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薬局を母体に持つユニークなカフェ
三重県松阪市の中心部から車で約20分。伊勢中川駅のほど近くに位置し、2018年のオープンから今年で5周年を迎える「みんなのカフェ」がある。店内はガラス張りの採光により明るい光で満たされており、落ち着いた装いで訪れた人をほっとさせるような佇まいだ。
そんなカフェは他にはない特長を持っている。経営母体は地元で複数の薬局を展開する企業であり、その一事業部としてカフェ部門が運営されている。建物内にはグループである薬局も入っており、処方箋を待っている間一息つくことも可能だ。そんな一風変わったカフェの店長である早川まいさんに今回はお話を伺うことができた。
そんなカフェは他にはない特長を持っている。経営母体は地元で複数の薬局を展開する企業であり、その一事業部としてカフェ部門が運営されている。建物内にはグループである薬局も入っており、処方箋を待っている間一息つくことも可能だ。そんな一風変わったカフェの店長である早川まいさんに今回はお話を伺うことができた。
地域と健康をつなぐカフェ店長の想い
管理栄養士の資格を持ち、その資格を活かしたキャリアを持ちながらカフェ運営をも担う早川さん。その原点は、食事を通して健康を支えられる知識と技術を身につけたいという思いからだ。そう考えて管理栄養士を志し、大学の医療栄養学科で専門知識を修得した。
卒業後は同社が運営する薬局に就職した。薬局勤務時代は、薬局で健康イベントを企画・実施したりと、地域住民の健康サポートに尽力してきた。多角的な健康チェックを行うイベントは、地域の利用者から高い評価を得てきたという。
その後クリニックに出向してドクターの指示のもと栄養指導を行うこととなる。栄養指導や予防的な食事指導に携わり、「病気になる前に食事で健康を守る」活動を続けてきたのだ。
卒業後は同社が運営する薬局に就職した。薬局勤務時代は、薬局で健康イベントを企画・実施したりと、地域住民の健康サポートに尽力してきた。多角的な健康チェックを行うイベントは、地域の利用者から高い評価を得てきたという。
その後クリニックに出向してドクターの指示のもと栄養指導を行うこととなる。栄養指導や予防的な食事指導に携わり、「病気になる前に食事で健康を守る」活動を続けてきたのだ。
「管理栄養士がいるカフェ」への唯一無二の挑戦
そんな中、薬局と並列するカフェの運営という新規事業が社内企画でスタートする。そこで白羽の矢が立ったのが早川さんだった。これまで同社ではカフェの運営実績はなく、何もかも始めてだった。同企業が展開する約30店舗の薬局の中でも、管理栄養士が常駐するカフェスタイルは「みんなのカフェ」だけだ。
早川さんは店に関わるようになってから学びを重ね、本格的に調理技術を磨きスタッフや仲間の支えを受けながらメニューを完成させてきた。初めての店長業務にも不安よりワクワク感が勝り、新しい挑戦を楽しんできたという。
早川さんは店に関わるようになってから学びを重ね、本格的に調理技術を磨きスタッフや仲間の支えを受けながらメニューを完成させてきた。初めての店長業務にも不安よりワクワク感が勝り、新しい挑戦を楽しんできたという。
「みんなの」には理由がある—地域をつなぐカフェの使命
店名「みんなのカフェ」には、地域のつながりを育み、誰もが立ち寄れる拠り所でありたいという想いが込められている。コンセプトは「地域のみなさんに、健康とくつろぎとつながりを提案するカフェ」。ここでは、管理栄養士が日常的な食事や栄養に関する軽い相談を受け、必要に応じて本格的な栄養カウンセリングを薬局側で受けられるように案内するという二段構えのサポートを提供している。
早川さんが日々大切にしているのは「もう一度来たいと思ってもらえる場づくり」。そのために、積極的な声かけや会話を心がけており、利用者からは「地域の孫のような存在」として親しまれている。雑談の中から食生活の悩みが持ち上がることもあり、その場で軽く助言することも少なくない。温かい関係性が築かれていることが、リピーターを生む要因の一つとなっている。
常連客が生む温かな交流空間
来店客の多くは、近隣に暮らすおじいちゃんおばあちゃんや子育て世代の母親たちだ。いわゆる「ママ友」同士の交流の場としても活用されている。一方で、駅近という立地から、電車の待ち時間に立ち寄るサラリーマンや、近隣の農業大学校の教員なども姿を見せる。学生よりも比較的年齢層が高めの利用者が多い点も特徴だ。
オープンから5年。店内には日々、常連客が訪れ、コーヒー片手に語らう姿がある。早川さんによると、1日に3~4人は店員に声をかけてくれる客がいるという。ここは単なる飲食店ではなく、井戸端会議の場やコミュニティスペースとして機能しているのだ。
建物とカフェの歩み—移転と統合で生まれた新拠点
カフェが入る建物は、同社が運営する薬局やオフィスなど複数の機能を集約した複合施設である。5年前のオープン時、この場所には元々別の場所で営業していた部署やオフィスが移転し、一つの拠点として統合された。2階オフィスには医療関係者の来訪も多く、医療・健康との結びつきは依然として強い。
地域とのつながりを生むカフェの仕掛け
さらに、店内では「トンガ坂文庫」の選書による本を陳列している。テーマは健康・食・趣味など、コンセプトを伝えた上でセレクトされた本が並び、購入も可能だ。減ってきたら納品を依頼する形で、本棚は常に新鮮なラインナップを保っている。この仕組みによって、カフェは地域の文化的ハブとしての役割も担っている。
地域と健康をつなぐイベント運営
早川さんは、店舗だけでなく隣接する薬局とも連携し、地域コミュニティづくりに力を入れている。薬局では月に1度、こども薬剤師体験や経口補水液づくりなど、健康に直結するワークショップを実施。一方、カフェでは幅広い世代が参加できる出店イベントを開催し、地域内の交流を促進している。これらは単なる販売や飲食の場にとどまらず、「健康とつながり」をテーマにした地域拠点としての役割を担っている。
地域をつなぐ「月1回のイベント」
カフェではパン屋「れおん」をはじめ、地域の出店者を招き、ワークショップや手作り教室などを行っている。食べるだけでなく、体験を通じて地域とつながる場を提供しているのだ。イベントの対象は特定の世代に限らず、内容によって子育て中のママ世代からシルバー世代まで幅広く楽しめる構成になっているという。
季節を感じる「月替わりランチ」の魅力
早川さんが提供する「ゆる薬膳ランチ」は、月に一度メニューが変わる特別なランチである。その時期特有の体調変化に配慮したメニュー構成だ。管理栄養士である早川さんがメニューを決定。栄養バランス、彩り、季節の食材にこだわっているという。
「体を冷やしすぎないように、季節の症状に合わせたメニュー作りをしています」と早川さん。夏は冷えすぎを防ぎ、冬はしっかり温まる料理を意識する。また、春や秋には花粉症やストレス対策として香味野菜を多く取り入れた献立も考案している。
好評だった料理は再び登場させることもあるという。「評判のあったメニューはやっぱり覚えていて、次の季節にまた取り入れることがあります」と、早川さんは笑顔で語る。ドリンクセットにすると、プラス100円でコーヒーや紅茶を追加できる手軽さも魅力だ。
「体を冷やしすぎないように、季節の症状に合わせたメニュー作りをしています」と早川さん。夏は冷えすぎを防ぎ、冬はしっかり温まる料理を意識する。また、春や秋には花粉症やストレス対策として香味野菜を多く取り入れた献立も考案している。
好評だった料理は再び登場させることもあるという。「評判のあったメニューはやっぱり覚えていて、次の季節にまた取り入れることがあります」と、早川さんは笑顔で語る。ドリンクセットにすると、プラス100円でコーヒーや紅茶を追加できる手軽さも魅力だ。
地元で人気の天然酵母のパンを使ったモーニング
店内で提供されるモーニングのパンは、地元で人気のパン屋「れおん」から仕入れている。無店舗型で運営しているれおんは月4回程度しか出店していないため、モーニングでいつでも食べることができる「みんなのカフェ」は希少な店舗である。こうした提携により、常に高品質なパンをいつでも提供できる体制を整えているのである。
グルテンフリーの焼き菓子と日替わりメニュー
提供されるケーキや焼き菓子は、すべてグルテンフリーである。米粉やきび砂糖を使用し、体に優しいスイーツを日替わりで用意。パウンドケーキ、マフィン、チーズケーキなど、その日ごとに出会えるラインナップは異なり、訪れるたびに新しい味を楽しめる。多い日には4~5種類並ぶこともある。レシピはすべて早川さんが考案しており、健康志向と手作りの温かさが感じられるスイーツメニューとなっている。
甘いものだけじゃない!人気の軽食「キッシュ」
店内ではマフィンやクッキーといったスイーツも人気だが、実は軽食メニューも充実している。特におすすめなのが「キッシュ」。地元のパン屋「れおん」とのコラボで生まれた一品で、パイ生地風のタルト部分はれおんが製作し、焼き上げは店内で行っている。
「野菜もたっぷり摂れて、タンパク質も補えるのでランチにもおやつにもぴったりです」と早川さん。ランチの後にもう少し食べたいときや、甘いものは避けたい気分のときに重宝されている。なお、キッシュは毎日提供されている。
「野菜もたっぷり摂れて、タンパク質も補えるのでランチにもおやつにもぴったりです」と早川さん。ランチの後にもう少し食べたいときや、甘いものは避けたい気分のときに重宝されている。なお、キッシュは毎日提供されている。
ママ層に寄り添う「ノンカフェイン対応」
ドリンクメニューでは、地元で評判の「オニヴァコーヒー」のコーヒーを採用。価格設定にもこだわりがある。松阪市内で350円というコーヒー価格は珍しく、継続的に足を運んでもらえるよう抑えめに設定。処方箋待ちの時間に気軽に立ち寄れるようにとの配慮だ。
さらに、来店客のニーズを踏まえノンカフェインやカフェイン控えめの飲み物を豊富に取り揃えている。特に、小さな子どもを持つママ層から「カフェインが入っていないものはどれ?」という質問を受けることが多いという。
さらに、子ども用ドリンクは量を少なくし、ほぼ原価に近い価格で提供。「タダでもいいくらいのつもり」と語るその姿勢には、地域の家族連れへの思いやりが表れている。
さらに、来店客のニーズを踏まえノンカフェインやカフェイン控えめの飲み物を豊富に取り揃えている。特に、小さな子どもを持つママ層から「カフェインが入っていないものはどれ?」という質問を受けることが多いという。
さらに、子ども用ドリンクは量を少なくし、ほぼ原価に近い価格で提供。「タダでもいいくらいのつもり」と語るその姿勢には、地域の家族連れへの思いやりが表れている。
健康志向と安心感の両立
ノンカフェイン飲料の充実は、単なるメニュー展開ではなく、健康意識の高い地域住民への配慮である。管理栄養士としての専門知識を背景に原材料や成分を明確に説明できる点は、信頼関係を築くうえで重要な要素となり、来店客にとって安心感につながっているのだろう。お客は迷うことなく、自分に合ったドリンクを安心して選ぶことができるのだ。
みんながほっと一休みできる場所へ
最近の早川さんの関心は、地域住民が主体となるイベントづくりだ。2階にイベントを実施できるフリールームがあり、地域住民が無料で利用することができる。手芸やミシン教室を開く利用者が増えており、その成果物を店内イベントで販売する企画も検討中。店が単なる飲食の場を超え、住民が交流し、表現できる場となる未来を描いている。
初めて訪れる人からは「薬局かと思った」と言われることも多い立地だが、早川さんは「もっと気軽に立ち寄ってほしい」と語る。将来的には、複数のコミュニティ同士がつながり合い、地域のネットワークが広がる場にしていきたいと考えている。管理栄養士の知識に支えられた食事と、人と人を結ぶ会話。みんなのカフェは今後もますます人々の健康と笑顔をつなげるコミュニティ拠点として暮らしを豊かにくのであろう。
初めて訪れる人からは「薬局かと思った」と言われることも多い立地だが、早川さんは「もっと気軽に立ち寄ってほしい」と語る。将来的には、複数のコミュニティ同士がつながり合い、地域のネットワークが広がる場にしていきたいと考えている。管理栄養士の知識に支えられた食事と、人と人を結ぶ会話。みんなのカフェは今後もますます人々の健康と笑顔をつなげるコミュニティ拠点として暮らしを豊かにくのであろう。
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※記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。
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