ライター : macaroni 編集部

監修者 : 龍 慶介

てしま農園 代表

教えてくれる人

てしま農園 代表 / 龍 慶介さん

自衛隊のパイロット、大手広告出版会社と異色の経歴を経て、10年前に農業の世界へ。“植物のプロとお客様をつなぐ”をコンセプトとした『てしまの苗屋』を立ち上げる。初心者の方に植物を育てることの楽しさを伝えたいと、苗の丁寧な育成はもちろん、購入される方への説明や相談にも積極的に対応。失敗しにくい苗の販売と育成に力を注いでいる。

植物への愛情たっぷりの龍さんに、1月のベランダ菜園におすすめの野菜&ハーブと基本的な知識やアドバイスをいただきました。

てしま農園のアイドルたち

Photo by てしま農園

編集部「冷たい風がいっそう身に堪える季節になりましたが、てしま農園の様子はいかがですか?」

龍さん「てしま農園では毎年この時期にイチゴの収穫をおこなっています。僕らにとってはイチゴはまさに風物詩なので、準備をはじめると“今年もこの時期が来たか〜”と気合が入るんです。でもじつは今年は、イチゴの収穫をおこなわなかったんですよ。だから、僕以上に農園で飼っている2匹の猫たちがガッカリしています」

編集部「わぁ!猫を飼われているんですか!?」

龍さん「元は野良猫だったんですが、いつの間にか住み着くようになって。今では猫たちに会いに農園に来てくれるお客様もいるほどですよ」
編集部「どんな猫たちなんですか?」

龍さん「キジトラとチャトラのオス猫です。特にチャトラの方は人懐っこくて、甘え上手なんですよね~。でも甘えてきたと思ったら噛みついたり(笑)。そんな所もかわいくて、いつも癒されています」

編集部「そうなんですね。猫たちも今年はお仕事がなくて退屈しているんですね」

龍さん「そう見えますね〜。自由な猫たちなので真相は分かりませんが(笑)」

1月におすすめのハーブは「クレソン」

編集部「今月おすすめのハーブはクレソンということですが、どういう植物なんですか?」

龍さん「クレソンは、別名ウォータークレスと呼ばれています。名前にウォーターが入るくらい水を好み、必要とする植物です。河原に生えている雑草が“じつはクレソンだった!”なんてこともあるんですよ」

編集部「えー!そうなんですか!?ということは、水分量多めに育てるのがポイントですか?」

龍さん「そのとおり!以前おすすめしたルッコラよりも水分量は必要としますが、同じような感覚です」

編集部「なるほど!クレソンが1月におすすめの理由は何ですか?」

龍さん「クレソンは比較的低い気温に強く、屋内栽培で気温が低くてもしっかり発芽してくれるので初心者の方にもおすすめしています。発芽してからは、大体10度くらいまでは耐えることができますよ。ただ発芽の際は20度くらいは必要になります」

クレソンを上手に育てるには?

最適な環境と植え付け方法

Photo by okamagami

編集部「屋内栽培ということは、スプラウトと同じく水耕栽培になりますか?」

龍さん「水耕でも土耕でも、どちらの方法でも可能です。土耕栽培の場合は園芸用の土で十分に育てられますが、おすすめはバーミキュライトという殺菌された無菌状態の培土を使うこと。ホームセンターやネットで購入できますよ。発芽の確実性を高めてくれるんです」

編集部「そうなんですね〜。無菌状態の土を使ったほうがいいんですか?」

龍さん「屋内の場合は紫外線が入らないことや、空気の入れ替えの頻度が少ないことから気温が一定になり菌が繁殖しやすくなるんです。なので、常に窓際で日光を当てることが大切ですし、基本無菌状態にしてあげるのが成功への近道だといえます」

Photo by okamagami

編集部「水耕栽培の場合は、何かポイントはありますか?」

龍さん「簡単でおすすめなのが、スポンジを土台にした育て方です。スポンジに1cm間隔で格子状にカッターで切り込みを入れて、十字の所にタネをひと粒埋め込みます。そうすると、ちょうどきれいに1cm間隔で並びますよ」

編集部「誰でも挑戦しやすくていいですね!でも、伸びた根っこはどうなるのでしょう?」

龍さん「根っこはスポンジの下からちゃんと出てくるので、プラ容器などに水を張ってウォーターキャッチがあるような状態でスポンジを浮かせてあげるといいですよ」

編集部「なるほど!先ほど発芽の際には20度くらいの温度が必要とおっしゃっていましたが、屋内で育てることを想定したときの環境のポイントを教えてください」

龍さん「クレソンに限らず植物全般に言えることなのですが、やはり発芽の際の温度環境って大切なんです。だから、最低でも10度以上、20度あると理想的ですね」

水と肥料のやり方

Photo by okamagami

編集部「水やりはどのようにするとよいですか?」

龍さん「最初は、スポンジに霧吹きするので十分です。スポンジの下の部分が湿っていたほうが育ちがいいですよ。根っこが見えてくるくらいに育ってきたら、水を入れ替えて水が溜まっている状態を作ってあげてくださいね」

編集部「スポンジで育てるとなると、栄養源はどうなっているのか気になります」

龍さん「クレソンは栽培期間がおよそ3カ月以上と長いので、日光だけでは栄養は不十分です。途中で薄めた液体肥料を2週間に1回ほどの頻度で霧吹きしてあげてください。早く栽培したいのであれば、もっと頻度を高くして1週間に1回でも大丈夫ですよ」

想定されるトラブルと対処法

Photo by okamagami

編集部「屋内で育てる場合は菌に弱いとおっしゃっていたので、3カ月以上同じスポンジを使い続けるのはなんだか不衛生なイメージで心配です......」

龍さん「確かに、この方法なら1~2カ月での収穫が理想ですね。おっしゃるとおり屋内での菜園は菌の繁殖が気になります。なので長期的に育てる場合は土耕栽培がいいですね」

編集部「菌が繁殖してしまった場合はどうすればよいですか?」

龍さん「腐敗臭や色の変化でサインを出してくれます。変化した葉は取り除けばOKですが、腐敗臭がしてしまったら処分した方がよいかもしれません。また混み合ってくると絡まって収穫しにくくなるので、そうなったら間引いてくださいね」
編集部「どのように収穫したらよいですか?」

龍さん「すぐに収穫する事ができるクレソンは、伸びた所からどんどん収穫していきましょう」

編集部「手でもぎ取って大丈夫ですか?」

龍さん「クレソンの収穫時のポイントとしては、手を使わずハサミで!手で収穫すると菌の繁殖の原因になります」
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