ライター : 上田 裕美

管理栄養士

にんじんの「生食」か「加熱」は目的に応じて変えよう

にんじんは鮮やかなオレンジ色が美しく、料理の彩りに大活躍しますよね。加熱して食べるイメージがありますが、実は、生でも食べられる野菜なんです。

生のまま食べる場合と、加熱して食べる場合では、それぞれにメリットとデメリットがあります。にんじんを食べるときは目的に合わせて、調理法を工夫しましょう。

にんじんを生のまま食べるメリット

生のまま食べるメリット

  1. 栄養素を無駄なく取り入れられる
  2. 咀嚼回数が増える
・栄養素を無駄なく取り入れられる
にんじんに含まれるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCなどは、熱に弱い栄養素です。

また、水に溶け出す性質があるカリウムも含まれているので、にんじんは加熱したり、煮たりすることによって、栄養素が損失します。

にんじんの栄養素を無駄なく摂取したいときは、生で食べるのがおすすめですよ。

・咀嚼回数が増える
にんじんは生のまま食べると、シャキシャキとした食感を楽しめます。加熱した場合と比べて噛みごたえがあるので、咀嚼する回数が増加します。

よく噛むと唾液の分泌が促されて、消化が良くなるほか、脳の満腹中枢を刺激しやすくなります。少ない量でも満足感を感じられるので、食べ過ぎを抑えられますよ。(※1,2,3,4)

にんじんを加熱するメリット

加熱するメリット

  1. 油で加熱すると脂溶性の栄養素の吸収率があがる
  2. ビタミンCの破壊を抑える
・油で加熱すると脂溶性の栄養素の吸収率があがる
にんじんに豊富なβ-カロテンは、油に溶けやすい性質があります。加熱するときは油と一緒に炒めたり、揚げ物にしたりすると、体への吸収率が高くなりますよ。

加熱に限らず生で食べるときも同様に、マヨネーズやドレッシングなど、油を使った調味料と一緒に食べると吸収しやすくなります。

・ビタミンCの破壊を抑える
にんじんには、アスコルビナーゼという酵素が含まれています。この酵素はビタミンCを破壊する作用がありますが、熱と酸に弱いのが特徴です。

にんじんと一緒にビタミンCが豊富な食材を食べるときは、煮たり、炒めたりして加熱すれば、ビタミンCの破壊を抑えられますよ。

また、生のまま食べる場合は、レモン果汁や酢を加えるのがおすすめです。(※5,6)

にんじんは生で食べると消化はされにくい?

にんじんには、ビタミンB1やビタミンB2、ビタミンCなど、熱に弱い栄養素が含まれています。これらの栄養素を無駄なく摂りたい場合は、やはり生のまま食べるのがおすすめ。

しかし、にんじんに限らず、生野菜は温野菜と比べて消化吸収に時間がかかるので、食べ過ぎると体に負担をかけるおそれがあります。(※1,2,7)

にんじんに含まれる栄養素を紹介

にんじんの栄養

  1. β-カロテン
  2. カリウム
  3. 食物繊維

β-カロテン

にんじんは、β-カロテンがとても豊富な食材です。100gあたりの含有量は8,600μgと、緑黄色野菜のなかでもトップクラス。

β-カロテンが持つ強い抗酸化作用は、健康に悪影響を及ぼす、活性酸素を除去するはたらきがあります。活性酸素が細胞を傷つけるのを抑えるため、老化の対策や、血管を健康に保つ、といった作用が期待できますよ。

また、β-カロテンは必要に応じて、体内でビタミンAに変化します。ビタミンAは皮膚の健康維持に関わったり、新陳代謝を高めたりするはたらきがあるので、きれいな肌作りにも役立ちます。(※1,8,9,10)
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