ライター : macaroni トレンド

学生とトップシェフが海の未来を考え行動する「THE BLUE CAMP」

Photo by macaroni

この夏、持続可能な海を目指した啓発活動をおこなう、一般社団法人 Chefs for the Blue がすすめる “次世代” の学生たちと東京と京都のトップシェフ4名がともに海の未来を考え行動する「THE BLUE CAMP(ザ ブルー キャンプ)」が実施されました。

活動が始まった背景

乱獲、温暖化などの影響により過去30年以上にわたり、日本の海の生産量は減少。同プロジェクトは漁業、流通、小売、レストラン、消費者といった、魚に関わる人、食べる人みんなでこの危機を「自分事」するために始まった活動です。

東京チームは「Sincère(シンシア)」の石井 真介シェフ、「No Code(ノーコード)」の米澤 文雄シェフ。京都チームは「cenci(チェンチ)」の坂本 健シェフ、「Restaurant MOTOI(モトイ)」の前田 元シェフがプログラムの伴走シェフとして参加。

次世代を担う学生たちがレストラン研修や漁業の現場へ

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総勢80名のエントリーから選ばれた、東京と京都をあわせ16名の参加者はバラエティ豊か。“アリゾナ在住・日本の美味しい魚を守りたい高校生”、“水産経済を学ぶ大学生”、“魚の街、焼津出身の西洋料理人を目指す専門学校生” などのメンバーが集結しました。
プログラムに参加した学生たちは、シェフや漁業者を講師に迎えたオンライン講座「海とレストラン経営にまつわる座学」、現場での調理やサービスを学ぶ「レストラン実研修」、水産物の生産現場や漁船に乗り込むフィールドワークを経て、集大成として「海の未来をつくるレストラン」の企画・運営を任されます。

学生たちの学びの集大成「海の未来をつくるレストラン」

筆者は2023年8月11日(金)〜16日(水)の期間で、東京大学駒場第二キャンパス「食堂コマニ」にて開催された、東京チームが企画・運営するポップアップレストランへ訪れました。

料理を堪能する前に、学生たちによるプレゼンテーションがおこなわれ、「THE BLUE CAMP」の目的、活動を通して学んだことを自分たちの言葉でつむぎ、話してくれます。
テーブルセッティングは学生たちのアイデアのもと、貝殻が配置され、砂浜と海をイメージできるような演出に。

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テーブルには絵が上手な学生による、手書きのイラストカードが。実際に使用される魚がわかりやすく描かれており、これから始まる料理によるアプローチに期待が高まります。

未利用魚を中心に構成 “海の未来をつくる” を体現したコース

“味の旬” を迎えたスズキの前菜

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未来を見据える船橋の漁師・大野さんが届ける旬のスズキとレモングラス、ライムのタルタル仕立て グリーンカレーヴィネグレット
まずは、オンライン講座にて学生たちの講師を担当、持続可能な漁業に力を入れている、千葉県船橋市の漁協所属「大傳丸(だいでんまる)」代表の大野和彦さんから届けられた旬のスズキの前菜が登場。

旬といえども、魚には “岸に寄ってきたり群れを作るため漁獲しやすい産卵期” と、 “産卵期から時期が離れた味わいの旬” の2通りあるそう。この日は “産卵期から時期が離れた味わいの旬” を使い、さわやかな旨みを感じられました。

ライムの清涼感、グリーンカレーのほのかなスパイシーさ、ヴィネグレットの酸味が三位一体となり、スズキに魔法をかけたかのようなひと品。

未利用魚のイメージを払拭。「海の原石」を用いたパスタ

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魚の生命力に魅せられた神奈川・横須賀「さかな人」代表で仲買人の長谷川大樹さんが惚れ込んだ4種の「海の原石」ラグー・パスタ
バショウダイ、コロダイ、マツダイ、メジナを使ったパスタ。これらの魚は、おいしく食べられるはずなのに見た目や馴染みのなさから、一般的には市場に出ない「未利用魚」として扱われています。

そんな未利用魚のネガティブなイメージを払拭するために、学生たちによって考案されたのが「海の原石」というワード。名前ひとつで見方が一変、柔軟な発想ですね。

調理方法にも工夫が凝らされており、4種類の魚をミンチにし、旨みと脂が詰まったしっぽの部分まで最大限に活用されています。
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