ライター : 渡辺 りほ

管理栄養士

貧血の症状……そんなときチョコレートを食べたくなる理由は?

貧血症状と言えばめまいが代表的ですが、ほかにも疲れやすくなる場合があります。疲労感があるときに甘いものを食べたくなる……という方も多いのではないでしょうか。

甘いものがほしいときに、手軽に食べられるお菓子のひとつがチョコレート。しかし、チョコレートは貧血症状を和らげるのに役立つのでしょうか。貧血対策に必要な栄養素がチョコレートに含まれているのかどうか、確認してみましょう。(※1,2)

チョコレートは貧血に効果的か

そもそも貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが減り、体内で酸素が足りなくなることにより起こります。貧血対策にはのほか、造血作用がある葉酸やビタミンB12を摂ることが大切です。

チョコレートには鉄と葉酸が含まれており、貧血対策に必要な栄養素を摂れる食品だと言えます。ただしビタミンB12は含まれていないため、チョコレートだけで必要な栄養をしっかり摂れるわけではありません。(※1,3)

チョコレートの種類で見る鉄分の含有量

チョコレートにはどれくらいの鉄が含まれているのか、100gあたりの含有量を種類別に見てみましょう。

・ホワイトチョコレート……0.1mg
・ミルクチョコレート……2.4mg
・アーモンドチョコレート……2.8mg

チョコレートに含まれる鉄は、原料のカカオマスに由来するものです。そのため、製造過程でカカオマスが除去されるホワイトチョコレートには、ほとんど鉄が含まれていません。

鉄をしっかり摂りたいときはカカオマスが多いミルクチョコレートや、鉄が豊富なアーモンド入りのチョコレートを選ぶのがおすすめです。アーモンド100gあたりには、鉄が3.7mg含まれています。(※3,4)

ココアとチョコレートの鉄分比較

チョコレートとココアでは、鉄が多いのはどちらでしょうか。100gあたりで比べてみましょう。

・ミルクチョコレート……2.4mg
・ミロ……1.9mg
・ミルクココア……2.9mg
・ピュアココア……14.0mg

ミルクチョコレートをココアと比べると、ココアのほうが鉄量が多いです。とくに砂糖や乳製品が入らないピュアココアには鉄が豊富ですよ。

ただし、ピュアココアの使用量は1人前あたり5g程度。ピュアココア5gに含まれる鉄量は0.7mgなので、ココアだけで鉄をしっかり補えるわけではありません。(※3,5,6)

※ミロの鉄含有量は、ミロ1杯分(ミロ15gを牛乳150mlで溶いたもの)の鉄含有量を100gあたりに換算した値です。

チョコレートと鉄分が豊富な食材と比較してみると

貧血対策によく活用される、鉄が豊富な食材とチョコレートにはどれくらいの違いがあるのでしょうか?鉄の量を100gあたりで比較してみましょう。

・ミルクチョコレート……2.4mg
・鶏レバー……9.0mg
・卵黄……4.8mg
・牛ヒレ肉……2.8mg
・きはだまぐろ……2.0mg
・ほうれん草……2.0mg

ミルクチョコレートは、まぐろやほうれん草よりも鉄の量が多いため、鉄が豊富な食品だと言えます。しかし、牛肉やまぐろなどの動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収率が高く、チョコレートより鉄を効率よく摂れますよ。(※1,3)

貧血解消のためにチョコレートを食べても即効性はない

鉄が多く含まれるチョコレートをこまめに摂取したからといって、即効性が期待できるわけではありません。仮に治療のために鉄剤を使う場合でも、貧血改善のためには約6週間ほど内服を続ける必要があるとされています。

また、チョコレートには、鉄の吸収を妨げるタンニンという成分が含まれています。鉄剤やサプリメントを摂る場合は、チョコレートを食べるタイミングに注意が必要です。鉄剤を摂ったあと、1時間はチョコレートを食べないようにしましょう。(※7)
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、不要不急の外出は控えましょう。食料品等の買い物の際は、人との距離を十分に空け、感染予防を心がけてください。
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