ブラックロールパンナの存在

ロールパンナちゃんが作られるとき、「まごころ草」を使って新たなパン作りをすることを聞きつけたばいきんまんがやってきて、「ばいきん草」を混入させてしまいます。
ロールパンナちゃんは「ばいきん草」の影響により、善い心と悪い心の両方を持ってしまうのです。ロールパンナちゃんの胸には赤と青、ふたつのハートマークがあり、光る色で善と悪どちらの状態であるのかがわかります。
完全に悪の支配が強まったときは青いハートマークが輝き、体全体がイカスミ入りのロールパンであるかのように真っ黒く、瞳が真っ赤なブラックロールパンナへと変化。
誕生時にばいきんまんからアンパンマンが敵であると吹き込まれているため、ブラックロールパンナに変化したときのロールパンナちゃんはアンパンマンを敵視し、戦闘モードに入ってしまうのです。

これは人間そのものではないか

ロールパンナちゃんはお子さま向けの絵本やアニメに登場するキャラクターとしてはかなり複雑な心の悩みを抱えていると思われませんか?ロールパンナちゃんが持つ正義と悪の心。彼女のように入れ替わることはなくても普通の人間も持っているはずです。
一方からすると正義であっても別の立場の人からは悪としかとられないこともあるため、正義と悪は表裏一体といえるでしょう。
アニメや映画作品の中には正義であると信じて悪の道へと走ったロールパンナちゃんが、パン工場で作られたなかまたちと戦わなければならなくなるストーリーが存在します。途中で正してあげたくなるほど、正しいと思える道へ突き進む彼女の姿には純粋さを感じます。
ロールパンナちゃんの心は常に善と悪が戦っている状態です。誰からも距離をおき、寂しさに耐えながら運命に逆らえず生きていることが、時折メロンパンナちゃんにかけるやさしいことばから伝わってきます。重みのあることばのひとつひとつから、彼女の人間らしさがにじみ出ています。
声優の富永みーなさんが歌うロールパンナちゃんのキャラクターソング「ふたつの心」。この歌詞には正義と悪、両方の心が入れ替わる切なさが込められています。
ばいきんまんの行動ひとつで苦しみながら生きるロールパンナちゃんは、愛情を注いであげたくなる、まさに悲劇のヒロインです。

ご尊顔は…?

謎です。

30年近く続いている「それいけ!アンパンマン」の中でもロールパンナちゃんは一度も素顔を見せたことがありません。常にターバンを巻いたままの状態で登場し、ミステリアスな雰囲気を漂わせ続けているのです。
世界一の美女ではないかとのうわさが流れたこともありますが、真相はわからないままです。2002年公開された映画に登場したローラ姫に似ているともいわれています。
素顔をさらさない理由は公式に公開されていませんので真意はわかりませんが、ロールパンナちゃんの心の闇と関わりがあるようにもとれます。
メロンパンナちゃんやなかまから誘われても、決してみんなと一緒に住もうとしないロールパンナちゃん。善と悪ふたつの心が入れ替わるため、なかまと寄り添いたくても常にやさしさを保つことができない自分自身のコンプレックスが根底にあり、ターバンを外せないのかもしれませんね。

おわりに

「お兄ちゃんがいれば良かったのに」「お姉ちゃんがいればなぁ」といったことを長男・長女・ひとりっ子が口にすることがあります。メロンパンナちゃんもロールパンナちゃんの誕生までは、そんな気持ちだったのかもしれません。
アニメ版アンパンマンの放送はまだまだ続きそうです。ロールパンナちゃん自信が今後どうなるのか、姉妹が心から打ち解けられる日がくるのか、今後の展開が楽しみですね。
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