ライター : chansane

記事を書いたのはこの人

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macaroni 編集部 カメラマン / さねやん @chan.sane
ショートカットとピアスをトレードマークに今日もバシバシ撮って撮って撮りまくる、パッション系カメラマン。ガッツ溢れるキャラクターとは裏腹に、趣味はお菓子作りという乙女な一面も…。

自炊の回数が増えたからこそ知りたい「フードスタイリングのイロハ」

こんにちは! macaroniのカメラマン・さねやんです。写真を撮ることも、料理を作ることも大好きだけど、恥ずかしながらスタイリングセンスは壊滅的なわたし…。スタイリングがうまくいかず泣く泣くSNSにアップできなかった写真も数知れず。

「でもきっと、同じ悩みを抱えてる人っているのでは?」ある日そう思い立ち、企画からスタイリングまでこなす敏腕ディレクター・みかりんに、スタイリングとは何ぞや、とたずねると、思わず納得、でもとってもシンプルな答えが返ってきました。

「おしゃれなアイテムや料理が揃っていても、なんだか微妙になっちゃう…」そんなスタイリング難民たちに向けた、スタイリングのコツをみかりんと撮影した写真とともに紹介します♪

教えてくれた人

macaroni 編集部 チーフ企画ディレクター / みかりん @m_krin
macaroniのディレクター兼フードスタイリスト。製菓学校で学んだスキルや飲食店勤務の経験を活かし、次々と人の心に寄り添う企画を生み出す「小さな巨人」。時折ノリで作るまかないがとんでもなくクオリティが高い。

ポイント①主役を決めて、不自然な物を入れない

み「料理写真は、何よりも『おいしそう!』と思ってもらうことが一番だと考えています。使いたいお皿があったり、お花やグリーンを入れたくなったりと、やりたいことが次々と出てきてしまうけど、主役を際立たせるということはいつも意識しているポイントです!」

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「たとえば、このトーストの写真。蜂蜜のシズル感(食欲を刺激させる感覚)を際立たせたいから、バックのお皿は主役を邪魔しないお皿にしたいな、と考えました。シンプルな構図だから装飾や模様のあるおしゃれなお皿を使いたくなるところだけど、とろりと垂れた蜂蜜がきれいに見えるのはやはりツルッとしたスタンダードな器。何か特定の見せたいものが決まっていたら、思い切って他の色や質感を省いた方が絵がスッキリします」

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み「この写真の主役は言わずもがなパウンドケーキ。パウンドケーキのおいしそうに見えるポイントは『カットした瞬間』『アイシングのしゃりしゃり感』だよなと思い、急いでアイシングを用意し、ケーキを切り分けてぱたっと倒した構図にしてみました。その構図を生かすために、カッティングボードもシンプルなものをチョイスし、お花や小物もほとんど使っていません。アクセントが欲しかったので、レモンの皮を削って使っているんですが、ちょっと黄色が入るだけでアイシングが更に際立っていると思います」

主役がない場合は?

「とはいえ、テーブル全体を見せたいときのように、主役がない場合もありますよね。なので、いつも最初に『料理を見せたいのか(主役がひとつ)』『世界観を見せたいのか(全体が主役)』を決めるようにしています」

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み「この写真は“パン時間を楽しむ”がテーマで、主役を作らず、世界観丸ごとを見せるつもりでスタイリングしたもの。20代後半〜30代の女性が、お気に入りのパン屋でパンを買って休日にひとりで楽しんでいる姿を想像して作りました。好きなパン屋で買ったパンだし休日だし、いつもよりちょっとおしゃれなサラダやジャムを添えたくなるだろうと考え、そのイメージに合った小物を選びます。

脇に写るジャムヘラ一つでも、100円均一で買ったような物を使えば、そこだけで世界観が崩れてしまう。テンションが違うものがひとつあるだけで、違和感が出てしまうんです。このことについては次のポイントでより詳しく説明しますね」

ポイント②キーワードをヒントに食器の質感や色合い、テイストを揃える

み「『スタイリングがなんだかまとまらない』の原因は、食器の質感や色合い、テイストがそろってないからかも?表したい世界観をキーワードで考えてみるといいかもしれません」

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み「まずこの写真。フルーツサンドというワードに対して最初に浮かんだキーワードとしては『洋』『特別感』。ちょっと『品のいい』っぽいスタイリングにしたいなと思い、作っていきました。

すでにフルーツサンド自体に『品のいい』感じがあるけれど、ツヤツヤした白の器を合わせればもっと引き立つし、『特別感』ならやっぱりゴールドでしょう!ってことでカトラリーもゴールドです。例えばこのスタイリングの中に土っぽい器が使われていたり、木のフォークが添えられていたりすると、ちょっと古民家カフェ感が出ますよね(それはそれで可愛いんですが)。これはツヤツヤキラキラな雰囲気になるようにスタイリングしました」

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「次にベトナム風のおにぎりをお弁当に詰めたこちら。実は買ってきたお惣菜をまるごと移しかえてスタイリングしました。キーワードを挙げるなら『ベトナム』『アジア』ですね。

そうなると、お弁当箱は曲げわっぱよりアルミのほうが合うし、アジア雑貨っぽい濃いめの木や竹の質感に近いものがあると“ぽさ”が出ます。アジアならカラフルな器もありなのですが、このお弁当に付いていたお花やおにぎりがすでにカラフルなので、その食べ物(主役)を引き立たせるために色味を省いています。左上のグラスは透明でどこにでもあるようなグラスですが、空間を埋めたかっただけなので、良い意味で存在感を無くしています。ここに高そうなグラスを使うと、今回の庶民的なアジア弁当の世界観から浮いてしまいますしね!」

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