ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

もち麦とはどんな麦?血糖値を上げにくいって本当?

もち麦とは大麦のうち、粘りの強いものの総称とされています。米が「うるち米」と「もち米」に分かれているように大麦も粘りの強い「もち性」のものと粘りが少ない「うるち性」のものに分かれます。

大麦は食物繊維が豊富なため、血糖値が上がりにくいと言われています。また、もち性をもつものは、うるち性をもつものよりも食物繊維の量が多い特徴があります。(※1,2)

もち麦だと血糖値が上がりにくい理由

水溶性食物繊維「β-グルカン」のはたらき

もち麦に含まれるβ-グルカンは水溶性の食物繊維に分類されます。β-グルカンは水に溶けてゼリー状になることで、小腸での栄養素の吸収をゆるやかにする作用をもつのが特徴。糖質の吸収速度も緩やかになることから、食後に血糖値が急上昇するのを抑えるのに役立ちます。

私たちの体は血糖値が急上昇するとインスリンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。血中の糖を取り込み、細胞がエネルギー源として利用するのを助けるはたらきがあります。消費されなかった糖は脂肪として蓄積されるため、血糖値を急上昇させずに、インスリンの分泌を節約することが大切です。(※2,3)

次の食事にも影響する「セカンドミール効果」

血糖値の急上昇を抑えるためには一日の最初の食事である朝食が大切です。朝食を抜いた状態で昼食を食べると血糖値は上がりやすくなるため、欠食は避けましょう。

また、もち麦のように食物繊維が豊富な食事を一食目に摂ることで、インスリンの作用が発揮されやすくなり、そのあとの食事で食欲の調整や血糖コントロールがしやすくなるとも言われています。次の食事でも血糖値を急上昇させないためにも朝食はしっかり食べるようにし、もち麦を摂り入れるのがおすすめです。(※4,5,6)

もち麦の炭水化物量は?ほかの穀類と比較

栄養素もち麦白米押麦
エネルギー339kcal342kcal329kcal
糖質65.2g77.1g66.1g
食物繊維12.9g0.5g12.2g
GI値48.38966
それぞれ可食部100gあたり
GI値(グライセミック・インデックス)は血糖値がどのくらい上がりやすいかの指標(※7,8,9,10,11,12)
三種の穀類を比べると、エネルギーにはそれほど大きな差はないものの、糖質と食物繊維の量が大きく異なることがわかります。糖質量が多く、食物繊維が少ない白米はGI値が高く、血糖値が上がりやすいと言えるでしょう。

それに対してもち麦と押麦は糖質と食物繊維量に大きな差は見られないものの、GI値には差が出ています。この数値からも血糖値を上げたくない場合はもち麦がおすすめ。

もち麦で血糖値の急上昇を抑えるには

血糖値の急上昇を抑えるポイント

  1. 糖質を含む食品を食べ過ぎない
  2. 食事のバランスを考える
  3. よくかんでゆっくり食べる
  4. 食べる順番に注意する

糖質を含む食品を食べ過ぎない

もち麦入りのごはんは食物繊維が多く、GI値も白米より低いからといっていくらでも食べていいわけではありません。量が多くなり過ぎれば摂取する糖質量も多くなってしまうため、食事全体の糖質量には注意が必要です。

主食だけでなく、餃子をはじめとした点心系や砂糖をたっぷり使った根菜類の煮物など、主菜や副菜にも糖質の多い料理はあります。もち麦の作用を活用できるように糖質を摂り過ぎないように心がけましょう。(※8)
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ