3. 衣は二度づけでしっかり

「衣は二度づけ、小麦粉→卵の工程を繰り返してしっかりつけておきましょう」

4. できるだけ多めの油で、温度は180℃

「フライは多めの油で揚げるとおいしくなります。そして温度も肝心。180℃の目安は、衣を油に入れた瞬間に中心からフワーっと広がること。少し経つと色が変わるくらいがベストです」

5. 揚げすぎず、仕上げは余熱で

「揚げ具合を衣の色で判断すると、つい揚げすぎてしまいます。余熱でも十分火は通っていくので、短いでサッと引き上げて余熱を利用するのがコツです」

洋食だけど天ぷら鍋?! 発祥店が明かす、エビフライ誕生エピソード

Photo by 島田 みゆ

今では多くの人に親しまれるメニューはどう生まれたのか、店主の木田浩一朗さんに聞きました
ーーそもそも煉瓦亭はどのようにして誕生したのですか?

木田さん(以降、木田) お店は私の曽祖父である木田元二郎が創業しました。当時、近くの築地に外国人居留地があったので、フレンチ料理店を出すつもりだったそうです。ただその居留地がすぐ廃止になってしまって……ならば日本人向けにアレンジした西洋料理を出そうとしたのがはじまりだと聞いています。

その頃はまだ洋食店という言葉はありませんでした。大正時代頃から少しずつメニューも変わり、お客様から洋食店と呼ばれるようになり「日本で初めて洋食屋と呼ばれた西洋御料理店」となりました。

Photo by 島田 みゆ

レトロで趣のある、落ち着いた店内。客席は地下1階~3階までと広々
木田 最初にできた料理が「仔牛のコートレット」。本来はドライパン粉をつけてフライパンで焼き上げます。

そのなかで、よりサクサクに仕上げるために生パン粉を使って揚げてみてはどうか、さらに牛肉より身近な豚肉を使ってみてはどうか、と作られたのが「ポークカツレツ」なんです。

Photo by 島田 みゆ

エビフライ、ポークカツレツ、オムライス、カキフライなど、煉瓦亭で生まれた洋食の数々
ーーそんななか、エビフライが誕生したきっかけは何だったのですか?

木田 ポークカツレツが好評だったことから、エビやカキなどの魚介類、ミースミントボール(ハンバーグの原型)を揚げるようになり、エビフライをはじめさまざまなフライ料理が生まれました。

うちは西洋料理店としてはじめて、「焼く」のではなく、天ぷら鍋を使って「揚げる」という調理法を取り入れたんです。今も変わらず、フライには天ぷら鍋を使っているんですよ。

煉瓦亭の元祖「エビフライ」は、時代を超えて愛される味

「これからも、昔の味や全体の雰囲気などは忠実に守っていきながら、どの時代でも多くの人に愛されるお店であり続けたいです」と店主の木田さんはいいます。

「西洋人のようなしっかりとした体を作ってほしい!」という想いで始まった煉瓦亭。西洋に負けるものかという強い想いが込められているのが、煉瓦亭のエビフライなんです。

今回のレシピを参考に、お店のような絶品エビフライをぜひ作ってみてください。テーブルクロスを広げてお皿を並べれば、いつもの食卓が洋食店に早変わりです。

文・撮影/島田みゆ
これまでの連載はこちら▼
店舗情報
※ 記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ