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Today's Foodie
東京・九段下で飲食店を営む父母のもとに育ち、販売業、カフェ勤務、実家での修業を経て、フードユニット「すみや」を夫とともにスタート。ケータリングや企業向けのレシピ監修、料理教室の講師などを手がけながら、雑誌や書籍で活躍中。簡単で力強く、それでいて酢や柑橘果汁を巧みに使ってさわやかに仕上げた料理が、幅広い層から支持を得ている。著書に『フライパンひとつで作る炒めもの、さっと煮、蒸し焼き』(主婦と生活社)、『基本調味料だけで作る毎日の献立とおかず』(マイナビ出版)。
欲しいものを買わないという信念。
奥さんの真秀さん、ご主人の和彦さんからなる夫婦フードユニット「すみや」。ケータリングをはじめ、企業のレシピ監修、料理教室の主宰など、活躍の場は多岐に渡ります。特に真秀さんは精力的な執筆活動を続けており、「フライパンひとつで作る炒めもの、煮もの、蒸し焼き」「片手鍋ひとつで作る炒め煮、マリネ、スープ」(ともに主婦と生活社)の2冊のレシピ本をつい先月出版したばかり。まさに、今乗りに乗っている料理研究家夫婦といえるでしょう。
ところで、著書のテーマに調理器具を据えるほどですから、ご自宅にあるキッチンアイテムにも相当のこだわりがありそう。どんなアイテムを揃えているのか訊ねてみると、「自分たちが欲しいと思って買うことは、ほぼないです。友人や知人からすすめられて購入したものがほとんどですね(真秀さん)」と、意外なお答えが返ってきました。
「以前は夫婦で選んで買っていましたが、最近は、すみやのつくる料理の方向性を知っていただいている方の意見を取り入れるようにしています。だって、周りの人が勧めてくれるってことは、何か理由があるはずですから」。真秀さんの言葉に深く頷きながら、和彦さんはこう続けます。「僕たち、こだわりとかないので、そこにあるものをつかったら満足なんです。それで事足りるんですよね」
そんなふたりの生き方を紐解く鍵となるのが、“自然体”であること。なんでも、料理研究家という仕事をはじめてから現在まで、自ら営業をかけることはせず、すべて周りの人たちの紹介で仕事をもらっているんだとか。
「自分たちで先に考えちゃうと、人の意見を受け入れられなくなると思うんです。だから自分たちで決めすぎなようにしています。執着したらそれが苦しみになる。だからこそ、自然体でいることを大切にしています(真秀さん)」。
人やものとの出会いに身を任せ、巡り合いに意味を見出す。今回ご紹介する調理器具9点は、そんなすみやのとっておきの品々です。出会いのエピソードとともに、真秀さんにお気に入りの理由を語ってもらいました。
1.【包丁】グローバル「ペティナイフ」
「包丁はいろいろ持っていますが、かれこれ15年、こちらを愛用しています。小さいサイズで使いやすいですし、刃こぼれもなかなかしません。さらに嬉しいのが、グローバルさんがやっている研ぎ直し(有償)サービス。本社工場へ郵送すると、刃の部分はもちろん、グリップの傷みや柄の汚れまでケアしてくれて、ピカピカになって戻ってくるんです」
ITEM
グローバル「ペティナイフ」
¥7,700〜
刃渡り:13cm
※2018年4月25日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
2.【まな板】タダフサ「抗菌炭化木 まな板」
「こちらは、包丁メーカーとして有名な『タダフサ』のまな板です。刃の当たりがやわらかく、食材を切っていて気持ちがいい。木製のまな板って、あたたかみのある見た目ですし、手にもすんなりとなじむんです。原料の木材は抗菌炭化木という抗菌性に優れたものでカビにくく、毎日安心して使っています」
ITEM
タダフサ「抗菌炭化木 まな板」
¥818〜
※2018年4月26日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
3.【土鍋】市川孝
「陶芸作家・市川孝さんの土鍋です。お味噌汁2人分をつくるのにちょうどよいサイズなので、毎日愛用しています。土鍋って、日々使っているとスープのだしが少しずつしみ込むって言われていますが、たしかに使えば使うほど、毎日のお味噌汁の味わいがよくなっている気がします」
4.【土鍋】市川孝
「ただのお皿に見えるかもしれませんが、耐熱製なので加熱調理後そのまま食卓に並べられる優れもの。さっと炒め物もできますし、深さがあるので鍋料理も楽しめます。保温性が高く、テーブルに置いておいても最後まであたたかいままなんですよ」
5.【鍋】無印良品「ステンレス アルミ全面三層鋼・片手鍋」
「シンプルなデザインで使いやすい、無印良品の片手鍋。長すぎず短すぎない柄のサイズ感が扱いやすく、厚みもあるので焦げ付きの心配もなし。IHにも対応しているので、ケータリングなどでお鍋を持ち込むときも安心です。
先日出版した著書『片手鍋ひとつで作る炒め煮、マリネ、スープ』にも載せていますが、実は片手鍋ってどんなお料理でもつくれちゃう万能アイテムなんです。例えばマリネや和え物なんかだと、片手鍋で下処理をしてそのまま調味料と混ぜ合わせることもできる。本当に楽チンですね」
6.【鍋】バーミキュラ「オーブンポットラウンド」
「バーミキュラの『オーブンポットラウンド』も大好きなお鍋のひとつで、長年愛用しています。無水調理ができるのでお野菜を煮ていてもしっかりと水分が出てきますし、ごはんに合う味に仕上がるんです。
あまりに使いすぎて鍋底が剥がれてしまったので、先日塗り直ししてもらったところ。こうやって手入れしながら長く使い続けて、モノとの縁も大切にしたいですね」
ITEM
バーミキュラ「オーブンポットラウンド」
¥21,120〜
サイズ:22cm
※2018年4月26日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
7.【フライパン】リバーライト「極」
「3年間、ほぼ毎日使っているのが、リバーライトのフライパン。シンプルな鉄のものを探していたとき、手頃なお値段で、お手入れがしやすそうなところに惹かれて購入しました。熱伝導がよく、簡単な炒め物もちゃんとおいしく仕上がります」
ITEM
リバーライト「極」
¥5,127〜
サイズ:26cm
※2018年4月26日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
8.【調理ハサミ】ミマツ「キッチンバサミ」
「仲のいいデザイナーさんが進めてくれた、ミマツの『キッチンバサミ』。実は最近手に入れたばかりなんですけど、とっても使いやすくて、これから愛用していきたいと思っているところ。カットだけでなく栓が抜けたり、缶を開けられたりと多機能なんです。刃の取り外しができるので、ささっと水洗いできて衛生的」
ITEM
ミマツ「キッチンバサミ」
¥2,200
サイズ:全長205mm
※2018年4月26日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
9.【コーヒー道具】ハリオ
「ドリッパーはいろいろと試してみて、ハリオ(HARIO)に落ち着きました。V型の円すい形が絶妙な角度で、適度なスピードでコーヒーが落ちます。ちなみにコーヒーを淹れるのはもっぱら、旦那の仕事。毎朝豆を挽いて、このドリッパーで淹れてくれています」
ITEM
ハリオ V60透過ドリッパー01 クリア VD-01T(1コ入)
¥280〜
サイズ:幅11.5×奥行10×高さ8.2cm、口径9.5cm
※2020年10月21日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpおよびshopping.yahoo.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。
本当に大切なものは、目に見えない。
「過去にはこだわって選んだ調理器具を使っていた時期もありました。けど、メンテナンスとかができないと結局使い続けられないんです。そういう意味で、今手元に残っているものは、無理のない品々かもしれません(真秀さん)」
物事に執着しない姿勢を貫くすみや。他方、愛着をもっていたアイテムでも、古くなったり、壊れたりしたものは、余程のことがない限り手放すようにしていると言います。
「縁が終わったものは、すぐに処分するようにしています。手元に残したいと思っても、勇気をもって手放さないと次に行けないと思うんです。ものも、仕事も(真秀さん)」
そう思っているのは、ご主人の和彦さんも然り。真秀さんは、「かずちゃん、自然とそういう考え方ができているもんね。天才なんだよね?」とほめそやすと、和彦さんもまんざらでもないという風で「そうですねえ」とにんまり顔。
息のあったコンビネーションを見せるふたりですが、どうしてそこまで達観した考え方に至ったのか。真秀さんは、過去の経験を引き合いに出し、そのきっかけをこう明かしてくれました。
「実はわたし、料理研究家になる前は、某有名小売店の販売員をやっていて。そのお店ではそこそこ出世したんです。たとえば30個しか売れなかった商品を、わたしが担当してから120個ぐらい売っちゃって(笑)。でも、正直むなしかった。ゴミになったり、結局使われなかったり、本当に必要な人には届いていない、と思ったんです」
形あるものにこだわることは、決して悪いことではない。しかし、それを求めた先に本当の豊かさは存在するのか?真秀さんのエピソードには、日々の生活を送る中で忘れがちな根本的な問いかけが隠されています。
取材/板井海奈(macaroni編集部)、文・構成・写真/山川俊行(macaroni編集部)
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