ライター : macaroni 編集部

引田かおりさんから学ぶ。心に余裕が生まれる生活術

Photo by 合田和弘

ギャラリー fève オーナー/引田かおりさん 2003年より夫婦で吉祥寺でギャラリー「fève(フェブ)」とパン屋「Dans Dix ans(ダンディゾン)」を営む。リノベーションした自宅とていねいな暮らし方が雑誌やメディアで紹介される。著書は『「どっちでもいい」をやめてみる」』(ポプラ社)、『しあわせのつくり方』(KADOKAWA)などほか多数
毎日過ごす家だからこそ、快適に、おしゃれに、自分の理想の暮らしを反映させたいもの。でも現実は、仕事や家事に追われてそこまで手が回らない……と諦めモードの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、心にゆとりを持って理想の暮らしを実現させている引田かおりさんの生活から、ゆとりある暮らしや家事をシンプルにするコツを探ります。

Photo by 合田和弘

セカンドライフを楽しむために一軒家をリノベーションしたという、広々とした3階建てのご自宅。心地よい暮らしのヒントは、引田さんの家中にあふれています。

「1階は私たち夫婦、3階には娘夫婦と2人の孫が暮らしています。2階は娘夫婦の事務所です。二世帯でありながら娘夫婦とは1週間顔を合わさないこともありますが、やはり同じ屋根の下で暮らしているという安心感はありますよね。

普段は、午前中は家仕事をして、午後はギャラリーやパン屋の仕事をして、夜は夫婦それぞれに好きなことをやってのんびり過ごします。ギャラリーやパン屋にもほど近く、夫婦の時間を多く過ごす家ですから、やっぱり快適に暮らしたいですね」

「まぁいっか」を習慣に

Photo by 合田和弘

引田さんの豊かな暮らしは、素敵すぎてまるで別世界のよう。しかしご本人いわく、生活がより良くなるように試行錯誤を日々繰り返し辿り着いたもので、決して特別なものではないんだそう。

特に意外だったのは、「20〜30代は家事と子育てに追われ、自己肯定感も低かった」という引田さんの過去。当然のように専業主婦として時間を費やしていたそうです。

「でもその後、夫の転勤や退職などで環境が変わるたびに、生活スタイルを柔軟に変化させていきました。どうやったら今よりラクで楽しくなるか。目の前の小さなことを改善していくうちに子育てが落ち着き、自分のためにできることが増えたという感じです」

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玄関前にある龍の置物は旦那様のもの。お互いの好きなインテリアを否定せず、家の中でうまく共存させているそう
「楽観的な性格の夫といることで、元々ネガティブだった私自身も徐々に変わりました。もちろん初めは、あまりにも楽観的な夫の思考に『え〜!?』と思うこともありましたけど、ギャップを埋めるために“まぁいっか”を口ぐせにしたんです(笑)。

どうしても合わないところは、仕方ないと諦めずに落としどころを探す。0か100で決めつけないことが大切だと思います。あとは、見返りを求めずに自分がやりたいからやるという主体性を大事にしたら、気持ちが楽になりましたね

目先だけでなく、時間をかけて生活を見直す

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常に、どうやったら良くなるか――を考えて積み重ねていくうちに、自分らしい心地よい暮らし方が見つかります。理想通りをすぐに求めるとしんどくなるので、時間をかけて。夫にも、指摘するのではなく、どうすれば協力してもらえるか言い方を考えながらいろいろと試してきました。

私は何でも自分でやらなきゃと思ってしまう性格ですし、そのほうが早いのもわかっています。でも長い目で見たら、夫も家事ができたほうが絶対にラク。“まぁいっか”とは思っても、諦めることはしませんでした。伝え方を工夫したり感謝の気持ちを忘れず伝えるようにしていたら、今では朝昼晩とも夫が食器洗いを担当してくれるようになりましたよ」

長年、豊かな暮らしにこだわり、シンプルな考え方を実践してきた引田さん。疲れて日々の食事が作れない、ということにならないよう心がけるほど、食事は生活の第一優先にしているそうです。そこで、まずはキッチンをメインに、こだわりを4つお聞きしました。

ゆとりのあるキッチンを作る4つのポイント

1. モノを循環させる

Photo by 合田和弘

キッチン横にあるパントリー
引田さんのご自宅は、どこを見渡してもスッキリと整理された印象。キッチンも例外ではありません。

モノが詰まっている状態がしんどいので、循環させるようにしています。買い物は好きなのでモノは増えるんですが、溜まってきたなと思ったら人にあげたり寄付したりして定期的に手放します。

モノに執着がないというか、そのモノにとって一番幸せなのは自分が持つことかどうかを考えています。私よりもほかの人が持っていたほうがモノにとって幸せなら、ためらうことなくプレゼントしちゃう。そういう気持ちでいると、不思議なことに自然と今ほしいものに出会いやすくもなるんですよ」

Photo by 合田和弘

窓枠に下がっている黄色い水切りマットを食器カゴ代わりに使用。 メーカー:CARINO(カリーノ)、商品名:やわらか水切りマット
「キッチンで最近やめたのは食器カゴ。お手入れも大変だし、なくても何とかなると思って。実際、なくても特に困らないことに気づきました。

モノをたくさん持つのって、エネルギーが必要ですよね。私にはそのエネルギーがないので、本当に必要かどうかを考えてから手元に置くようにしています

2. 固定概念にとらわれない

Photo by 合田和弘

「キッチンカウンターの上に置くのは、ふきんくらいですかね。タイマーもほら、いつも引き出しの中で鳴ってますけど、充分聞こえるでしょ?いろいろ外に出しておくと汚れて洗う手間が増えますしね。

調理器具が引き出しに入り切らないという方もいますが、限られたときにしか使わない道具って意外とほかのもので代用できるんですよ。本当に必要かどうかの基準は、毎日自分が使うかどうかで自ずと導き出せるはず。固定概念をとり払うと、意外とすぐに答えが見つかります」

3. 家族と協力しあえるように工夫する

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「リノベーションをするとき、夫が皿洗いを担当することが分かっていたので、カウンターは夫の高さに設定しました。お皿を洗う際、前のめりになるのが嫌だったので蛇口のアームは長いものに。おかげで私も夫も、ストレスなく洗い物ができるようになりましたよ。

あと、カウンターテーブルがあることで家族が協力しやすくなっています。できた料理を置いたらほかの人が配膳してくれるし、買い物したものを広げると手分けして片付けてもらえるので、かなり役立ってますね」
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