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松阪市内に、ひときわ異彩を放つとんかつ専門店がある。その名も「竹炭熟成とんかつアバンティ」。店名に「竹炭」と冠されているとおり、ここで供されるとんかつは、一般的な黄金色とは一線を画す、深みのある黒いパン粉をまとっている。初めて目にした客は、その見た目に思わず目を丸くするだろう。しかしひと口食べれば、驚きはさらに深まる。衣はホロホロと崩れるように軽く、肉はしっとりと柔らかく、脂の切れが驚くほど鮮やかだ。ソースに頼らずとも、素材そのものの旨みが口いっぱいに広がる。
このとんかつを生み出したのは、店長の竹内元気さん(39)。イタリアンレストランの息子として生まれ、東京で夢を追いかけていたが挫折を経て料理の道へ戻り、そして8年以上にわたる試行錯誤の末にたどり着いたとんかつが、今この店のカウンターに並んでいる。その道のりは、単なる料理人の成長譚にとどまらない。松阪という地域に根ざしながら食を「体験」として届けようとする、一人の経営者の物語でもある。
父の背中を見て育った、料理人の原点
竹内氏の料理との関わりは、幼少期にさかのぼる。父親がイタリアンレストラン「アバンティ」を経営しており、小学生の頃から厨房の空気は日常の一部だった。中学生になる頃には店で仕込みを手伝うようになる。イタリアンという料理ジャンルは、和食とは異なる繊細な切り方や素材の扱いが必要だ。その技術を、竹内さんは父の厨房という現場で身につけていった。
高校を卒業すると、竹内さんは料理とは別の夢を追いかけるため東京へと旅立つ。しかし数年後、「やりたいことに一区切りがついた」と、その夢に区切りをつけ22歳で帰阪。しかし振り返れば、その帰郷こそが竹内さんの料理人としての本格的なキャリアの出発点となった。
父のもとで修業を再開した竹内さんは、イタリアンの技術を本格的に磨いていく。父から受け継いだ知識と、自らの感覚を融合させながら、着実に腕を上げていった。その傍ら、ある出来事が竹内さんの人生に小さくも決定的な種を植えることになる。父の知人が経営するとんかつ屋の人手が足りず、約一ヶ月間働く機会を得たのだ。しかしその一ヶ月が、後の竹内氏の方向性を大きく変えることになる。
高校を卒業すると、竹内さんは料理とは別の夢を追いかけるため東京へと旅立つ。しかし数年後、「やりたいことに一区切りがついた」と、その夢に区切りをつけ22歳で帰阪。しかし振り返れば、その帰郷こそが竹内さんの料理人としての本格的なキャリアの出発点となった。
父のもとで修業を再開した竹内さんは、イタリアンの技術を本格的に磨いていく。父から受け継いだ知識と、自らの感覚を融合させながら、着実に腕を上げていった。その傍ら、ある出来事が竹内さんの人生に小さくも決定的な種を植えることになる。父の知人が経営するとんかつ屋の人手が足りず、約一ヶ月間働く機会を得たのだ。しかしその一ヶ月が、後の竹内氏の方向性を大きく変えることになる。
「ビジネスモデル」という視点が、業態転換を決意させた
29歳のとき、竹内さんはついに自らの店を持つ。屋号は父の店と同じ「アバンティ」、業態はイタリアンレストランだった。父の名を継ぎ、自分の城を持つ。それは一つの夢の実現であり、同時に新たな問いの始まりでもあった。
イタリアンを二年間営む中で、竹内氏はある現実と向き合うことになる。イタリアンというジャンルは、料理の質を高めれば高めるほどコース形式となり、提供時間が長くなる。客単価も回転率も上げにくい。一方で、とんかつは提供すれば三十分ほどで食事が終わり、仕込みの工数もコース料理に比べれば整理しやすい。
竹内氏はイタリアンとんかつ、それぞれのビジネスモデルを冷静に比較した。経営者としての視点で判断を下した結果、二年間営んだイタリアンアバンティをとんかつ専門店へと業態転換することを決意する。そしてその選択が、後に「熟成とんかつアバンティ」という形で結実することになる。
8年間の試行錯誤の日々
業態転換後、店名を「カツレツ アバンティ」と改めた竹内さんは、とんかつの研究に没頭していく。しかしその道は、決して平坦ではなかった。頭の中に描く「理想のとんかつ」と、実際に揚がってくるものとの間には、常に埋めがたいギャップがあった。
とんかつの調理工程はシンプルであるが故にとても奥深いのだという。どの小麦粉を使うか、卵の濃度はどうするか、パン粉の粒度や種類は何が最適か。さらに揚げ油の種類、温度管理、揚げ時間。変数は無数にあり、一つを変えれば別の要素に影響が出る。その試行錯誤は、6年以上にわたって続いた。誰かに教わるわけでもなく、ただひたすら自分の舌と感覚を頼りに、理想の一枚を追い求めた。
とんかつの調理工程はシンプルであるが故にとても奥深いのだという。どの小麦粉を使うか、卵の濃度はどうするか、パン粉の粒度や種類は何が最適か。さらに揚げ油の種類、温度管理、揚げ時間。変数は無数にあり、一つを変えれば別の要素に影響が出る。その試行錯誤は、6年以上にわたって続いた。誰かに教わるわけでもなく、ただひたすら自分の舌と感覚を頼りに、理想の一枚を追い求めた。
「贅沢とんかつ」の誕生と、新たな挑戦の舞台
カツレツアバンティでの長年の研究が実を結び、竹内氏は松阪駅前に新たな店舗「贅沢とんかつ アバンティ」をオープンする。こちらは一皿5千円〜6千円という価格帯で、より高単価な客層を対象とした業態だ。しかし、カツレツアバンティの常連客がこぞって新店舗へと流れるという、予想外の問題が生じた。
この状況を受け、竹内さんはカツレツアバンティの営業を終了することを決断する。さらに、父の死去に伴い父の店である「イタリアン アバンティ」も閉店。弟に贅沢とんかつを任せ、自身は新たな場所で新たなコンセプトのとんかつ専門店を立ち上げることを選んだ。それが現在の「竹炭熟成とんかつアバンティ」だ。
新店舗のコンセプトを考えるにあたり、竹内氏が最も意識したのは、贅沢とんかつとの差別化だった。そこで竹内氏が選んだのは、よりリーズナブルな価格設定でより多くの人に本物のとんかつを届けるという方向性だった。
この状況を受け、竹内さんはカツレツアバンティの営業を終了することを決断する。さらに、父の死去に伴い父の店である「イタリアン アバンティ」も閉店。弟に贅沢とんかつを任せ、自身は新たな場所で新たなコンセプトのとんかつ専門店を立ち上げることを選んだ。それが現在の「竹炭熟成とんかつアバンティ」だ。
新店舗のコンセプトを考えるにあたり、竹内氏が最も意識したのは、贅沢とんかつとの差別化だった。そこで竹内氏が選んだのは、よりリーズナブルな価格設定でより多くの人に本物のとんかつを届けるという方向性だった。
三重県では珍しい「黒いとんかつ」という新ジャンル
竹内氏が繰り返し口にするキーワードがある。それは「体験」という言葉だ。「外食とは、旅行や観光と同じように日常から切り離された非日常の時間を過ごすことである。驚きや感動を伴う体験であるべきだ。」というのが竹内さんの考え方だ。
それをいかに新店舗で表現するのか。竹内氏がたどり着いた答えの一つが、「竹炭パン粉」だった。黒いとんかつは、それだけで「これは何だろう」という好奇心を呼び起こす。次に味覚の驚き。一般的なとんかつのイメージを覆す、あっさりとした脂切れの良さと、肉本来の旨みの豊かさを感じるとんかつに仕上げた。
関東のパン屋から取り寄せる生パン粉に竹炭を混ぜることで、見た目の非日常感を演出しながら、衣の食感にも独自の軽さと繊細さをもたらすことに成功した。さらに豚肉は店内で独自の方法で熟成。その具体的な手法は企業秘密だが、熟成によって肉の繊維が柔らかくなり、脂の質が変化し、一般的なとんかつとは一線を画す上品な味わいが生まれる。
それをいかに新店舗で表現するのか。竹内氏がたどり着いた答えの一つが、「竹炭パン粉」だった。黒いとんかつは、それだけで「これは何だろう」という好奇心を呼び起こす。次に味覚の驚き。一般的なとんかつのイメージを覆す、あっさりとした脂切れの良さと、肉本来の旨みの豊かさを感じるとんかつに仕上げた。
関東のパン屋から取り寄せる生パン粉に竹炭を混ぜることで、見た目の非日常感を演出しながら、衣の食感にも独自の軽さと繊細さをもたらすことに成功した。さらに豚肉は店内で独自の方法で熟成。その具体的な手法は企業秘密だが、熟成によって肉の繊維が柔らかくなり、脂の質が変化し、一般的なとんかつとは一線を画す上品な味わいが生まれる。
一口食べると、揚げ物とは思えないほどさっぱりしており軽い口当たりだ。塩やわさびで食べるとしっかりと調和し、とんかつの旨味を引き立てる。ソースやからしを合わせたら、ご飯と合う極上の主菜となる。ロースかつは脂の甘味が口に広がり、ヒレカツはその肉の旨味を充分に感じられる。そのどちらも楽しめるメニューが「ひれとロースの盛り合わせ定食」だ。
付け合せのきゅうりの漬物も侮れない。それだけでも箸が止まらないが、箸休めに挟むことで再度とんかつへの食欲を刺激されてしまうのだ。
味噌ダレ(+100円)やドレッシングもすべて自家製。すべてを手作りすることで、ここでしか食べられない味を作り上げている。
付け合せのきゅうりの漬物も侮れない。それだけでも箸が止まらないが、箸休めに挟むことで再度とんかつへの食欲を刺激されてしまうのだ。
味噌ダレ(+100円)やドレッシングもすべて自家製。すべてを手作りすることで、ここでしか食べられない味を作り上げている。
「アバンティ」という言葉を胸に秘めて
父から受け継いだ屋号「アバンティ」とは、イタリア語で「前に/先に/前進」といった意味があるらしい。その想いを胸に、イタリアンからとんかつへ、一店舗から複数店舗へ。竹内元気という料理人兼経営者の挑戦はまだ途上にある。しかしその根底には、常に変わらない想いは確かな情熱となって根付いている。
「食べに来てくれた人に、どんな体験を届けられるか。」
その問いへの答えが、今日も松阪の厨房で、黒いとんかつとなって揚がり続けている。
「食べに来てくれた人に、どんな体験を届けられるか。」
その問いへの答えが、今日も松阪の厨房で、黒いとんかつとなって揚がり続けている。
竹炭熟成とんかつ アバンティ
〒515-2115
三重県松阪市中道町530−4 フードパークこむぎむら7号地
月曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
月曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
火曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
水曜日
11:00〜14:00
木曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
金曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
土曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
日曜日
11:00〜14:00
18:00〜20:30
0598-30-4330
席数
30席
L.O.
ランチ:14時、ディナー20時半
定休日
なし
最寄駅
松阪駅から車で15分
支払方法
各種
平均予算
2,000円
駐車場
10台
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※記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。
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