ライター : 椛嶋 貴子

管理栄養士

疲労を感じるときは体はどんな状態?

疲労とは、人間が生命を維持するために身体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)の一環として、「これ以上運動や仕事などの作業を続けると体に害が及ぶおそれがある」というひとつのサインといえます。

疲労は、心や体に過剰な負荷がかかった結果、生じた活動能力の低下のことを指します。思考能力の低下や、刺激に対する反応の低下、注意力の低下、注意散漫、動作緩慢、行動量の低下、眼のかすみ、頭痛、肩こり、腰痛などの症状が出てきますよ。(※1)

疲労回復のために意識したい栄養素と食べ物

栄養素

  1. ビタミンB群
  2. ビタミンC
  3. 糖質

ビタミンB群

ビタミンB群は、豚肉や大豆、魚介類や卵に豊富に含まれている栄養素。三大栄養素の代謝やエネルギーの産生を補助するはたらきをもっています。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB1やビタミンB6は特に疲労をやわらげたいときに役立つ栄養素といわれています。

ビタミンB1は、ブドウ糖からエネルギーを作り出すときに必要な補酵素の材料になる栄養素です。この補酵素が不足すると、疲労物質が蓄積して疲れやすくなる原因のひとつになりますよ。

また、ビタミンB6は倦怠感があるときに役立ち、とくに疲労性の免疫力低下からくる症状を抑えるほか、精神を落ち着かせるはたらきもありますよ。(※2,3)

ビタミンC

ビタミンCは、赤ピーマンやキャベツ、じゃがいも、さつまいも、レモン、いちご、ネーブル、パイナップルなどに豊富に含まれいる栄養素です。ビタミンCには、疲労を引き起こす活性酸素をおさえるはたらきがありますよ。

ビタミンCは性質上、熱に弱い栄養素です。しかし例外として、じゃがいもに含まれるビタミンCはでんぷんによって守られているため、調理による損失が少ないといわれていますよ。(※2,4)

鉄は、レバー、赤身の肉、小松菜、かつおなど赤身の魚肉、あさり、しじみ、ひじき、大豆、インゲン豆、納豆に豊富に含まれている栄養素です。運動時の乳酸の上昇を抑制するはたらきが期待でき、疲労回復に役立つといわれていますよ。

鉄はとくに日本人に不足しやすい栄養素のひとつ。普段から意識して摂取するように心がけてみましょう。(※2,5,6)

糖質

糖質は、米やパン、うどん、さつまいも、バナナなどに豊富に含まれる栄養素です。体のエネルギー源を生み出す主要な栄養素で、疲労回復にも役に立ちますよ。

糖質をあまりとっていない状態で体を動かすと、筋肉の回復が遅れ、疲労が残り持久力が低下するおそれが。体を動かしたあとはすぐに糖質を摂取すると、筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンをもとの状態に戻すことができ、疲労回復につながるといわれていますよ。(※7)
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