ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

ネギが風邪対策に向いているってほんと?

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ネギは古くから日本でも親しまれ、免疫力を高める野菜としても知られています。

風邪をひいたときにネギ湯を飲む民間療法がありますが、それはネギに含まれるアリシンやネギオール、ビタミンC、β-カロテンなどの成分が風邪対策に役立つ性質をもつためです。

民間療法とはいえ昔から活用されていたのには理由がありました。それぞれの成分のはたらきについて詳しく解説します。(※1,2)

風邪対策におすすめの成分

  1. 辛味成分の「硫化アリル」
  2. 毎日こまめに摂りたい「ビタミンC」
  3. 青い部分に多く含まれる「ビタミンA」

辛味成分の「硫化アリル」

ネギには香りと辛味のもととなる硫化アリルの一種であるアリインが含まれます。アリインが分解されることで作られるのがアリシンです。

アリシンには強い抗菌力があるため、食中毒の原因となる病原菌から食材を守る目的でネギは薬味として利用されるようになったと言われています。この抗菌作用によって、ネギは風邪対策にも役立つと言われることから積極的に食べるのがおすすめです。(※1,2)

毎日こまめに摂りたい「ビタミンC」

ネギに含まれるビタミンCは、風邪やインフルエンザなどの感染症の際に必要量が増加すると言われています。水溶性のビタミンのため、まとめて摂取しても余剰分は尿と一緒に排泄されることから、こまめに摂る必要があるビタミンです。

長ネギは白い部分が多い根深ネギが一般的ですが、青い葉の部分が多い葉ネギのほうがビタミンCは多く含まれます。根深ネギを食べる場合も青い部分は捨てずに食べるようにしましょう。(※3,4,5)

青い部分に多く含まれる「ビタミンA」

ネギのなかでも青い葉の部分にはビタミンC以外にも、β-カロテンが豊富に含まれます。β-カロテンは体の中でビタミンAとして使われることからビタミンAの仲間に分類される栄養素です。

ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保つ役割をもつことで知られています。粘膜の役割は病原菌の侵入を抑えるバリアの機能です。ビタミンAのはたらきで粘膜の健康を保つと免疫力が高まり、風邪対策に役立ちます。(※1,4,6)

ネギの種類による栄養素の違い

それぞれに含まれる栄養素

栄養素根深ネギ葉ネギ小ネギ
糖質(g)5.83.32.9
食物繊維(g)2.53.22.5
β-カロテン(μg)831,5002,200
ビタミンC(mg)143244
それぞれ可食部100gあたり(※3,4,7)
白い部分が多い根深ネギは、β-カロテンとビタミンCがほかの2種のネギに比べると少ないのがわかります。これはβ-カロテンとビタミンCが青い葉の部分に多く含まれるためです。

これらのビタミンをより摂取するのには葉の割合が多い葉ネギや小ネギのほうが向いていると言えるでしょう。

風邪予防以外にも役立つネギの栄養素

ネギの栄養素と効果効能

  1. 血液凝固に関わる「ビタミンK」
  2. 体の調子を整える「ビタミンB群」
  3. 血圧の調整に役立つ「カリウム」
  4. おなかの調子を整える「食物繊維」
ネギは風邪対策に役立つ栄養素以外にも体に嬉しいはたらきをもつ成分を含む野菜です。代表的なものとしてはビタミンK、ビタミンB群、カリウム、食物繊維があります。

ビタミンKは血を止めるのを助け、骨を丈夫にする作用があるビタミンです。葉酸をはじめとしたビタミンB群はお互いに関わり合ってはたらくため、一緒に摂ると効率がよくなります。

カリウムは細胞の浸透圧を維持する栄養素で、食物繊維はおなかの調子を整える栄養素です。これらも前述の栄養素と同様、葉ネギや小ネギに多く含まれています。(3,4,7,8,9,10,11)
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