ライター : 小田中雅子

ライター

チョコ好きに愛される「ダンデライオン・チョコレート」とは

Photo by 小田中雅子

「Dandelion Chocolate(ダンデライオン・チョコレート)」は、ふたりのチョコレート好きな若者が、ガレージに作ったチョコレートの実験室から始まります。100年以上前のレシピを取り入れた、手作りチョコレートのおいしさはたちまち評判に。

やがて、サンフランシスコにカフェを備えたファクトリーを構えるようになり、さらにおいしいチョコレートを作るために、世界中のカカオ豆の生産者を訪ね歩き、知識や技術を磨いていきます。

規模が大きくなっても、「ダンデライオン・チョコレート」が大切にしていることは変わりません。チョコレートを作る工程ひとつひとつを作り手がていねいに手掛けること。大量には生産できないけれど、個性豊かな味わいを大切に作られたチョコレートが、多くのファンを魅了しています。

サンフランシスコの雰囲気そのままを伝える「ファクトリー&カフェ蔵前」

Photo by 小田中雅子

どこかレトロな店舗外観。店の前が公園になっており、ガラスに緑が映えます
「ダンデライオン・チョコレート」の海外第1号店が、東京・蔵前にある「ファクトリー&カフェ蔵前」です。

出店のきっかけは、現在、ダンデライオン・チョコレート・ジャパン代表を務める堀淵 清治さんが、サンフランシスコで「ダンデライオン・チョコレート」に出会ったこと。

彼らが作るチョコレートの奥深さにすっかり魅せられた堀淵さんは、創業者のふたりを口説き、日本への出店が実現しました。

Photo by 小田中雅子

1階はファクトリー、販売スペース。チョコレート作りを直にみるだけでなく、実際にチョコレートを作っているスタッフと会話できます
1号店をオープンする場所として選んだのは、職人が住むものづくりの街として知られる蔵前。作り手の個性を大切にする「ダンデライオン・チョコレート」にぴったりの場所です。

店作りでこだわったのは、サンフランシスコの雰囲気をそのまま日本に再現すること。通常は、店奥にあったり、ガラス壁で隔てたりするファクトリーエリアを開放的なオープンキッチンとし、訪れた人が製造工程を見ることができるようにしました。

チョコレートを製造する音に包まれ、活気あふれる店内は、まるでチョコレート工場を訪れたかのよう。チョコレートの甘い匂いが満ちあふれ、チョコレート好きにはたまりません。

Photo by 小田中雅子

2階のカフェスペースは壁のイエローが映えて、明るい雰囲気。座り心地の良いソファスペースもあります
1階はファクトリーと販売スペース、カウンター席、2階はテーブル席やソファ席などが並ぶカフェスペースです。

2階は奥に大テーブルが備えられ、ワークショップイベントに利用されます。2階の大きなガラス窓からは隣の公園の緑が見え、明るい雰囲気。リラックスした気分でチョコレートを使ったスイーツやドリンクが楽しめます。

ひと粒のチョコレートから広がる奥深い世界

Photo by 小田中雅子

1階でおこなわれていたカカオ豆の選別作業。カカオ豆の実物を見る機会はなかなかなく、希少な光景です
「ダンデライオン・チョコレート」のチョコレートの材料はとてもシンプル。カカオ豆とオーガニックのきび砂糖のみで作られます。

それでいながら、味わいは幾通りもあり、食べる度に驚かされるほど奥深い魅力を持っています。その秘密はカカオの持つ豊かな風味にあります。

Photo by Dandelion Chocolate Japan

左:カカオ豆のロースト。焙煎するカカオ豆に合わせて、温度や時間を変えます。右:できあがったチョコレートバーの包装。すべての工程を職員が手掛けていきます
同店のチョコレートは、カカオ豆の調達からチョコレートバー製造までを一貫しておこなう“Bean to Bar(ビーントゥバー)”と呼ばれる製法で作られます。
アフリカ、中南米、アジアと世界中のカカオの産地から調達。そのカカオのおいしさを最大限に引き出すように温度と時間を調整しながらロースト(焙煎)をし、すりつぶし、テンパリングなどの工程を経てチョコレートに仕上げていきます。

Photo by 小田中雅子

チョコレートバーの包装に注目! 包装紙の模様は産地によって決められています。また色も、銀色は日本で、金色はアメリカでというように製造した国によっても分けられます
もうひとつの欠かせない特徴がシングルオリジンであること。カカオ豆は国だけでなく、産地、さらには収穫した年の気候によっても味わいが異なります。その個性を楽しんでもらうために、ブレンドをせず、チョコレートには一種類のカカオ豆のみを使用します。

フルーツのような酸味だったり、キャラメルのような甘さだったり、さまざまなフレーバーを持つチョコレート。その個性豊かな表情に、チョコレートのおいしさはこんなに奥深いんだと驚かされます。

「どれにしようか」と迷ってしまったら、スタッフと相談。コミュニケーションしながら、自分好みのチョコレートを見つけるのが同店の楽しみのひとつです。チョコレートは試食もできるので、お気に入りを見つける楽しさをぜひ体験してみてください。

ダンデライオン・チョコレートのおすすめスイーツメニュー3選

シングルオリジン・カカオの持つ個性を大切にする「ダンデライオン・チョコレート」。「ファクトリー&カフェ蔵前」では、カカオの産地の個性を生かしたスイーツを気軽に楽しめます。

1. モチモチふっくら甘い「スモア」

Photo by 小田中雅子

550円(税込) 写真手前
「ファクトリー&カフェ蔵前」には、アメリカのメニューそのままを日本で提供しているものと、日本オリジナルものがあります。「スモア」は前者で、カフェオープン時から変わらぬ人気メニューです。

「スモア」は焼いたマシュマロをチョコレートと一緒にクラッカーに挟んで食べる、アメリカのキャンプでの定番スイーツ。

お店ではスパイシーなサブレの上に、チョコレートを流し込んだマシュマロをのせ、オーダーを受けてから、表面を炙っています。

Photo by 小田中雅子

チョコレートにトッピングされているのは岩塩。チョコレートの甘みを引き立てます
チョコレートにはフルーティな香りをもつグアテマラ産カカオ70%を使用。焦がした部分が甘いキャラメルのようで、ほろ苦いチョコレートとのバランスが絶妙。スパイシーなサブレがアクセントになっています。

モチモチとした食感のマシュマロは上品な甘さで、大人も子どもも楽しめるスイーツです。

2. チョコレート食べ比べ!「ブラウニーバイトフライト」

Photo by 小田中雅子

750円(税込) 使われるチョコレートはその時によって異なります
こちらもアメリカにあるメニューを再現したという「ブラウニーバイトフライト」。まったく同じ製法でチョコレートの種類だけを違えた3種類のブラウニーを食べ比べるメニューです。

Photo by 小田中雅子

この日のチョコレートはベトナム、エクアドル、マダガスカル産。

ベトナム産は黒糖にも似た個性的な味わいで、やみつきになるおいしさがあります。エクアドルは濃厚な味わいでほろ苦さが際立ち、マダガスカルは3つのなかでは一番チョコレートらしい甘さが感じられます。

気の合う人と訪れて、どの産地の味が好きかをおしゃべりしながら、いただいても楽しいですね。
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