ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

日本の心「ご馳走様」の意味を知ろう

食事をしたあとには、手と手を合わせて「ご馳走様(ごちそうさま)」。日本で育った人なら、日常的な習慣として身についていることでしょう。 しかし、いざその意味を説明しようとすると、できますか?今回は、日本の心とも言える「ご馳走様」の意味を詳しくご紹介したいと思います。そのほか「いただきます」の意味や、どのような使い方をすればいいのか、世界では「ご馳走様」をなんというかなどをまとめてみました。

「ご馳走様」の意味

「馳走」には、「走り回る」「翻弄する」といった意味があります。食材を育てるために走り回り、食材を買い集めるために走り回り、食事を提供するために走り回る……わたしたちが食事をするためにさまざまな人が走り回り、その人たちに敬意を払うために「御」と「様」がついて「御馳走様(ごちそうさま)」となったのです。 たくさんの人の手のおかげで、自分がおいしい食事を楽しめることに感謝の気持ちと敬意をこめて、ご馳走様と言うのですね。

「いただきます」の意味

それでは、食前の「いただきます」にはどのような意味が込められているのでしょうか? 「いただきます」の前には、「命を」という言葉が隠されています。 わたしたちはほかの生命をいただき、生きています。さまざまな命をいただいていますので、このような言葉で食事に関する敬意を払うのです。ありがたい気持ちでいただくことが、大切なんですね。

子どもに聞かれたらどう説明する?

子どもに「いただきます」「ご馳走様」の意味を聞かれたときには、それぞれの意味をしっかりと教えてあげましょう。「いただきます」と言って命をいただき、「ご馳走様」と言って食事を用意してくれたすべての人に感謝するのだと、正しく伝えることが大切です。 そうすれば、子どもは小さなうちから食事に対する感謝の気持ちを抱き、無駄にすることなく食べてくれるでしょう。

「ご馳走様」の使い方

「ご馳走様」という言葉は食後以外にも使用します。どのような場面で使用するのが良いのでしょうか? 基本的には食事のあとですが、ほかにも飲食店で食事をした際、お店を出るときに「ご馳走様でした」と言いますね。また、誰かに食事を奢ってもらったときにも使います。さらには、お歳暮やお中元で食べ物をいただいた際に、ご馳走様でしたと伝えることが大切です。 ありがとうございました、だけではなく「おいしくいただきました」という言葉を付け加えれば、感謝の気持ちも伝わるでしょう。

言われたときの返事

自宅でのおもてなしなど、自分の提供した食事に対し「ご馳走様でした」と言われたときには、どのように返せばよいのでしょうか? 一般的には「お粗末様でした」と返すのがベターです。「粗末」という言葉を使うと相手が嫌な思いをすることもありますので、その際は「お口に合いましたでしょうか」という言葉を返すのもいいでしょう。
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