ライター : macaroni 編集部

スッキリ旨い!Jソースの秘密に迫る

Photo by Makoto Kishita

ソースブランドとして国内で知らない人はいない老舗メーカーのブルドックソース。同社の人気商品といえば「ウスターソース」「中濃ソース」「とんかつソース」ですが、どれかひとつくらいはどこのご家庭の冷蔵庫にも入っているのではないでしょうか。

そんなブルドックソースが2021年2月5日に「粉ものにも揚げものにも合う」「スッキリ旨い!」を掲げた新商品『Jソース』を発売。ブルドックソースの総力をあげて生み出したというこの新ソースを、3回に渡ってレポートします。

第2弾の今回は、Jソースのおいしさの秘密に迫るため、商品企画部Jソース開発担当の中尾真之さんにお話を伺いました。
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市場を変える!Jソースを日本の“新しいソース”にしたい

Photo by Makoto Kishita

開発担当者の中尾真之さん 学生時代より食関連の仕事に関心を持ち、新卒でブルドックソースのマーケティング部に配属。その後、商品企画部に異動してすぐに「Jソース」の開発を担当することになり、現在に至る
――Jソース開発のきっかけを教えてください。

中尾真之さん(以下、中尾) 私たちが作っている「ウスターソース」「中濃ソース」「とんかつソース」は、既に多くの方にご愛用いただいており、大変ありがたく思っております。

でも、じつはソースって調味料のなかでは新商品が出る頻度が低く、世の中全体で見ても、消費が増えている商品ジャンルではないんです。そんな状況だからこそ、私たちブルドックソースは、これまでにはない"新しいソース"を世の中にお届けしなくてはならない、と考えていました。

ソースは通常、粉もの用か揚げもの用のどちらかに大きく分類されます。でもこのふたつはじつはかなり違う味に作られているんですよ。なぜかというと、粉ものには出汁感が強い味揚げものには酸味がある味が好まれるからなんです。

そこで、粉ものにも揚げものにもどちらにも合うソースはできないかと考えました。

――粉ものにも揚げものにも合う新しいソースとは、どのようなソースなのでしょうか。また、開発するにあたって大変だったこととは何でしょうか。

中尾 
いろいろ調べてみると、特に若年層のソースが苦手という方々は、ソースに対して「味の主張が強すぎる」「甘くて濃い」というような意見を持っていることが多いとわかったんです。だから、そんな方にも好きだと思ってもらえる味、主張が強すぎずどんなメニューでも引き立ててくれるようなソースを目指すことにしました。

でも、ただ味を薄くするだけではソースのおいしさや魅力が半減してしまうので、ちょうどいい塩梅を見つけるのがむずかしかったですね(笑)。出汁感があって、酸味のバランスもいいソースの味を見つけるのは、気が遠くなるようなミッションでした。

味の追求にはかなりの時間を費やし、開発に関わるメンバーは少なくとも100種類は試作と分析を繰り返したと記憶しています。味を決めるだけでも1年間以上はかかりましたね。パッケージの作り込み、容器の開発も含めると、相当な時間と労力をかけました。Jソースは、開発チームの熱い思いが詰まった賜物なんですよ。

真相に迫る!Jソースの味と風味

Photo by Kanami Maruyama

――Jソースの味を「スッキリ旨い!」と表現されていますが、その味を作り出している秘密は何でしょうか。

中尾 
先ほどお話ししたように、「味が濃い」と感じられているソースとは大きくイメージを変えたかったので、甘さ、酸味、塩味などは軽やかにして、控え目を意識しました。

でも、ソースの魅力ってさまざまな素材が作り出す、深い味わいなんですよね。だから、軽やかさは出したいけれど、ソースとして薄っぺらな味にならないように、どのような素材を組み合わせればいいのか熟考しました。

そうして長い時間をかけてようやくたどり着いたのが、味を深める新しいスパイス「ジュニパーベリー」和の味を代表するかつおと昆布の旨み、さわやかな酸味を加えるレモンと酢の3つの組み合わせだったんです。

Photo by Makoto Kishita

フルーティーさと香辛料の芳香さをあわせ持つジュニパーベリー
――その3つの組み合わせについて、もう少し詳しく教えてください。

中尾 
まず「ジュニパーベリー」は、ジンの香りづけやドイツ料理などに使われるスパイスで、さわやかな風味、甘味、苦味のバランスが抜群で、肉との相性がいいんですよ。

このスパイスは、風味や味について悩んでいるときに研究開発部のメンバーが提案してくれました。香りと味のバランスがすばらしいだけでなく、他社さんで使用していないスパイスなので“今までにない新しいソース”というコンセプトにも合っているなと。

次に「和の旨み」。日本人は複雑な旨みが分かるので、出汁がとても重要なのです。イノシン酸(かつお)とグルタミン酸(昆布)を組み合わせることで旨みの相乗効果を発揮させました。動物性と植物性の両方の出汁が、味に奥行きを出しています。

最後は「酸味」ですが、レモンと酢(酢酸)の両方を使用。粉ものや揚げもの、そのほかソースを使うメニューというのは、味の濃いものが多いですよね。

おいしく食べ続けることができたり、後味に大きく影響したりするので、酸味によって口の中をさっぱりとさせる必要がある。だから、フルーティーさがあるレモンとすっきりした酢をブレンドすることで、理想の酸味のバランスを作り上げました。

味だけじゃなかった!Jソースのこだわり

Photo by Makoto Kishita

――味以外にこだわったのは、どのようなことでしょうか。

中尾 
今までのソースの容器について「かける量が調整しにくい」「キャップが汚れやすい」というご意見がありました。このご要望に応えるため、押し出すことで量が調整できる小さめのボトル口液切れがよくてくっつきにくいキャップを開発し、採用しました。女性やご高齢の方でも押しやすいやわらかさもポイントです。

――なぜ「Jソース」という名前になったのですか?

中尾 名前についてもたくさんの議論を交わしました。「お好みとんかつソース」「スッキリソース」などといった候補も(笑)。でも、どんな名前でも今ひとつ味のイメージが伝わらないなという結論に至ったんです。

どうやっても味をうまく表現することができないのであれば、なんだかよくわからなくても興味を喚起するネーミングにしようと。そこで出てきたのが“日本(Japan)のまったく新しいソース”という意味を込めた『Jソース』でした。

Jソースの「J」には「joint(繋ぐ)」「joyful(楽しい)」「juniper berry(ジュニパーベリー)」の意味も含まれているんですよ。

開発者一押し!Jソースのおすすめの食べ方

――何にでも合うとのことですが、特におすすめの食べ方を教えてください。

中尾 
肉料理には本当に何でも合いますよ。ビーフステーキやチキンソテーなどにかけていただいてもおいしいと思います。

弊社では食品との相性を甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5つのおいしさを科学的に検証する「味覚分析」をおこなっており、どんな料理や素材と相性がいいのか、いろいろと試してみました。

そこで今回は、相性度95%以上という優秀な結果が出ている2品と、賛否両論はあるもののハマれば意外なおいしさに出会える食べ方をご紹介しますね。

1. うに

Photo by Kanami Maruyama

中尾 醤油の代わりにJソースにつけて食べてみてください。うにがちょっと苦手な私も、Jソースなら食べられました!Jソースによって、うに独特の香りが緩和されるんですよね。クリーミーな甘さが際立つような感じなので、うにが苦手な方でもおいしく召し上がっていただけると思います。

2. 餃子

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中尾 Jソースはジューシーなものや肉との相性がいいので、餃子がおすすめです。餃子は粉ものかつ油を使う料理なので、Jソースと合わないわけがない。ソースのスパイスが肉の甘さと旨味を引き出し、酸味が脂っこさを感じさせないため、いつもより餃子がたくさん進みますよ。

3. 納豆

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中尾 「納豆にソース?えー!?」って思う方もいらっしゃると思うのですが、一度試してみてください。私は「お!意外とイケるかも」という印象でした。新しい納豆の楽しみ方ができると思います。

――最後に、どんなふうにJソースを楽しんでもらいたいですか?

中尾 
ソースを使ってもらうシーンをもっともっと増やしたいという思いで開発したのが、Jソースです。だから、Jソースをお買い求めくださった方が、「これにもJソースをかけてみようかな」とついつい手を伸ばしてくれるような商品に育ってくれるとうれしいですね。

いろいろ試していただき、もしも「これはおいしい!」という食べ方が見つかったらぜひ私にも教えていただきたいです。

Jソースはこれまでの概念を変える“新世代のソース”

Photo by Makoto Kishita

ブルドックソースが企業として最大の労力と時間をかけて生み出したJソースは、今までのソースとまったく異なる、まさに“新世代のソース”です。

中尾さんの「ソース市場に新しい風を吹かせるきっかけになりたい」という言葉に、一企業としてでなくソース市場を担うチームとしての責任や熱い思いが感じられました。

スッキリとしていてしつこさがなく、それでいてコクと旨みのあるソースは、今回ご紹介いただいたメニュー以外にも幅広く活躍しそうです。ソース好きな方はもちろん、ちょっと苦手という方も、ぜひ試してみてくださいね。
取材・文 / 丸山夏名美
写真 / 木下 誠

※本記事は個人の感想に基づいたもので、感じ方には個人差があります。
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