ライター : macaroni 編集部

福井のおすすめエリア。「敦賀・若狭」で過ごす1泊2日

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おいしいものを求めて全国を旅していると、「派手さはないのに、また来たくなる場所」に出会うことがあります。

福井県・敦賀から若狭へと続くこのエリアも、まさにそんな土地のひとつ。明治時代は日本とヨーロッパを結ぶ玄関であった港町の歴史、穏やかな湖の景色、そして海の恵み。観光地としての見どころと、食の魅力がバランスよく共存しています。

本記事では、実際に訪れやすい動線で、1泊2日のモデルコースをご紹介します。

「敦賀赤レンガ倉庫」で精巧すぎるジオラマ体験

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旅のスタートは、敦賀港近くにある赤レンガ倉庫。明治から昭和初期にかけて鉄道と港で栄えた敦賀の歴史を伝える観光施設で、現在はジオラマ館とレストラン館の2つの機能を備えています。

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なかでも見どころは、国内最大級といわれるジオラマ館。

明治後期から昭和初期の敦賀の街並みを、鉄道と港を軸に精巧に再現しており、小さな列車が走り出した瞬間、空間全体が一気に当時の時間へと引き戻されます。

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単なる展示にとどまらず、「運転体験」やライブ映像、AR演出なども取り入れられており、敦賀がいかに交通の要衝として機能していたかを、体感的に理解できる構成になっています。

目を凝らして見ていると、「ここまで作り込むのか」と感動。建物の細部や人の動きまでリアルで、これはジオラマ好きにはかなり刺さるはず。

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さらに館内では、第二次世界大戦中に多くのユダヤ難民を救った杉原千畝の功績や、“人道の港” と呼ばれる敦賀のエピソードも紹介されています。

加えて、北陸新幹線の延伸といった現在進行形のトピックも映像で描かれており、過去の記憶とこれからの未来がひと続きに感じられるのも印象的。

歴史を知るだけでなく、没入する感覚に近い体験。

越前若狭の名物「浜焼きさば」のサンド

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レストラン館では地元食材を使った料理も楽しめるため、到着後のランチスポットとしてもおすすめ。

筆者は「赤れんがcafe」で、越前若狭の名物である浜焼きさばを贅沢に使用したひと品「SABAティーヤ」を注文。香ばしく焼き上げたさばに、ハーブがふんわり香る自家製タルタルソースを合わせており、複雑な味わいです。

美浜町レイクセンターで「三方五湖ネイチャークルーズ」

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三方五湖エリアの観光拠点・美浜町レイクセンターから出航する「三方五湖ネイチャークルーズ」は、国内初の再生可能エネルギーを動力とする遊覧船です。

実際に乗ってみると驚くほど静かで、船独特の燃料の香りがしません。

双眼鏡で船上から野鳥ウォッチング

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たくさんの野鳥を観察できるということで、双眼鏡をレンタル。静かに進む船の上では、鳥たちの自然な姿をじっくりと眺められます。

江戸時代に築かれた人口運河

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航路の見どころは、久々子湖と水月湖を結ぶ人工運河「浦見川」。江戸時代に小浜藩士・行方久兵衛が約2年をかけて開削したもので、間近に迫る岩肌には、当時の人々がノミとツチで掘り進めた跡が今も残っています。

また、水月湖の湖底には約7万年分の「年縞」が堆積し、地球の歴史を読み解く貴重な資料として知られています。歴史のスケールを、景色として体感できる印象的なポイント。

360度の景色が広がるデッキに出れば、鳥の声や波音に包まれながら、自然と歴史を体感するひとときを過ごせます。

無料で子ども用の船長衣装が借りられる

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子ども連れにはうれしいポイントも。お子さま向けに船長の衣装が無料で貸し出されており、乗船までの待ち時間やクルーズ中に着用できます。

旅の思い出づくりにもぴったりのサービス。

浜辺の宿「旅を奏でる ひろた」に宿泊

Photo by 旅を奏でる ひろた

宿泊は、若狭湾の浜辺に建つ宿「旅を奏でる ひろた」へ。目の前に海が広がるロケーションが魅力で、周辺は釣り人にも人気のスポットです。

宿のシンボルにもなっているのが「白龍」。龍神は古くから水の神として信仰され、この地域が「御食国(みけつくに)」と呼ばれてきた背景からも、海上安全や大漁祈願の象徴とされています。なかでも白龍は、人と人との縁を結び、癒しをもたらす存在とされているそう。

海を一望できる客室

Photo by 旅を奏でる ひろた

客室タイプ「凰龍」
客室は2023年2月にリニューアルされており、本館と浜館あわせて複数タイプが用意されています。いずれも共通しているのは、海との距離の近さ。オーシャンフロントの部屋では、窓の外いっぱいに若狭湾が広がり、波の音を聞きながら過ごせます。
参考価格素泊まり 11,000円(税込)〜
1泊2食付 20,000円(税込)~
※「凰龍」の場合

Photo by 旅を奏でる ひろた

客室タイプ「奏月」
中心となるのは、ベッドと畳スペースを備えた和洋室タイプ。ツインベッド+和室という構成で、家族やグループでも使いやすく、最大4〜5名まで対応できる部屋もあります。

なかでも印象的なのは、大きな窓とベンチスペース。窓際に腰掛けて海を眺めていると、それだけで時間がゆっくり流れていく感覚になります。テラス付きの部屋では、外に出て潮風を感じることも可能。

自家養殖の「若狭とらふぐ」や「若狭まはた」のフルコース

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食事で特筆すべきは、自家養殖の魚を使っている点。宿の目の前の海にはいくつもの生け簀があり、「若狭とらふぐ」や高級魚の「若狭まはた」、真鯛やスズキなどを一年を通して丁寧に育てています。
驚くのは、その提供スタイル。魚は調理直前まで生け簀で活かされているため、鮮度は申し分なし。ひと口食べたときの弾力や旨みの濃さに、「やっぱり違うな」と素直に感じます。

ふぐコースは、てっさやてっちり、唐揚げ、茶碗蒸しなどがそろう贅沢な構成。

なかでも印象的だったのがてっさ。一般的な透けるほど薄いタイプではなく、ここはあえて厚め。

しかもこのひと皿をひとり占めに。箸が止まらなくて、「これ全部食べていいんですか?」と一瞬ためらいつつ、結局最後までしっかり堪能しました。

ふぐフルコースの内容てっちり、皮湯引き、から揚げ、茶碗蒸し、焼き貝、焼きふぐ、雑炊、デザート

朝どれのわかめやなまこ。こだわりの朝食

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朝食は自家製コシヒカリを中心に、焼き魚や魚のあら汁、生卵、小鉢などが並ぶ和食。朝どれのわかめサラダは、やわらかく香りもよく、「こんなに違うんだ」と思わされるおいしさです。この日は同じく朝どれのなまこも。

あら汁も旨みがしっかり出ていて、朝の体にじんわり染みます。ごはんはつややかで甘みがあり、自家製の梅干しとの相性も抜群。

奈良へ水を送る祈り。歴史が続く “お水送り” の舞台「神宮寺」

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小浜市にある古刹「神宮寺」は、奈良・東大寺二月堂の「お水取り」へとつながる「お水送り」の神事で知られています。毎年3月2日、境内の井戸水を清め、松明行列とともに川へ流すこの行事は、遠く奈良へ水を送るという壮大な信仰のかたち。

境内には、重要文化財の仁王門や若狭随一といわれる木造本堂があり、神体山を借景にした景観も見応えがあります。

時間の見方が変わる。自然と暦を学ぶ[暦会館」

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この地を旅するなら、風景や食だけでなく、その背景にある歴史にも少し触れておきたいところ。そんなときに立ち寄りたいのが、おおい町・名田庄にある「暦会館」です。

館内では、陰陽道や天文学、暦の仕組みについて紹介されており、古代の人々がどのように自然のリズムを読み取り、暮らしに活かしていたのかを知れます。

季節の移ろいや水の巡りをもとに時間を捉えていたという考え方は、現代の感覚とは少し異なり、新鮮に映りました。

港直結。魚と出会うマーケット「UMIKARA」

Photo by UMIKARA

若狭の海の恵みを、いちばん新鮮なかたちで楽しめるのが「UMIKARA(うみから)」。漁港に隣接した立地を活かし、毎朝水揚げされた魚介がそのまま店頭に並びます。

市場のような高揚感と、ローカルに根ざした日常感が同居する、ちょっと楽しい場所です。加工品や調味料がそろう「UMIKARA Select」は、お土産選びにもおすすめ。

「うみから食堂」の名物『若狭小鯛の漬け丼』

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税込価格1,700円
施設内の「うみから食堂」では、海鮮丼や漬け丼、鯛出汁ラーメンなどがラインアップ。

筆者は、名物の「若狭小鯛の漬け丼」を注文。鯛の身はむっちりとしており、特製の漬けだれをたっぷりまとった一切れを頬張ると、じんわりと旨みが広がります。

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半分ほど食べ進めたら、お茶漬け用の出汁をとろり。身にほんのり火が通り、鯛の旨みがふわっとほどけていきます。出汁のやさしい風味が全体を包み込み、先ほどまでの濃厚さとはまた違う味わいに。

マーケットで選んだ魚をその場で刺身に

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マーケットで選んだ魚をその場で刺身にしてもらい、食堂でいただくこともできるのが醍醐味です。この日は「まはた」をチョイス。

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むちむちとした弾力で、噛むほどに白身ならではの上品な脂と旨みを感じられます。

シンプルに刺身で味わうからこそ際立つ、素材のポテンシャル。港直結ならではの贅沢を実感しました。

「熊川葛振興会」が手仕事でつなぐ伝統の葛

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旅の終わりは、福島県三方上中郡若狭町熊川へ。日本三大葛のひとつに数えられる「熊川葛」。その魅力を今に伝えているのが「熊川葛振興会」です。

原料となる葛根を砕き、清流・北川の冷たい水で何度も洗い、不純物を丁寧に取り除く “寒晒し製法” が大きな特徴。澄んだ水と冬の厳しい寒さがあってこそ生まれる、真っ白で上質な葛粉です。

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原料の「葛根」
この伝統技法は江戸時代から受け継がれてきたもの。原料となる葛は自生しているものを掘り起こすところから始まり、完成までにはおよそ半年を要するのだそう。

砕いた葛は水にさらし、24〜25回ほど絞りの工程を繰り返すことで、泥水のような状態から次第に白濁へと変化。乾燥にも約2ヶ月をかけ、割れを防ぐため機械は使わず自然乾燥にこだわるといいます。

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完成した「葛」
さらに、葛の根100kgから取れるのはバケツ一杯にも満たないほど。生育も遅く、きめ細やかな質が生まれる一方で効率とは無縁です。

全国でもここだけの手作業の製法を守り続けているのは、この土地の技と営みを絶やさないためです。

葛が作られる町の「葛餅」や「葛ソフトクリーム」

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町には、葛を使った代表的な食べものである「葛餅」を味わえる場所も。「まる志ん」では、葛ソフトクリームや葛そば、葛うどん、葛まんじゅうなど、種類豊富なメニューがそろいます。

食と歴史、自然を楽しむ。ちょうどいい旅先「敦賀・若狭」

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敦賀から若狭にかけてのエリアは、歴史・自然・食のバランスがよく、無理なく楽しめるのが魅力。

港町の成り立ちや文化に触れられるスポットがありつつ、三方五湖のような自然も身近。さらに、海の幸を中心とした食の満足度も高く、1泊2日でもしっかり充実感があります。

派手さよりも「ちゃんと楽しめる旅先」を探している人におすすめのエリア。次の旅先の候補として、検討してみてはいかがでしょうか。
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