ライター : 大瀧亜友美

取材&グルメライター

愛犬と一緒に食べられる手作りごはんのすすめ

愛犬のために手作りごはんを作る人が増えています。毎回、愛犬用に手作りごはんを作るのは骨が折れそうですが、少しの工夫で人間と同じ食べものを与えることができるのだとか。それなら時間もかかりませんし、飼い主もわんこも家族みんなで同じものを食べる喜びを感じられそう!

さっそくペット食育士の資格を持つ料理家・森崎繭香さんにそのコツを聞いてきました。森崎さんはペットと一緒に食べられるごはんやおやつをお店で販売しながら、ご自身でも実践されています。この記事では森崎さんのノウハウを惜しみなくお伝えしますので、愛犬に手作りごはんを作ったことがない人もぜひチャレンジしてくださいね。

教えてくれた人

Photo by Mayuka Morisaki

料理家/森崎繭香さん
フードコーディネーター。お菓子・料理研究家。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。多数の料理本出版や企業向けのレシピ開発、メディア出演など多岐に渡り活躍している。愛犬の不調をきっかけに手作り食に興味をもち、ペット食育士の資格を取得。2018年から無添加のごはんとおやつを販売する「one's daily(ワンズデイリー)」を運営する。

手作りごはんをわんこに食べさせる理由

Photo by macaroni

「きっかけとなったのは、one's dailyの宣伝部長でもある愛犬・陸(りく)の不調です。ある日、見たこともない発疹がお腹に現れて、とても痒そうで……。病院の先生からは、体に異常はないから食物アレルギーではないかと言われました。そこではじめて陸の食事について考えるようになったのです。

思えばずっと、ドッグフードが一番安全という固定観念に凝り固まっていました。いろいろ調べたらドッグフードは食品ではなく雑貨扱いということ、人間の食べものとは使える添加物の量や種類がまったく違うことを知りました。仕事上、料理家として人には手作りを勧めているものの、愛犬の食事はなぜか別物と考えていたんです。もちろん保存が効くドッグフードは便利なので活用しつつ、少しずつ手作り食にチャレンジするようになりました」

Photo by macaroni

「獣医の先生に尋ねたり、本で調べたりしながら手作りごはんを与え続けたら、ほんの数カ月で陸の発疹は見事になくなったのです。人間に限らず、多くの不調は水分不足による代謝不良といわれています。手作りごはんは一般的なドッグフードより水分が多いので、食事をするなかで自然と水分補給できたのもよかったようです。

それ以来、できるだけ多くの人に手作りごはんをペットに与えるメリットを伝えたいと考えるようになり、無添加にこだわったごはんとおやつのお店としてone's dailyをオープンしました。わんこは家族なので一緒に食べられるものにしたいと思い、“シェアできるごはんとおやつ”をコンセプトにしています」

飼い主とわんこが一緒に食べられるごはん、どう作る?

Photo by macaroni

「わんこの食事は食材や塩分など気を遣わなければいけない部分が多いので、手作りはハードルが高い印象もあると思います。実際は、ネギ類やチョコレート、ぶどうなど与えてはいけない食材に気を付ければ、人間と同じメニューを食べてもらうことは可能ですよ」

Photo by macaroni

「one's dailyではわんこの体によい食材を選ぶだけでなく、せっかくシェアするのだから飼い主さんもおいしく食べられるものを心掛けています。例えばクッキーなどは砂糖を極力使わないようにしていますが、人が食べてもおいしいと感じられるよう、さつまいもなどの食材で甘みを出しています。双方にとってよりよいものになるよう、かなり研究は重ねましたね。

歯磨きケアの一環になるよう、クッキーなどのおやつは歯ごたえも大切に。もちろんやわらかく食べやすい商品もあるので、シニア犬も楽しめますよ」

手作りをはじめる前に……。覚えておきたい心得

Photo by macaroni

「犬に与えるごはんを作るときはほとんど調味料を使いません。食材にも塩分は含まれているので、基本は味をつけずに煮込みます。塩分不使用の出汁パックを使っても、もととなる魚に微量の塩分が含まれているので風味は出ます。

愛犬の体調や身体の大きさに合わせて食材の切り方や量を調節するのも大切です。小型犬やシニア犬なら食材を細かく、お腹の調子が悪い場合はよく煮てあげるとよいでしょう。手作りのごはんをわんこに与えることのメリットは、調子に合わせて食事の内容を細かく変えてあげられるところ。食事の量は愛犬の頭の鉢くらいの量を目安にしつつ、体型を見ながら調整するといいですね」

Photo by Mayuka Morisaki

「火傷してしまうといけないので、熱々のできたては与えず、30度くらいに冷ましてから与えてくださいね。手作りスープを多めに作り、小分けにして冷凍しておくのもおすすめです。温め直したスープを冷凍ごはんにかければちょうどよい温度になりますよ」

~わんこといっしょに食べられる「参鶏湯」のレシピ~

Photo by macaroni

陸くん用の参鶏湯。材料は食べやすいように細かく切られ、鶏むね肉は身をほぐしてある。

Photo by macaroni

飼い主さん用の参鶏湯は、仕上げに塩やごま油をお好みでかけて。

編集部のおすすめ