アイスクリーム類の種類

ひとくちにアイスといっても、アイスクリーム類は4つに分類されます。そのなかで「アイスクリーム」と呼べるのは、乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分が8.0%以上のもの。これは、厚生労働省の“乳等省令”で決められている数値です。「乳固形分」はミルクの水分以外すべてを指すので、「乳固形分」+「水分」=「ミルク」となります。
ちなみに、乳固形分が10.0%以上、うち乳脂肪分が3.0%以上のものを「アイスミルク」、乳固形分が3.0%以上で、乳脂肪分の規定がないものを「ラクトアイス」、それ以下のものを「氷菓(ひょうか)」と呼びます。氷菓はアイスキャンディーやかき氷などのことで、乳固形分はほとんどありません。

ハーゲンダッツの乳脂肪は?

もちろん、ハーゲンダッツは堂々とアイスクリーム!と呼べる乳固形分・乳脂肪分の多さです。たとえば、ハーゲンダッツが誕生して以来、変わることのないロングセラー商品の「バニラ」は、以下のような成分になっています。
無脂乳固形分:10.0%|乳脂肪分:15.0%|卵脂肪分:0.8%
無脂乳固形分は、牛乳から水分と脂肪分を除いたものなので、「無脂乳固形分」+「乳脂肪分」=「乳固形分」となります。
つまり、ハーゲンダッツのバニラは、乳固形分25%うち乳脂肪分が15%ということ。これはなんとも濃厚です!無脂乳固形分は、たんぱく質、カルシウム、ビタミンなどの大切な栄養素を含んでおり、脂肪分もからだに必要な栄養素です。つまり、それらが多いほど、風味がよく栄養的にも優れているといえます。

温度管理に手間がかかる

安心素材だからこそ温度が大事!

アイスクリームのなかには「アイスクリスタル」という細やかな氷の結晶が存在しています。アイスクリスタルの大きさは20~70ミクロン。ちなみに、日本人の髪の毛の太さは70~90ミクロンといわれています。このアイスクリスタルが均一なほど、アイスクリームなめらかになります。
しかし、いったん温度が上昇してしまうと結晶が大きくなり、均一さも失われてしまいます。そのため、なめらかさが失われてザラザラした食感になってしまうのです。
もしも、安定剤や乳化剤を添加している場合、アイスクリスタルの成長が抑えられるので、温度変化による食感の劣化は起こりにくくなります。しかし、ハーゲンダッツはシンプルな安心素材にこだわっているため、それらの添加物を使用していません卵黄に含まれるレシチンで乳化させ、脱脂濃縮乳のたんぱく質で安定作用を補っています。そのようなことから、とくに温度変化の影響を受けやすいというわけです。

温度を保つための徹底管理

そのために、ハーゲンダッツは温度管理を徹底しています。倉庫-25℃以下、配送時-20℃以下をキープし、もちろん店頭においてもチェックを怠りません。すべてのスタッフが細心の注意を払って温度を保ち、おいしさを守っているのです。

空気が少なく密度がギッシリ!

アイスクリームをかき混ぜながら凍らせる際に、混ぜ込む空気の量をオーバーランといいます。たとえば、1リットルの原材料に、1リットルの空気を混ぜ込むと、そのアイスクリームの量は2リットルになります。その場合は1:1なのでオーバーラン100%です。パーセンテージが多いもの、つまり、たくさん空気が入り込んでいるものほど、軽いサッパリとした口当たりになります。
しかし、ハーゲンダッツのアイスクリームの場合、オーバーランが20~30%に抑えられています。それはつまり、空気量が少なくて原材料がギッシリ入っているということ。そして、このオーバーランの低さこそが、ハーゲンダッツの濃厚でクリーミーな味わいの秘密なのです。また、オーバーランを下げるほど、アイスクリームは冷たく感じられるようになります。

大人向けアイスというブランディング

ハーゲンダッツのアイスクリームは、創始者の想いが受け継がれ、徹底した“こだわり”によってつくり続けられています。ならば、お値段が高いのも致し方ありませんよねえ。
が!しかし!ハーゲンダッツが高い理由は、それだけではありませんでした。
日本にハーゲンダッツがやってきたのは1984年。東京の港区青山に第1号店がオープンした際には、少し前のハワイアンパンケーキ店さながら、長い行列ができたことで話題になりました。しかし、その当時の日本ではまだ、アイスクリームは「子供の食べもの」という概念が強かったのです。
そこで、ハーゲンダッツのアイスクリームは、ちょっと贅沢な大人のためのデザートとして価格を高く設定し、高級アイスクリーム路線で売り出したというわけです。
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