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三重県松阪市の静かな住宅街に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ一軒のカフェがある。その名は「Asu cafe(アスカフェ)」。店名の由来は、オーナーである上田明日香さん(34)自身の名前から来ている。名前とカフェを掛け合わせたシンプルなネーミングには、自分の名前を冠するだけの覚悟と、このお店への深い愛着が滲み出ている。
2024年4月にオープンしてから約2年。一人で厨房に立ち、一品一品を丁寧に手作りする上田さんのスタイルは、訪れる人々の心をじんわりと温め続けている。
2024年4月にオープンしてから約2年。一人で厨房に立ち、一品一品を丁寧に手作りする上田さんのスタイルは、訪れる人々の心をじんわりと温め続けている。
「普通の道」を歩んだ末に、夢へと踏み出す決断
上田さんの経歴は、一見するとカフェオーナーとは縁遠いものに映るかもしれない。高校を卒業後四年制大学へと進学し、その後は公務員として4年間勤務した。いわゆる「安定した道」を歩んでいた彼女だが、その胸の内には幼い頃から変わらない夢が燻り続けていた。料理が好きで、いつか自分のお店を持ちたい—その想いは、日々の中でも消えることなく灯り続けていた。
それまでの選択の背景には、親の期待や周囲の目線もあったという。しかし4年間の公務員生活を経て、安定した職を手放し夢への扉を開けることを選んだのだ。職場の同僚からは惜しむ声もあがったが、彼女の意志は揺るがなかった。退職後に選んだ進路は、調理専門学校への入学だった。この辺りでは調理師を志す者が多く通う名門校で、上田さんは2年間和・洋・中・製菓まで幅広く学んだ。
それまでの選択の背景には、親の期待や周囲の目線もあったという。しかし4年間の公務員生活を経て、安定した職を手放し夢への扉を開けることを選んだのだ。職場の同僚からは惜しむ声もあがったが、彼女の意志は揺るがなかった。退職後に選んだ進路は、調理専門学校への入学だった。この辺りでは調理師を志す者が多く通う名門校で、上田さんは2年間和・洋・中・製菓まで幅広く学んだ。
名門ホテルの厨房で磨かれた、繊細な感性
卒業した上田さんが次に選んだのは三重が誇る名門ホテルでの修業だった。和食の厨房に配属された彼女が最初に任されたのは水菓子の担当だった。和食の世界では、新人がまず水菓子から入るのは珍しくない。食事の締めを飾る繊細な甘味を通じて、素材への向き合い方や盛り付けの美学を学ぶのだ。
3年半にわたる修業の中で、上田さんの記憶に最も深く刻まれているのが、栗羊羹の仕込みだという。生の栗を一から甘露煮に仕上げて羊羹に仕立てるこの作業は、想像を絶する手間と時間を要する。最終的に正味1キロほどの甘露煮が出来上がるまでの工程は段取りを組み、チームで取り組む必要があった。この経験は手作りの大変さと、それゆえの喜びを上田さんに深く刻み込んだ。
この3年半で培った繊細な感性と素材に真摯に向き合う姿勢は、今のAsu cafeの料理の随所に息づいている。
3年半にわたる修業の中で、上田さんの記憶に最も深く刻まれているのが、栗羊羹の仕込みだという。生の栗を一から甘露煮に仕上げて羊羹に仕立てるこの作業は、想像を絶する手間と時間を要する。最終的に正味1キロほどの甘露煮が出来上がるまでの工程は段取りを組み、チームで取り組む必要があった。この経験は手作りの大変さと、それゆえの喜びを上田さんに深く刻み込んだ。
この3年半で培った繊細な感性と素材に真摯に向き合う姿勢は、今のAsu cafeの料理の随所に息づいている。
物件との出会い、そして「Asu cafe」の誕生
現在の物件との出会いは、偶然とも必然ともいえる縁によるものだった。ちょうど仕事を辞めようと考えていた頃、母親の友人から「この辺に良い物件が1年ほど空いている」という情報が届いた。地元に近いエリアではあったが、上田さん自身はその物件を知らなかった。早速足を運び、内覧を経てここだと確信した。
店名の「Asu cafe」は、自身の名前「Asuka」とcafeを組み合わせたもの。シンプルでありながら個性的なこのネーミングには「自分の名前を背負って店に立つという」オーナーとしての覚悟が込められているように感じられる。
店名の「Asu cafe」は、自身の名前「Asuka」とcafeを組み合わせたもの。シンプルでありながら個性的なこのネーミングには「自分の名前を背負って店に立つという」オーナーとしての覚悟が込められているように感じられる。
「気軽に来られる場所」を目指して—手作りへの揺るぎないこだわり
和食の料理人だった彼女が、なぜカフェという業態を選んだのか。上田さんはその理由を率直に語る。小料理屋や本格的な料理屋を一人で切り盛りするだけの技術には、まだ自信が持てなかった。それよりも、誰もが気軽に立ち寄れるような場所を作りたいという気持ちが強かった。この正直さと謙虚さこそが、Asu cafeの温かみの源泉なのかもしれない。
しかし「気軽なカフェ」といっても、上田さんの料理への姿勢は一切妥協がない。できる限り手作りにこだわり、添加物をなるべく使わず、一品一品に時間と心を注ぐ。焼きチーズカレーは、カフェ料理にありがちな「見た目重視で量が少ない」という印象を覆すべく、ご飯をたっぷりと盛り、チーズをたっぷりとのせてボリュームを出している。食べた人がお腹いっぱいになって帰ってほしい—その思いが、昔ながらの喫茶店の軽食を思わせる、しっかりとした食べ応えに結実している。
しかし「気軽なカフェ」といっても、上田さんの料理への姿勢は一切妥協がない。できる限り手作りにこだわり、添加物をなるべく使わず、一品一品に時間と心を注ぐ。焼きチーズカレーは、カフェ料理にありがちな「見た目重視で量が少ない」という印象を覆すべく、ご飯をたっぷりと盛り、チーズをたっぷりとのせてボリュームを出している。食べた人がお腹いっぱいになって帰ってほしい—その思いが、昔ながらの喫茶店の軽食を思わせる、しっかりとした食べ応えに結実している。
パフェに使われるバニラアイスクリームも手作りで、シャリっとした懐かしい食感が特徴的だ。中央に忍ばせたミルクムースはなめらかで、ホイップクリームのふんわりとした軽さとも絶妙なコントラストを生む。異なる食感が層を重ねることで、最後まで食べ飽きることがない。サイズは各種大小2種類提供されている。小は甘いものを少しだけ楽しみたいという人にとってちょうどいい満足感を、大は心ゆくまで甘味を楽しみたい方に幸福感を提供している。
一方で、メニューの中にはお客様のリクエストから生まれたものも少なくない。たこ焼きや白玉ぜんざいは、その代表例だ。コーヒーのお供にたこ焼きが食べたいという声を受け続けた結果、今ではAsu cafeの個性的なメニューの一つとして定着している。こうした柔軟さもまた、上田さんのお店づくりの特徴といえるだろう。
一方で、メニューの中にはお客様のリクエストから生まれたものも少なくない。たこ焼きや白玉ぜんざいは、その代表例だ。コーヒーのお供にたこ焼きが食べたいという声を受け続けた結果、今ではAsu cafeの個性的なメニューの一つとして定着している。こうした柔軟さもまた、上田さんのお店づくりの特徴といえるだろう。
一人で紡ぐ、丁寧な時間
一人営業ゆえに、混雑時には料理の提供に時間がかかることもある。しかし上田さんはそれを隠すのではなく、むしろ正直に伝えている。ぜひ時間に余裕のあるときに訪れてほしいというのが彼女の本音だ。ゆっくりと流れる時間の中で、コーヒーや手作りの料理と向き合ってほしい—そんな思いが、このカフェの空気感を作り上げている。
客層は近隣住民だけにとどまらず、上田さんの知人の紹介や趣味のつながりを通じて訪れる人も多い。口コミと人のつながりが静かに広がっている様子が伺える。前テナントの喫茶店時代からの常連客も変わらず通い続けており、新旧の顔なじみが交差するこの空間には、地域に根ざした温かさがある。
客層は近隣住民だけにとどまらず、上田さんの知人の紹介や趣味のつながりを通じて訪れる人も多い。口コミと人のつながりが静かに広がっている様子が伺える。前テナントの喫茶店時代からの常連客も変わらず通い続けており、新旧の顔なじみが交差するこの空間には、地域に根ざした温かさがある。
手作りの一品に込められた、揺るぎない誠実さ
Asu cafeは、派手な宣伝も、洗練されたブランディングも持たない。あるのは、一人の女性が幼い頃から抱き続けた夢と、その夢を実現するために積み重ねてきた経験、妥協を許さない手作りへのこだわりだけだ。公務員という安定を手放した上で辿り着いたこの小さなカフェには、”上田明日香”という人間の誠実さが、料理の一品一品に宿っている。
これからも新しいメニューを増やし、お客様の声に耳を傾けながら、Asu cafeは進化し続けるだろう。しかしその根底にある「手作りで、心を込めて」という姿勢は、きっと変わることがない。時間に余裕のある日、ふと温かいものが食べたくなった日、誰かと静かに過ごしたい日——そんな時に、Asu cafeの扉を開けてみてほしい。上田さんの真心が詰まった一皿と温かなコーヒーが、きっとあなたを迎えてくれるはずだ。
これからも新しいメニューを増やし、お客様の声に耳を傾けながら、Asu cafeは進化し続けるだろう。しかしその根底にある「手作りで、心を込めて」という姿勢は、きっと変わることがない。時間に余裕のある日、ふと温かいものが食べたくなった日、誰かと静かに過ごしたい日——そんな時に、Asu cafeの扉を開けてみてほしい。上田さんの真心が詰まった一皿と温かなコーヒーが、きっとあなたを迎えてくれるはずだ。
Asu cafe
〒515-0062
三重県松阪市小黒田町466−1
金曜日
08:30〜17:00
月曜日
定休日
火曜日
08:30〜17:00
水曜日
08:30〜17:00
木曜日
08:30〜17:00
金曜日
08:30〜17:00
土曜日
08:30〜17:00
日曜日
定休日
席数
18席(カウンター席×6、テーブル:4名掛け×2、2名掛け×2)
L.O.
モーニング:11:00、ランチ(フード):17:00
定休日
日・月曜日
最寄駅
松阪駅より車で10分
支払方法
現金のみ
平均予算
1,000~1,500円
駐車場
店前15台※隣接店舗と共用
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※記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。
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