ライター : macaroni_press

第2回「未来のレシピ」の受賞レシピがついに決定!

Photo by iStock/kumikomini

“2030年の食のあり方” をテーマにした、「未来のレシピを考える」コンテスト「Creative Chefs Box 2030(クリエイティブシェフズボックス)」の2回目が「一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会」(以下、SRA-J)にて開催!

2022年7月27日(水)からはじまり、世界食料デーの10月16日(日)にファイナリストが公表され、10月24日(月)受賞者が発表されました。未来の食に対して「問い」をテーマにしたレシピを募集。2回目となるCreative Chefs Box 2030 Vol.2 では、昨年の2倍となる50名の応募がありました。

昨年は未利用魚と野菜を使ったお寿司が最優秀賞に選ばれましたが、今年は果たしてどんなレシピが選ばれたのでしょうか……!
1回目の受賞レシピはこちら▼

Creative Chefs Box 2030 「未来のレシピ」とは?

Photo by 一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会

応募対象者は、ミレニアル世代(1980年生まれ)以下の、シェフまたは調理師専門学校生。料理人としての「問い」 から未来のレシピを考えて、 オンラインでコンテストは実施されました。

サステナビリティ、クリエイティビティ、見た目の3つの指標をもとに、SRAの「One Planet Plate(ワン・プラネット・プレート)※」の項目に基づいて審査。また、ファイナリストのレシピは「SuMPO」によるCO2排出量(LCA)の測定も参照されていますよ。

※今回の応募では、料理は以下6つの基準のうち、ひとつ以上を満たす必要があります。
1. より多くの野菜を使用
2. 低カーボンフットプリント
3. ベターミートの使用
4. 地産地消と旬の食材の推進
5. 水産資源と生態系の保全に配慮した魚介類の使用
6. 食料の無駄をなくす
詳細はこちら▼

【最優秀賞/特別審査員賞レシピ】社会派料理コンサルタント 小鉢ひろかさん「緑茶で食べる 玄米グラノーラ」

Photo by 社会派料理コンサルタント 小鉢ひろか

CO2排出量: 0.28kg-CO2e/1人前
最優秀賞、特別審査員賞を獲得したレシピは、緑茶に合う玄米グラノーラ。「ペットボトルでも抹茶味でもない日本の緑茶を残すために、伝統を無理に受け継ぐのではなく、持続可能な文化として時代に合わせて進化し続けてほしい」という願いが込められています。

小鉢さんの祖父母は静岡県川根町でお茶農家を営んでいますが、高齢化と担い手不足により茶畑は荒れ果て、かつての美しさを失いつつあったそう。「これは産地の問題だけでなく、私たちが、緑茶を急須で飲む文化を失い市場を衰退させているのも原因のひとつ」と受賞者は考え、同レシピを生み出しました。

Photo by 社会派料理コンサルタント 小鉢ひろか

具材に小豆と玄米を使用することで、和テイストと玄米の香ばしさが熱々の緑茶とベストマッチ。寒い冬の朝に食べたくなるレシピです。

小麦の消費量が伸びるなか、国産米の消費量向上に貢献したいとの想いが込められ、輸入された原料のグラノーラではなく、米×緑茶で食べる新しい朝食の提案です。

【特別審査員賞】サステナブル料理家 佐々木綾子さん「ギルトフリーステーキ」

Photo by サステナブル料理家 佐々木綾子

CO2排出量: 1.92kg-CO2e/1人前
もうひとつの特別審査員賞として選ばれたのは、ひと皿のお肉料理のなかで低カーボンフットプリント化を目指し、ダチョウ肉を使って作られたレシピです。

あっさりしてミネラル感のあるお肉に、しょうゆの搾りかすで旨みを補強し、香りを纏わせて仕上げられています。さらに佐々木さんは「廃棄されがちだが利用価値の高い食材に茶殻がある」と考え、天日干しした茶殻を瞬間燻製して料理に活用、香りをアップするというアイデアも披露。

また、野菜を自家栽培するメリットのひとつとして、「根が手に入ること」と佐々木さん。付け合わせの野菜はカリカリの食感で、噛むとふわっと広がる香りが楽しいひと品。調理の際は、フライパンや低温調理器の余熱を活用することで、エネルギー消費量も抑えられています。

【MATSURI賞】KITCHEN MANE 城田一基さん「神奈川県産アフタヌーンティーセット 〜昆布茶、昆布アイス、昆布ジンジャークッキー〜」

Photo by KITCHEN MANE 城田一基

CO2排出量: 4.47kg-CO2e/1人前
ウニやアワビなど藻食動物が海藻を食べ尽くし砂漠化してしまう「磯焼け」に目を向けて作られたレシピが、MATSURI賞(※)を受賞!

砂漠化した海で昆布の養殖をおこなうことで、餌となるプランクトンを増やすことができ、生態系が循環を取り戻して海の環境が豊かになることにつながります。

環境を保全するだけではなく、リジェネラティブ(環境をより良い状態に再生しようという考え方)の仕組みを作ることが可能な生昆布、日本人に親しみある昆布茶、そして海外の定番菓子としてお馴染みのアイス、クッキーと、日本と海外の掛け橋をイメージして作られているのも特徴。

さらに、小麦や茶葉も地産地消にこだわり、神奈川県横須賀市で無農薬栽培された横須賀小麦、茶葉は農薬不使用栽培「いしい茶園」さんの、やどりぎ水源林のお茶(お茶の木に負担のかかる二、三番茶をつまない茶葉)が使用されています。
※MATSURI賞とは……ちとせグループ創業者 兼 CEOの藤田朋宏さんが「藻を基盤とした社会」を構築する「MATSURI」プロジェクトを運営しており、「MATSURIが考える未来のレシピ」です。
受賞レシピの詳細や審査員のコメントはこちら▼

これを機にサステナブルな行動を意識してみよう♪

第1回に続き、第2回の「未来のレシピ」の受賞レシピも、どれも環境に配慮され、工夫されたレシピが勢ぞろいでした。新しい日本版グラノーラの発想から茶殻を活用する調理法、生態系のお話まで、ハッと驚き、新しい発見のあるレシピばかり。

サステナブルと聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、身近なことから少しずつ変えていくだけでも未来は変わります。まずは食材選びから意識し、フードロスの削減、余熱を利用する調理法など受賞レシピやファイナリストに残った方たちのレシピを参考にぜひ取り入れてみてください。サステナブルな行動を意識して、より良い未来へ繋げていきましょう!

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