ライター : METLOZAPP

Webライター / ボーカリスト

そもそも、時候の挨拶とは?意味や目的を解説

日本人にとって、時候の挨拶は古くから慣れ親しんだ文化です。作成に慣れていない人にとっては少し面倒に感じるシーンもあるかもしれませんが、意味や目的を学ぶことで時候の挨拶をより身近に感じられるはずです。時候の挨拶の基礎知識を紹介しますので、作成にぜひ役立ててくださいね

季節感を共有できる

時候の挨拶の大きな目的として、季節感の共有が挙げられます。そもそも「時候」とは、春夏秋冬の気候や暑さ、寒さなど、季節の状態や移ろいを指します。特徴的な四季を持つ日本だからこそ、今も変わらずに受け継がれている文化といえるでしょう。

時候の挨拶を通じて季節感を伝え合うことで、時間の変化や四季ごとの趣などを共有できます。日本人にとって季節の移ろいは心の動きにも影響を与えるため、相手との精神的なつながりを得るためにも重要な要素なのです。

会いにくい相手と貴重なコミュニケーションの機会がつくれる

時候の挨拶は、普段は会いにくい相手との貴重なコミュニケーションの機会でもあります。伝達手段においてメールやチャットが主流である現代では、用件だけを簡潔に伝え合うようなコミュニケーションが好まれる傾向にあります。

しかしときには、相手とのコミュニケーションの質に重きを置きたいシーンもありますよね。たとえばなかなか顔を合わせていない人に大切な気持ちを届けたかったり、書面だからこその礼儀や想いを伝えたかったり。

「相手に確実かつ真摯に想いを伝えたい」というときに活躍してくれるのが、時候の挨拶です。時候の挨拶によって近況報告をしたり、相手の状況を尋ねたりすることで、用件以上の話題や感情を広げられます。

相手への思いやりが伝わる

時候の挨拶では文章を通じて、相手への思いやりも伝えられます。たとえば季節の変わり目や寒暖が厳しい時期の挨拶では、「お身体を崩されてはいませんか?」や「お変わりなくお過ごしでしょうか?」などの文章が用いられがちです。

たった一言、二言の気遣いを添えるだけで、相手への心配や愛情を伝えられるのが、時候の挨拶の素敵な特徴です。直接言葉にするのは少し恥ずかしい人でも、手紙やメールであれば気持ちを表現しやすくなりますよね。時には、やさしさがあふれる時候の挨拶によって、相手の印象が変わることもあるでしょう。

文章をやわらかくでき、話題を切り出しやすくする

時候の挨拶には、手紙全体の文章をやわらかくする役割もあります。時候の挨拶は、一般的に手紙の冒頭部分に記載します。本題に入る前に季節や体調などの話題を添えることで、その後に記載される本題への導入がよりスムーズになるのです。

とくにビジネス文章や、自分より立場や年齢が下の人への文章では、相手に不必要なプレッシャーを与えてしまうことも。時候の挨拶は、読み手に安心感を与えるための手段でもあります。すぐに本題に入らず、あえて時候の挨拶でクッションを入れるからこそ、より正しいニュアンスで全体の内容が届きやすくなります。

形式美を表現でき、教養や丁寧さを演出できる

様式美を表現でき、教養や丁寧さを演出できるのも、時候の挨拶の目的のひとつです。手紙やメールは、極論「相手に内容さえ伝わればそれでいい」と考える人もいるでしょう。もちろん、内容を誤解なく伝えることはコミュニケーションにおいて大切です。

しかし簡潔な内容だけではなく、美しく文化的な時候の挨拶を取り入れることで、書き手の知性を伝えられます。知性や教養は人生を豊かにするだけではなく、心ない人から雑な扱いを受けてしまう状況を防ぐためにも役立つでしょう。また相手から一目置かれることで、より良質なコミュニケーションのチャンスも生まれます。
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