ライター : dressing

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「湖北料理」が楽しめるチャイニーズバル『珞珈壹号』が銀座にオープン

世界中から観光客が訪れる街、銀座。その銀座のど真ん中、「GINZA SIX」にほど近いビルの4階に、日本で初めて中国の湖北(こほく)料理をメインにしたチャイニーズバル『珞珈壹号(カッカイチゴウ)』が誕生した。 湖北料理とは、中国の中央・内陸部に位置する湖北省の郷土料理のこと。湖北省は、中国の交通の要所として栄えてきたため、四川や湖南、広東など東西南北様々な料理が融合され、“辛い・酸っぱい・甘い・さっぱり塩味”と多彩な味付けを特徴としている。
『珞珈壹号』の店内に一歩入ると、幻想的なインテリアに思わず目を見張ってしまう。蓮の葉を模したグリーンのランタンが幾重にも重なって天井にぶら下がり、その下にはまるで鳥かごのような椅子とテーブルが並んでいる。 店内のインテリアは、湖北省の省都・武漢にある東湖という湖をイメージ。非日常感あふれる空間は、まるで異国にいるかのような気持ちにさせてくれる。
席数は70席。テーブル席や舟の形をしたハイテーブルを囲む席、8名単位の個室など、シーンに応じて席を選ぶことができる。
オーナーの徐 耀華(ジョ ヨウカ)さんは湖北省の出身。六本木の『御膳房(ごぜんぼう)』など雲南料理や四川料理の店をこれまで何軒も手掛けてきた。今回、日本在住の湖北省出身者からの要望があり、初めて湖北料理専門の店をオープンした。 『珞珈壹号』の「珞珈」は、徐さんの出身である武漢大学の中にある珞珈山に由来する。故郷の料理とあって、どのメニューも徐さんの思い入れがひと際高い。

中国5大麺のひとつ「レッカン麺」は、黒ゴマたっぷりでやみつきのおいしさ

多彩な湖北料理の中でも、湖北省の人たちにとって馴染み深い料理を3品紹介しよう。
湖北では朝ご飯の定番で、中国5大麺の一つと言われるのが「レッカン麺(熱乾麺・武漢ゴマソース混ぜ麺)」(写真上)だ。混ぜそばのように、茹でた麺に黒ゴマの風味が効いたソースと具材をよく混ぜ合わせて食べるのが特徴。 ちなみに他の4大麺は、諸説あるが北京の炸醤(ジャージャー)麺、山西の刀削麺(とうしょうめん)、蘭州拉麺(らんしゅうラーメン)、四川担担麺だ。 「レッカン麺」は調理法が独特で、一度茹でた麺にゴマ油をかけて乾燥させ、食べる直前に再びさっと温める程度に茹でる。 これには由来がある。ある店で麺を茹でてテーブルの上に置いていたところ、油の入った壺を倒して麺が油まみれになってしまった。捨てるのももったいないので、翌日茹でてソースで和えて食べたところ、とてもおいしかったのでこの形で広まったといわれる一説だ。
運ばれてきた「レッカン麺」は、黒ゴマの芳ばしい香りが鼻腔をくすぐる。麺の上には、粗みじん切りにした豚肉の肉味噌、ニンジンなどの野菜類、ナッツ、細かく刻んだササゲ(大きい平ざやのインゲン)の漬物などがトッピングされている。 中太の麺は柔らかくもっちりした食感で他にはない味わい。同店では、本場と同じ麺を再現するために、製麺所に特注し、試行錯誤しながら作り上げた。 おいしく食べるコツは、まず麺とソースと具材をよく混ぜること。肉味噌、黒ゴマペーストたっぷりのソース、隠し味に使われている豚の角煮の煮汁、ニンニク、唐辛子、コショウなどが、よく混ぜることで重なり合い、独特の奥深い味となっていく。このたれをもちもちした麺に絡めて食べれば、やみつきになること請け合いだ。

どこか懐かしい味。日本人にも親しみやすい家庭的な料理の数々

「レッカン麺」は汁気がないため、喉が渇く料理とされている。そのパートナーにぴったりなのが「レンコンとイベリコ豚スペアリブのスープ」(写真上)だ。 湖北はレンコンの産地としても有名。豚肉とレンコンをホロッとするほど柔らかく煮たスープは、お客をもてなす料理として家庭でもよく作られている。 同店では、さっぱりした味わいのイベリコ豚を煮込んでスープのベースとし、具材のレンコンは、デンプン質が多く粘り気のある金沢産を使用。豚のうまみたっぷりのスープを吸ったレンコンが絶品だ。
「ドウビー(老通城豆皮・武漢おこわオムライス)」(写真上)は屋台で売られているファストフードのような料理。 豆粉を混ぜた卵を鉄板に薄くひき、その上におこわ、野菜と豚肉を甘辛く味付けした具材を乗せ、ひっくり返して卵の皮で包んでできあがり。パリッとした皮にもちもちしたおこわが、甘辛い具材と合わさってどこか馴染み深い味わいになる。 ちなみにメニュー名の「老通城」とは「ドウビー」を名物とする現地のレストラン名で、そちらと同じレシピで作られていることを示している。同店には、他にも現地の人気レストランのレシピで作られている料理が数点あるという。日本にいながら、湖北の名店の味が楽しめるのも、『珞珈壹号』の魅力のひとつだ。
『珞珈壹号』のメニューは、その昔、湖北のみならず湖南や四川の一部を支配した国「楚」をテーマとし、「楚」に縁のある「ちまき」や「東坡肉(トンポーロー、豚の角煮)」(写真上)などもラインナップしている。
その他、湖北は米作が盛んなことから米粉を使った料理も多く、「もち米団子の蒸しもの」や「ドーナッツ」(写真上)なども人気だ。いずれも地元の人たちに愛されている家庭的な味わいであると同時に、日本人にも親しみやすいものばかりだ。

ワインリストにも注目! バルスタイルでワインも楽しめる

「チャイニーズバル」というスタイルの『珞珈壹号』。料理のポーション(一人前)を控えめにし、郷土料理ながらモダンなビジュアルで提供される料理の数々を、お酒と共に楽しむことができる。 ワインの品揃えにも力を入れ、シェフやソムリエも交えて“中国料理に合うワイン”をコンセプトに厳選している。
本場湖北地方で修業したシェフが作る料理は、日本在住の湖北出身者がリピーターとして通うほど本格的。 素材を生かした優しい味わいの料理は、銀座で長く親しまれることになりそうだ。 【メニュー】 レッカン麺(熱乾麺・武漢ゴマソース混ぜ麺) 1,280円 ドウビー(老通城豆皮・武漢おこわオムライス) 1,380円 レンコンとイベリコ豚スペアリブのスープ(一人様用) 680円 黄州ドンポー肉 1,380円 武漢もち米団子の蒸しもの 980円 武漢風米粉ドーナッツ(3個) 580円 ※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜です

珞珈壹号(カッカイチゴウ)

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