ライター : ヤマモトマコ

製菓衛生士・現役パティシエール

しっとり香ばしい♪ アップサイドダウンケーキのレシピ

Photo by ヤマモトマコ

調理時間 60
*ケーキを冷ます時間は除く
パイナップル缶を使用する、簡単でおいしいアップサイドダウンケーキのレシピをご紹介します。アップサイドダウンケーキとは、その名の通り「アップサイドダウン=逆さま、ひっくり返す」ケーキのこと。ケーキ型の底にフルーツを敷き詰めて焼きあげ、ひっくり返したら完成するアメリカで定番のホームメイドケーキです。フルーツとともにキャラメルを型底に流し込むことで、奥行きのある本格的な味わいに仕上がります。

材料(15cmの丸型1台分)

Photo by ヤマモトマコ

コツ・ポイント

  1. パイナップル缶をまるごと使用しておいしく簡単に
  2. パイナップルシロップを一度沸騰させることで缶臭さをなくす
  3. しっかり焦がしたキャラメルを作って味に奥行きをプラス
  4. すき間なくパイナップルを敷き詰めてきれいな幾何学模様に
アメリカンホームメイドの定番であるアップサイドダウンケーキは、使用するフルーツに決まりはありません。パイナップル以外にもバナナやオレンジ、りんごなども人気の組み合わせです。なかでもパイナップル缶は、フルーツを剥く工程がなく、シロップも丸ごと使えるので、初心者でも手軽においしいケーキを作れるのが嬉しいポイント。美しい幾何学模様も、きれいにカットされたパイナップル缶を使えば上手に作れます。

シロップを沸騰させて缶臭さを飛ばしたり、しっかり焦がしたキャラメルをケーキにプラスしたりするひと手間で、缶詰でも本格的な味わいに仕上がりますよ。

下準備

材料を常温に戻し、粉類を振るう

やわらかくふんわりした生地に仕上げるため、材料はすべて常温に戻します。冷えた材料を合わせると生地が固くなり、型に流すときにも一苦労。特にバター(無塩)は薄くスライスしてラップやトレーの上に広げ、指で簡単に押せるくらいのやわらかい状態に戻しておきましょう。薄力粉とベーキングパウダーは一緒に振るっておいてください。

缶詰を果実とシロップに分ける

ステンレスのトレーにのった、輪切りのパイナップル、パイナップル缶のシロップなど

Photo by ヤマモトマコ

缶詰を果実とシロップに分けます。底面用(輪切り4枚分)のパインはキッチンペーパーでしっかり汁気を切ってください。汁気がないと底面がしっかりと焼けるので、美しい焼き色に仕上がります。混ぜ込み用(輪切り4枚分)は1cm程度の大きさにカットします。汁気は切らなくてOKです。

缶詰のシロップを沸騰させる

缶詰のシロップは一度沸騰させておきましょう。生地に混ぜ込む用のシロップが熱すぎると、バターが溶けて仕上がりのふんわり感が損なわれてしまいます。先に準備しておけば、生地に混ぜ込む際に適温(人肌以下)まで下がります。

型を作り、オーブンを予熱する

ベーキングシートをセットした丸い焼き型

Photo by ヤマモトマコ

型の高さよりも0.5~1cm程度はみ出すようにベーキングシートをカットすることで、焼き上がりのケーキを型から抜きやすくなります。キャラメルが流れ出るのを防止するため、底が抜けないタイプの型を使用すると安心です。型ができたらオーブンを170℃に予熱しておきましょう。

作り方

1.キャラメルを作る

鍋に入ったグラニュー糖、バター(無塩)、パイナップル缶のシロップ

Photo by ヤマモトマコ

型の底に流すキャラメルを作ります。小鍋にグラニュー糖(キャラメル用40g)を入れ、中火にかけます。鍋の側面を囲うほど火が強すぎると、まわりのグラニュー糖ばかりが焦げてしまうので、鍋底にちょうど当たる程度の火力にしてください。
鍋に入ったキャラメル

Photo by ヤマモトマコ

写真のように、しっかりめの色がついたら火を止め、すぐにバター(無塩)を入れます。溶けたら、パイナップル缶のシロップ(温かいもの)を数回に分けて入れてください。一度に入れるとキャラメルが跳ねるので注意です。
型にキャラメルを流した様子

Photo by ヤマモトマコ

キャラメルが熱くサラサラ状態のうちに、型に流します。おおよそ全体に行き渡っていればOKです。

2.パイナップルを敷き詰める

ベーキングシートを貼った型にまんべんなく敷き詰めた缶詰のパイン

Photo by ヤマモトマコ

キャラメルが固まる前に、パイナップルをすき間なく敷き詰めます。キャラメルにパイナップルがくっつくことで、生地を流したときにパイナップルが動くのを防ぎます。パイナップルの並べ方は自由ですが、写真のようにぴっちり詰めると美しい幾何学模様に焼き上がりますよ。

3.生地を作る

ガラスのボウルの中で、バター(無塩)とグラニュー糖をホイップした状態

Photo by ヤマモトマコ

やわらかいバター(無塩)にグラニュー糖を加え、白っぽくなるまでホイッパーでミキシングします。固さがなく、写真のようにふんわりした状態まで混ぜましょう。
ガラスのボウルに入った、バターとグラニュー糖をホイップしたものに、卵黄を加えた状態

Photo by ヤマモトマコ

卵を卵黄と卵白に分け、卵黄を一度に加え混ぜます。そのあと、卵白を少しずつ加えます。分離しにくく、手早く混ざるおすすめの方法です。
ゴムベラですくったケーキ生地

Photo by ヤマモトマコ

ゴムベラに持ち替え、振るった薄力粉とベーキングパウダーを加えます。写真のようにツヤがあり生地がなめらかに繋がった状態になるまで混ぜてください。
ガラスのボウルに入った、ケーキ生地とカットしたパイナップル、シロップ

Photo by ヤマモトマコ

カットしたパイナップル、人肌以下の温度まで冷めたパイナップル缶のシロップ(30g)を加え、さっくり混ぜます。
ガラスのボウルに入った、パイナップル入りのケーキ生地

Photo by ヤマモトマコ

生地のできあがりは写真のような状態です。

4.型に流し焼成する

ベーキングシートを貼った型にすり鉢状にケーキ生地を流した様子

Photo by ヤマモトマコ

生地を型に流し、すり鉢状にならします。ベーキングパウダー入りの生地は中心がポコンと膨らみます。真ん中をへこませておくことで、よりフラットな状態に焼き上がり、ケーキをひっくり返したときに美しく仕上がりますよ。
ケーキクーラーにのせた、型に入ったアップサイドダウンケーキ

Photo by ヤマモトマコ

170℃のオーブンで40~50分程度焼成します。途中、表面の焼き色が濃くなってきたら、アルミホイルをふんわりかぶせましょう。生地の真ん中に竹串や箸を刺して、ねっとりとした生地がついてこなければ焼き上がりです。

5.シロップを塗る

ケーキクーラーにのせた、型に入ったアップサイドダウンケーキ、パイナップルシロップ

Photo by ヤマモトマコ

ケーキが熱いうちに、パイナップルのシロップを表面に塗ります。量はお好みですが、たっぷり塗ると、よりしっとりとした食感が楽しめます。

6.型から抜いて艶出しジャムを塗る

白い皿にのった、アップサイドダウンケーキを横から見た様子

Photo by ヤマモトマコ

粗熱が取れたら型の上に皿をかぶせ、ひっくり返します。ケーキはすぐに型から外れないので、落ち着いてひっくり返しましょう。型を上下に少しゆすって持ち上げれば、ケーキがゆっくり型から外れます。ケーキが完全に冷めてしまったり冷蔵庫に入れて冷やしたりすると、キャラメル部分が固まり抜けにくくなるので注意です。
上部から見たパイナップルのアップサイドダウンケーキ

Photo by ヤマモトマコ

ベーキングシートを外し、仕上げの艶出しに、マーマレードを濾してピールを取り除いたジャムを全面に塗ります。もちろん、あんずやレモンなどお好みのジャムや、製菓用の艶出しジャムを使用してもOKです。
カットしたパイナップルのアップサイドダウンケーキ

Photo by ヤマモトマコ

切り分けてどうぞ召し上がれ!

保存方法・日持ち

Photo by ヤマモトマコ

アップサイドダウンケーキは常温で3~4日、冷蔵なら1週間、冷凍なら1ヶ月程度保存が可能です。ケーキは1日置くとしっとり感が増し、味にまとまりが生まれておいしくいただけます。冷蔵や冷凍保存の際は、写真のようにぴったりラップし、さらに保存容器に入れると良いでしょう。冷蔵、冷凍保存したケーキは食べる前に常温に出しておくと、ふんわりした食感に戻りますよ。

アメリカの定番ケーキをパイナップル缶で簡単に!

アメリカの家庭で親しまれているアップサイドダウンケーキ。パイナップル缶を使えば、簡単においしいホールケーキが作れます。ご紹介したレシピは、基本的な材料と道具があれば誰でもチャレンジできますよ。キャラメリゼや生地の作り方のポイントをしっかり押さえて、本場アメリカの味をぜひご家庭で楽しんでくださいね。

編集部のおすすめ