとった出汁と白だしで色合いよく仕上げてみました。筍が出汁にすっと馴染み、上品で無駄のない香りと味わいです。

春を感じる筍づくしの朝食は、どれも筍の風味が豊かに感じられ大満足のものとなりました。

使い切れない筍は冷凍保存がおすすめ

Photo by Kanami Maruyama

残った筍は冷凍室へ。筍はそのまま冷凍すると水分が抜けてスカスカになったり筋っぽくなったりするので、出汁や水と一緒に保存袋に入れて冷凍します。おいしく食べられる保存期間は約1カ月。こうしておけば、春の味覚をまた好きなタイミングで楽しめますね。
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