ライター : uni0426

「卵」と「玉子」どう違う?

日本だけでなく、世界各国でいろんな食べ方が楽しまれている卵。おかずはもちろん、お菓子やサンドイッチの具、お弁当にも登場する卵はみんなが大好きな食材のひとつですよね。 そんな卵ですが、「ゆでたまご」は「ゆで卵」か「ゆで玉子」か……。もちろんどちらでも意味は通じますが、その違いが何か知っていますか?なんとなく使い分けている「卵」と「玉子」ですが、実はきちんとした定義があったんです。今回はそんな「卵」と「玉子」の違いをお教えします!

鶏の卵だけじゃない!生物学的な意味を持つ「卵」

「卵」という字は生物学的な意味を持っています。鶏などの鳥類だけではなく、魚や虫、そして人間など、生き物すべての「タマゴ」は「卵」と書きます。子孫繁栄として孵化する前提のものを「卵」と言うと考えて間違いありません。 また医者になろうと勉強している人のことを「医者の卵」などと言う場合、医者になることを卵から孵化することに比喩した表現のため、「卵」という字を使用します。

魚や虫の卵は×!食材的な意味を持つ「玉子」

「玉子」は「食材としての鳥類の卵」というニュアンスです。これは子孫繁栄のためでなく、食用とされている鳥類の卵に限定して使用される表記です。そのため「鮭の玉子」「カエルの玉子」などとは書きません。またペットなど、食用でない鳥類の卵も「玉子」とは表記しません。 生物学的な「卵」という大きなカテゴリーにおける鳥類の卵で、かつ食用を目的としたものを「玉子」とするという認識が一般的です。 ちなみに中国語での「卵」は生物学的、食材的の意味を分けて使用されています。生物学的な意味での卵は「卵(ルァン)」、食材的な意味を持つ場合は「鶏蛋(ジータン)」と言います。

卵の歴史を感じる「卵」「玉子」の漢字の由来

「卵」という文字をよく見てみてください。ふたつの殻の中に点がひとつずつ入っています。これは魚や虫などの、連なった卵を表しており、中の点はこれから孵化する子供なのです。したがって「卵」という漢字には、これから孵化するこどもを宿した殻、という生物学的な意味合いが含まれていることがわかります。また「卵」という漢字は、卵の古い呼び名であった「殻の子(かひのこ)」の漢字として当てられました。 一方「玉子」にもきちんと由来があります。前述のとおり、卵の古名は「殻の子(かひのこ)」。これに起因し、平安時代に卵は「かいこ」や「かいご」と呼ばれていました。しかし「蚕(かいこ)」との区別がつかず紛らわしいことから、室町時代には「玉の子」という言葉で呼ばれており、これが、「玉子」となりました。これは丸い玉の形をしたものの子という意味で、鳥類の卵であることを指しています。

例外あり!「卵」が持つ別の意味とは

食用の鳥類の卵は「玉子」であるという認識ですが、「卵」も食材としての意味を持つこともあるんです。簡単に言うと生のものは「卵」、調理されたものは「玉子」と考えることが一般的です。 お寿司のネタは「玉子」、「厚焼き玉子」などと書かれますね。一方、レシピに書かれている「卵」は「玉子」とは書かれていないのがわかりますか?これは、調理前、つまり生の段階だからです。逆に、「玉子丼」を「卵丼」と書くと、火を通した卵ではなく、生の卵が乗っているような感じがしませんか?また「卵かけごはん」を「玉子かけごはん」と書くと、生卵でなく玉子焼きのようなものがごはんに乗っているようなイメージにを与えます。このように生の状態なのか、調理されているのかで区別して書かれているのです。 しかしながら、そこに明確な基準はありません。 例えば「ゆで卵」と書きますが、「ゆで玉子」と書かれることもあります。また「玉子焼き」とも「卵焼き」とも書かれることもあります。「温泉卵」は生っぽいから卵かと思いきや、「温泉玉子」と表記される場合も。このように、必ずしも定義に当てはまらないものがあることも確かです。「生は卵」「調理されたものは玉子」と表記する場合が多い、という程度のものだと理解しておくとよいかもしれないですね。 ちなみに筆者のパソコンで「ゆでたまご」を変換したところ、「ゆで卵」としか出てきませんでした。またスマホで同様に変換すると「ゆで卵」「ゆで玉子」のどちらもでてきましたよ。

これで疑問スッキリ!

いかがだったでしょうか?「卵」と「玉子」の違いがわからなかった人も「そういえば確かに!」となる点があったのではないでしょうか。だいたいの概念がわかると、表記に悩むこともなくなりますね。どちらの漢字にも古くからの由来があり、食材における卵の歴史の深さも感じられました。 いろんな卵料理を頭に思い浮かべながら、どっちになるのか考えてみてくださいね♪
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