ライター : いとう まさと

フードライター / 食文化ライター

日本のもの・文化・食のおもしろさや良いところを伝えるべく、食分野や教育分野の記事を執筆中。日々、おもしろいもの、素晴らしいものを探しつつ、みなさまのお役に立てる情報をお届け…もっとみる

新スタイルの中華料理「ヌーベルシノワ」とは

「ヌーベルシノワ」とは、1980年代の香港で始まったといわれている、新しい中華料理のスタイルです。名前の由来は、フランス語で “新しい” を表す「nouvelle(ヌーベル)」、“中国の” を表す「chinois(シノワ)」を合わせた造語から。

料理を大皿に盛りテーブルの中央に置く従来の中華料理のスタイルとは異なり、各料理を西洋風に美しく盛り付け、コース料理のように提供するのが特徴的。また、油の使用量を減らして、素材の味を活かすように調理することも特徴のひとつです。

そんなヌーベルシノワは、フランス料理における調理法のひとつ「ヌーベルキュイジーヌ」に影響を受けたといわれています。

影響を与えたヌーベルキュイジーヌとは

「ヌーベルキュイジーヌ」は、1970年代に広まったフランス料理のスタイルです。

それまでのフランス料理は、宮廷料理をベースにした「こってり・濃厚な」味付けを特徴とする料理でした。そんな「伝統的で王道な料理体系」に対する反動として生まれたのが、ヌーベルキュイジーヌだったのです。

油分を抑えたさっぱりとした味付け、徹底的にこだわられた芸術的な盛り付けなどは、それまでの伝統的なフランス料理には見られない、革新的なアイデアでした。

一方で、ヌーベルキュイジーヌが持つそれらの特徴は、和食の影響を色濃く受けたともいわれています。

ヌーベルシノワと和食の関わり

ヌーベルキュイジーヌは、「フランス料理の帝王」とも呼ばれたポール・ボキューズ氏によって大成されました。従来とは異なる新しいフランス料理を作りたいと思っていた彼は、あるとき日本の懐石料理と出会います。

懐石料理には「新鮮な食材を使い、その持ち味を尊重する」「季節や料理に応じて盛り付けの器を変える」という特徴があります。そこに刺激を受けた彼は、自身の料理にもそれを活かし、ヌーベルキュイジーヌの形を作り上げました。

和食の影響を受けたヌーベルキュイジーヌをヒントにして、ヌーベルシノワが生まれた……このように、和食のDNAはヌーベルキュイジーヌに受け継がれ、時と国境を越えてヌーベルシノワにも影響を与えているのです。

ヌーベルシノワの料理の特徴

芸術的な盛り付けを楽しめる

ヌーベルシノワの第一の特徴は、芸術的な盛り付けで料理そのものを魅せること。洋食器に美しく盛り付けられた料理は、我々に「見る楽しみ」を与えてくれます。

埼玉県・越谷市にある「ヌーベルシノワ Ishibashi」の料理は、どれも繊細な美意識を感じられるものばかり。小鉢やグラスを使って立体感を出したり、細長いガラス皿に数種類の点心を美しく盛り付けたりと、目で楽しめる工夫が随所に凝らされています。

数々の料理をコースで楽しめる

遊龍特製 フカヒレの姿煮込み たまり醤油煮込み
ヌーベルシノワ・スタイルのお店では、コースで料理を楽しめるところがほとんどです。前菜からはじまって、スープ、魚料理、肉料理と、フレンチと同じような流れで料理が提供されます。

東京都・赤坂にある「Maison de YULONG(メゾン・ド・ユーロン)」は、ミシュランにも掲載されたことがある有名店。とても上品な空間で、シェフの腕が光る料理を堪能できます。とくに、「遊龍特製 フカヒレの姿煮」はここでしか食べられない逸品!ぜひ一度は賞味したいひと品です。

素材の味を活かした、上品な味わい

干しアワビの煎り焼き 特製コラーゲンソース
ヌーベルキュイジーヌの影響を受けているヌーベルシノワは、従来の中華料理の「味が濃く、油っこい」というイメージを払拭します。それは、素材が持つ繊細な味わいを引き出すことにこだわっているから。

横浜の元町・中華街にある「金香楼(キンコウロウ)」も、そんなお店のひとつ。料理はどれも上品な味付けで、とくに干しアワビを使った料理は旨味たっぷりです。また、「チャーハン」や「おこげ」など、中華料理らしい品々も楽しめますよ。
Photos:3枚
一枚のプレートに盛り付けられた種々の前菜
丸いお皿に盛られたフカヒレの姿煮
白い器に盛られた干しアワビの料理
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