お家でお手入れができない「ニスや漆、ウレタン」

「どんな塗料も、使用するにつれ少しずつ塗料が剥がれ劣化します。塗膜が少しでも剥げていたり黒ずんできたりしたらメンテナンスのタイミング。しかし、ニスや漆、ウレタンなどはメンテナンスに技術が必要になるため、自宅でのお手入れはむずかしいんです。

愛着があるとか、大切にしているものなら思い切ってプロにお願いするのがベストです。ただし費用もかかるので、買い替えたほうが安く済む場合も多いですね」

木製品の正しい保管方法

「お手入れ以上に大切なのは、保管する場所。木製グッズにとって直射日光と湿気は天敵なので、保管場所によっては歪みや割れの原因に。窓辺は避け、直射日光が当たらない風通しの良いところに保管しましょう。

食器棚に収納する方が多いと思いますが、食器棚のような密閉空間は湿気が籠りカビが生えやすくなるので実はNG。どうしても密閉した空間に保管する場合は、乾燥剤を一緒に入れておくといいですよ!」

これはNG!劣化を早めてしまう扱い方

水に長時間漬ける

「濡れっぱなしは、木製グッズにとって厳禁!水に浸かり続けると、木が水分をグングン吸い込んでしまうのでカビの原因になり、傷みも早くなります。使い終わったらすぐ洗って拭きあげることを習慣づけましょう。

夏場などのジメジメした時期でも、意識的に水分をすぐ拭いてあげるとまったく違いますよ。『濡れたらすぐに拭く』を実践するだけで、だいぶ長持ちするはずです」

電子レンジや食洗機に入れる

「木は、熱に弱い性質があります。特に急激な温度変化は、塗装の剥げや膨張、歪み、変色の原因となり、最悪割れてしまうことも。

最近は食洗機や電子レンジ対応のものも増えてきましたが、できるだけ控えたほうが長持ちします。使い終わった木製グッズはやさしく手洗いしてあげることが、木にとってもストレスフリーですね」

熱湯に入れたりアルコール消毒したりする

「コロナ禍で菌に対して敏感になった今、熱湯消毒やアルコール消毒をする方も増えたと思います。しかし電子レンジや食洗機同様、急激な温度変化は傷みやヒビ、変形変色の原因となるのでやめたほうがいいですね。

アルコールや漂白剤などの薬剤も、塗料が抜けてしまい傷みが早くなるのでやめましょう。どうしても気になる場合は、アルコールスプレーをした布巾でやさしく拭いてからよく乾かせば消毒できますよ」

日常の使い方やお手入れ次第で、味のある特別なものに

「木製グッズはお手入れが大変なイメージもありますが、日頃正しく使い続けていれば、面倒な手入れも少なく、長く使うほどに磨きがかかり経年変化を感じられます。もっと気軽に使っていただくことで、日本のものづくりだけでなく林業にも少しでも興味を持ってくれる方が増えたら嬉しいですね」と成川さん。

見た目にも使い心地にも温もりが感じられる木製のキッチングッズ。正しい使い方やお手入れ方法を実践することで、長く愛用できるだけでなく、日々の暮らしが整うきっかけとなるかもしれません。

取材・文/鎌上織愛
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ