イギリスでは「ブラックティー」

紅茶の本場といえばイギリスですね。英語では紅茶を単に「ティー(Tea)」といいますが、昔は「ブラックティー(Black tea)」と呼んでいました。 茶葉が取引される際に便宜上、緑色の茶葉を「グリーンティー(Green tea)」と呼ぶのに対して、黒褐色の茶葉を「ブラックティー」と呼んでいたそうです。 イギリスでは、茶葉の外観がとても重要視されていました。ほとんどの土地が硬水のため、きれいな茶液の色が出せないのも、理由のひとつかもしれませんが、茶葉の見た目で高級か否かを区別する時代があったのです。 以前、ロンドンではじめて紅茶を淹れた時、茶液がかなり黒い色をしていてびっくりした経験があります。茶葉の外観に限らず、こんな黒々しい茶液なら「ブラックティー」と呼ばれても不思議はないと思ったのでした。

「紅茶」の名前は、茶液の色から

一方、日本では茶葉の外観の色合いではなく、茶液の色が紅色だったことから、茶の栽培家であった多田元吉が「紅茶」と訳したのが始まりといわれています。 広辞苑では、紅茶を「茶の樹の若葉をつみとり、発酵させると紅褐色となり芳香を放つ。これを乾燥したもの。その煎汁は澄んだ紅色を帯びる」と解説しています。 日本の水は軟水〜中軟水で、お茶の風味や水色をしっかりと出すことができるので、茶葉の外観の色よりも、あえて茶液の色を名前として採用したということですね。 ちなみに、茶液にミルクやレモンなど何も入れないものは、「ストレート」「プレイン」などといい、「ブラック」とは呼びません。

茶葉を使わないのに「お茶」?

先ほど述べたように、お茶は茶樹「カメリア・シネンシス」から作られます。 色とりどりのハーブティーや、麦茶、そば茶、ドクダミ茶などは本当の意味では「お茶」ではありません。こういった、茶葉を使わないものは「茶外茶」「代用茶」などと呼んで区別されています。 つまり、本当の意味でのお茶は、茶の木(カメリア・シネンシス)から作られたものだけなのです! また、ハーブティーは「ハーバルインフュージョン」と表現されることもあります。この連載では今後、ハーブティーについても取り上げていく予定です。
おいしいだけじゃなく、ダイエットや生活習慣病の予防、インフルエンザ予防にも役立つ紅茶。ゆっくりとお茶の時間を楽しんでいるだけで、いろいろな効果が期待できちゃいます。ぜひあなたの生活に、紅茶をとりいれてみてくださいませ。
(写真&スタイリング/micamaru)
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