ライター : 嶋田コータロー

お土産マイスター

「日本三大まんじゅう」は、志ほせ饅頭、大手まんぢゅう、柏屋薄皮饅頭!

Photo by 嶋田コータロー

気軽に食べられる和菓子として昔から親しまれる「まんじゅう」。あんこが入ったシンプルなお菓子ですが、種類はさまざまです。

そんなまんじゅうに、「日本三大まんじゅう」と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。名前のとおり、日本を代表する3つのまんじゅうです。

・東京都:塩瀬総本家「志ほせ(しおせ)饅頭」
・岡山県:大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」
・福島県:柏屋「柏屋薄皮(かしわやうすかわ)饅頭」


残念ながら、どのようにして決められたのか、詳細はわかっていません。ただ、遅くとも1990年代には、三大まんじゅうとして知られていたのは事実。

1993年発行の「日本三大ブック(講談社)」には、上記の3つが日本三大まんじゅうとしてあげられているんですよ。2016年から「日本三大まんじゅうサミット」なるイベントが開催されており、認知度が高まっています。

この記事では、三大まんじゅうのひとつ「大手まんぢゅう」をご紹介しましょう。

日本三大まんじゅうの詳しい紹介はこちら▼

1837年誕生、備前銘菓「大手まんぢゅう」とは?

Photo by 大手饅頭伊部屋

大手まんぢゅうとは、大手饅頭伊部屋(おおてまんじゅういんべや)が製造販売している饅頭のこと。岡山県では誰もが知る備前名物です。古くから歴史があり、今では岡山県の定番土産として愛されています。

お店が岡山城大手門の付近にあったことから「大手まんぢゅう」と命名されました。当時の備前藩主からの寵愛を受け、お茶会の席では必ず備前焼の茶器とともに愛用されるほどだったそうです。

そんな名物について知るべく、まんじゅう作りや味の秘密について、大手饅頭伊部屋の常務取締役である大岸聡武さんにお伺いしました。

Photo by 大手饅頭伊部屋

大手まんぢゅうの素材や作り方について教えてください。

大岸さん(以下、大岸):備前岡山は古くから米処と言われてるんです。大手まんぢゅうは、その良質な備前米を材料として、まず糀(こうじ)から作り始めます。

もち米などの素材を加えながらじっくり日数をかけて、成熟した甘酒を仕上げていきます。これに小麦粉を混合し、発酵させて生地を調製するんです。

その後、丹念に仕上げた生地で、北海道産小豆を特製の白双糖(しろざらとう)で練り上げたこし餡を薄く包みます。これを蒸しあげると、甘酒の豊潤な香りを漂わせながら、できあがりです。

まんじゅう作りにおいて、昔と比べて変化している部分はありますか?

Photo by 大手饅頭伊部屋

大岸:製造方法においては、基本的には昔ながらの製法で作っています。工程の多くで機械化が進んでいますが、人間の目や手で確認をする作業はなくなっていません。

材料は、より良いものを使うようにしています。創業当時の江戸時代には、北海道産小豆はありませんでしたが、現在は質のよいものを入手できますからね。

砂糖や小麦も精製度は格段に上がっていますので、その時代のなかで良質なものを使用しています。

なめらかな餡の秘密は、素材へのこだわりにあり!

Photo by 大手饅頭伊部屋

大手まんぢゅうの人気の理由といえるのが、なめらかな味わい。和菓子好きの筆者も、一度食べて虜になりました。そのおいしさはどこからくるのでしょうか。

餡がなめらかでおいしいと評判ですよね。こだわりを教えてください。

大岸:生地だけではなく、餡の原材料にもこだわっています。原材料はとてもシンプルで、小豆、砂糖、水です。

小豆は風味の豊かな北海道産を選んでおり、近年は帯広市の士幌農協の小豆を使用しています。毎年9月に現地視察に行き、地域ごとに育成状態をチェックしているんです。

砂糖は高級和菓子に使われる白双糖を使用しています。結晶が大きく、無色透明で糖度99.9%です。それだけ雑味が少なく、すっきりとした舌切れのよい甘さになるんですよ。

水については、工場がある岡山市雄町の冷泉と同系の水脈から地下水を引いています。水質が良質で豊富、そして日本銘水百選にも選ばれる水なんです。
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