ライター : カイユーヤ

食堂あさひや店主

書いたひと

カイ ユーヤ
地域おこし協力隊をきっかけに鹿児島県長島町に移住。長島大陸食べる通信の編集長、出張料理人としても活動したのち、2019年7月長島に「食堂あさひや」をオープン。島のひとたちと一緒にごはんを食べる日々。

まずは筆者と長島のご紹介から

macaroniをご覧の皆さま。はじめまして、こんにちは。鹿児島県は長島町に住む、カイユーヤです!突然連載が始まりましたが……

え?長島町を知らないですか?

そうですよね、お気持ちわかります。ぼくも移住する4ヶ月前まで知らなかったです(読んでくれている長島の人たち、ごめんなさい)。でも大丈夫。第一回目のこの記事では、長島がどんなところか、魅力をしかとお届けします!

まずは長島町の場所。ここらへんにあります!
鹿児島の左上の赤いところが長島町
鹿児島にある島、って聞くと南国をイメージしますよね。なんか南の島っぽい感じ。でも違うんです。ここ長島町は、鹿児島県でも最北端に位置しており、熊本県との県境にあります。島といっても橋がかかっていて、船じゃなく車で訪れることもできます。

Photo by カイユーヤ

ここ長島町でぼくは、地域おこし協力隊の活動をおこなっていました。そこで3年間、長島大陸食べる通信という媒体の編集長と、地域の食材を使ったイベントをするためのイベンター兼料理人をしていたんです。

Photo by カイユーヤ

東京で行った長島大陸食べる通信のイベント
協力隊の任期は3年間。この仕事に就く前には「まあ3年間くらいがちょうどいいよな!それまで思う存分たのしむぞ〜」と、期間限定で楽しむ気満々だったのですが、任期が終わったいまでも、なぜか長島町に住んでいます。さらには、飲食店まで開業してしまったんです……。

ぼくが長島に住んで、飲食店をやる理由

一言で言えば、「長島町に惚れた」んです。(自分でいってて恥ずかしいけど)

ここ長島町は、長島本島、伊唐島、諸浦島、獅子島の4つの有人島からなり、人口が一万人弱の島。この島のいいところはたくさんありますが、僕が特にいいなぁと思うのは、おいしい食材がたくさんあることと、その食材に関わるかっこいい生産者がいることです。

料理に関わっている者として、その料理で扱う食材の鮮度やおいしさはとても重要なことだと思います。

Photo by カイユーヤ

やっぱりスーパーで並んでいる食材より、目の前で獲られる魚や、土を落としたばかりの野菜を見ると、「ふぉおおおおおおおおお」とテンションが上ってしまいます。

それに、その食材に関わる生産者の方たちのカッコよさと尊さたるや……。ほんと感動します。それぞれのうちわを作って「こっちむいてー!収穫したもの見せてー!」とブンブン振りたいくらいカッコいい(伝われ〜)。

Photo by カイユーヤ

そういった食材を使ってお店をできることは幸せなことですし、それを食べに地元の人が来てくれているという状況も、ものすごく幸せだと感じています。

カッコいい人達が作った食材を、島の人や食堂に来てくださるすべてのお客様に知ってもらえることも大きい。これらが、僕がこの島でお店をする理由です。

ずっと違和感を感じていた、長島の食と料理のこと

ぼくがこの島に住むようになってから、たくさんの食材と生産者に出会いました。長島は食べ物の宝庫といっていいほどの食材に恵まれています。

肉、魚、野菜すべてが揃い、かつ、高水準のものが長島で作られている。そんな豊かな島でたくさんの人と関わり始めたあるとき、ひとつの違和感をもちました。

それは、郷土料理がないこと。こんなに素晴らしい食材が溢れているのに、それらを生かして食べる方法が存在しないんです。

Photo by 谷口千尋

島に来た当初、行く現場すべてが新鮮で、そこで作られるすべての食材が輝いて見えました。この魚はどうやって食べるとおいしんだろう。この野菜はみんなどうやって食べてるんだろう。そんな疑問をウザいくらい島の人に聞いてみていたんです。

でも、返事はいつもあっさり。「鰤やじゃがいもを使った郷土料理などはありますか?」と聞くと「そんなもんないね」と一蹴。しつこく聞いても、「んー揚げるか、煮るか、刺し身とかかな〜」「肉じゃがとか、フライドポテトとかかなぁ〜」くらいの答え。

寒ぶりが有名な富山県氷見市では、鰤を使ったたくさんの料理が存在します。じゃがいもが主食のスウェーデンでは、じゃがいも料理だけで分厚い本を一冊作れるほど、多くの料理が存在しています。

こんな食材の宝庫である長島で、食材を最大限に生かして食べる方法が少ない。どういうことなんだ。これが長島に来てからずっと感じている違和感です。

「長島」と「郷土料理」を考える、食の旅に出発

Photo by カイユーヤ

さて、ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、今回この連載では「郷土料理」というその土地に根付いた料理を切り口に、生産者、長島のおばあちゃんやお母さん、子どもたちと一緒に”食べること”について話していきます。

長島町の食の過去をさぐり、この町の食の未来をみんなで考えます。

これは、実際に移住してきて住んでいるぼくと、島の人が一緒にやるからこそできること。長島町になぜ郷土料理がないのか、そもそも郷土料理とはなんなのか、じゃあ今後郷土料理というものはできるのか。そんな郷土料理の謎に迫りたい


そして料理人なので、「郷土料理候補」の料理も一緒に作っていきます。この連載から100年後の長島の郷土料理が生まれたらすごい!歴史の教科書載るかも!

長島町を舞台とした未来の郷土料理を探す旅、ぜひお付き合いください。それではまた次回!

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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