ライター : 嶋田コータロー

お土産マイスター

オトナのどら焼き「ラムドラ」【マニア注目の逸品 #2】

Photo by 梅月堂

こんがりきつね色に焼けた生地の中に、たっぷり入ったあんこ。

子どもから大人まで、いろいろな年齢層の人たちを虜にするお菓子といえば「どら焼き」です。つい、おやつに食べたくなるときってありませんか?

そんなどら焼きに“オトナのどら焼き”と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。

その名は「ラムドラ」。しっとりした生地とラムレーズンの香りが魅力的な、まさにオトナの味わいがするどら焼きです。

筆者は初めて食べたときに「こ、これは!新しい!」と思いました。

連載「マニア注目の逸品」第2回目は、鹿児島県の梅月堂が手がける「ラムドラ」をご紹介します。ラムドラの誕生とおいしさの秘密を徹底調査しました!

誕生のきっかけは、夫婦会議だった!

Photo by 梅月堂

お話をお聞きしたのは、梅月堂の4代目当主・石原良さん。内閣府に勤務していたという、和菓子屋さんにしては異色の経歴を持たれる方です。3代目の急逝により家業を継いだ石原さんは、一から和菓子作りや経営について勉強されたそう。

ラムドラに込めた思いを語ってくださいました。

ラムドラ誕生のいきさつを教えてください。

石原さん(以下、石原):ラムドラは、2つの思いから生まれました。ひとつは企業文化を取り戻すこと。梅月堂の企業文化は「先祖代々のまじめさと発明」です。私が家業を継いだときは、“チャレンジ精神と発明”については、失われているように感じていました。それで、もっとも突き抜けた和菓子を作ることで、その文化を取り戻したかったんですね。

もうひとつは、「頑張るオトナの女性が元気を取り戻せるような和菓子を作りたい」という思いです。私ども夫婦が東京にいたころは、共働きで毎日忙しくしていたこともあり、そういう気持ちが生まれました。

これまでのお客様を大切にすることが一番ですが、私どもと同世代の20代後半から30代の方にも、梅月堂の和菓子を召し上がっていただきたいです。

ラムドラは車中での夫婦会議で生まれたそうですね。

Photo by 梅月堂

石原:私ども夫婦は、駐車場に止めてある車の中で毎晩お酒を飲みながら会議をします。会社と家庭との間のクッションタイムのような時間ですね。そのときに生まれたのが、お酒好きである私の「ラムレーズンとぬれどら焼きを合わせたらどうか?」というアイデアでした。

ぬれどら焼きというのは、2代目が「どこにもないしっとりとしたどら焼きを作りたい」との思いで開発した、どら焼きを改良した商品です。ぬれどら焼きの販売が軌道にのったころ、餡バター好きの妻が「餡バターのぬれどら焼きがあったらいいのに」と言ったことがありました。

よいアイデアと思ったものの、そういう商品は既に存在しているし、前述の2つの思いに対しては、ちょっと弱いと感じました。その結果、ラムレーズンを入れることにしたんです。

芳醇な香りで辛口、ぷりっとした食感のラムレーズン

Photo by 梅月堂

ラムドラの魅力といえば、なんといってもラムレーズンの香り。

筆者はひと口食べて、すっと鼻を抜ける香りのよさにはまりました。ラム酒の香りって、なんであんなに人を心地よくさせるんでしょうか。

ラムレーズン×どら焼きという発想は斬新ですよね。ただ、開発には相当苦労されたようです。

発売までの試作でむずかしかったところを教えてください。

石原:ラムレーズン探しですね。当初、いろいろなラムレーズンを取り寄せては試作と試食を繰り返しましたが、「餡」×「ラムレーズン」について、私の描くイメージを実現させてくれるものを見つけられませんでした。

芳醇といえる香りが出ず、餡と組み合わせると甘く、レーズンの食感が少し乾いた“ぐにゃり”としたものになってしまったんです。最終的には、自社でラムレーズンを作ることにしました。

ラムレーズン探しとラムレーズンの開発にかかったのは、半年以上です。でも、その甲斐あって、「香りが芳醇で」「辛口で」「ぷりっとした食感」のラムレーズンを手にすることができました
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