ライター : ☆ゴン

たらこと辛子明太子に原材料の違いはない

たらこと明太子ともに、原材料となるのはスケトウダラの卵(卵巣)です。かつて唐辛子入りの調味液に漬けこんだ、辛いたらこを日本で販売するにあたって、つけられた名前が「辛子明太子」。

日本に古くからある塩蔵たらこと区別し、さらに価格面でも別の商品として、差別化をはかる目的でつけたネーミングです。明太子作りもはじめにたらこを塩漬けしてから、調味液に漬けこむため、どちらも塩蔵たらこであることに間違いはありません。

たらこ(鱈子)の呼び名と特徴、歴史について

たらこ(鱈子)とは漢字を見てわかるように、生のタラの子(卵)、または塩漬けしたものを指す言葉。マダラをはじめとしたタラのなかでも、特にスケトウダラの卵巣が使用されます。江戸時代にはすでに塩蔵加工され、販売されていたそうで、当時は冬の珍味として重宝されたのだとか。

昔から「たらのこ」と呼ばれていましたが、昭和中期を過ぎる頃から、いまの「たらこ」という呼び方が定着します。塩蔵たらこはそのままごはんのお供にしたり、焼いておにぎりの具にしたりと、家庭で人気のおかず。いまではパスタソースに利用されるなど、たいへんポピュラーな食べ物です。

塩漬けたらこが生まれた起源と歴史

四方を海に囲まれた日本では、古代から魚が重要なたんぱく源でした。煮たり焼いたりした魚が卵を抱いていれば、それも身と一緒に食べられてきました。しかしたらこを塩漬け加工するようになったのは、いつごろからかは不明。江戸時代にはすでにあったことは、いくつかの文献に見られます。

昔から北国でたらがよく水揚げされ、特にスケトウダラがよく獲れる北海道がたらこの一大生産地です。明治時代になり、スケトウダラの漁獲量が一段と増えたことが、魚卵の塩蔵加工品が全国に広まったきっかけ。マダラより身の味が劣るスケトウダラを、有効利用しようとしたのが理由とされます。

明太子(めんたいこ)の呼び名と特徴、歴史について

いまでは辛子明太子を省略した名前、「明太子」という呼び方が全国的に普及しています。唐辛子漬けのたらこを明太子、あるいは明太と呼び、塩漬けはたらこと呼ぶのが一般的。しかし博多や下関などの一部の地域では、たらこを明太子と呼び、辛子明太子とはっきり区別しています。

福岡や山口県などが、明太子という言葉の語源である朝鮮半島に近く、古くから文化や人的交流があった土地柄であるため。博多を訪れて明太子を注文すると、普通のたらこが出てくるので、くれぐれも気をつけてくださいね♪

辛子明太子が生まれた起源と歴史

明太子の語源は、韓国語でスケトウダラという意味の、「明太(ミョンテ)」という言葉に由来します。その漢字を日本語読みにしたのが、いまの「めんたい」という言葉。一方で中国やロシア語説もありますが、韓国には古くから明卵漬けという、辛子明太子の原型があったのは確かです。

それを釜山で食べた「ふくや」の創業者が、日本人向けにアレンジして、辛子明太子として販売した話がよく知られています。いまではこの日本風の味付けと作り方をした、辛子明太子が本場韓国に逆輸入され、人気になっているそうですよ。

たらこと明太子でレシピの代用はできる?

たらこと辛子明太子の原材料は、同じスケトウダラの魚卵で、塩漬けか唐辛子入り調味液漬けかという、作り方の違いだけ。原材料が同じだとわかると、たらこや明太子を利用した料理を作る場合、どちらかしかなくても代用できるのは当然ですね。

「辛いものは食べられない」という人は、たらこを明太子で代用するのは無理ですが、そうでない場合はOK!おにぎりやたらこスパゲッティなど、どんなメニューでも明太子で代用することができます。逆にたらこしかないときは唐辛子を加えて、明太子代わりにしてもいいんじゃないでしょうか。
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