反射性分泌の涙

よくたまねぎを切ったときに涙が出ます。これは、たまねぎに含まれる、「硫化アリル」と言う刺激のある物質から目をガードするため。また、涙を流して空気中にただよう殺菌の侵入を防いだり、目に入った異物から角膜を反射的に守ろうとする働きがあるんですよ。反射的に流れる涙は、いわば防御壁のようなもの。

私たちは目から血液を流している

今回一番突き止めたい真相、涙が血液なのかどうかについて。結論から言ってしまえば、涙の原料は血液です。当然、「え、じゃあなんで赤くないの?」と思うはずでしょう。原料が血液なのに無色透明なのは、涙には赤血球が含まれていないからです。 血液が赤いのは、赤血球を作り出すヘモグロビンというタンパク質の存在によるもの。一方で涙は、涙腺というフィルターによって赤血球や白血球、血小板がこされた状態で排出されるので、血液のように赤くなく無色透明なんです。でも、成分は血液と同じ。人間の体って、本当に不思議なことばかりでおもしろいですね……。 あなたが人知れず枕を濡らした涙も、ハンカチがびしょびしょになるまで流した涙も、赤血球が入っていないだけですべて血液なんです。

実は鼻水も涙

感動を誘うドキュメンタリー番組や映画、ドラマを観て号泣したときって、なぜか鼻水も涙と一緒に洪水のように流れませんか?しかも、無色透明で妙にサラサラしています。あまりにも水っぽいから、思わず口に入ってしまうことだってあるでしょう。 もうお気付きだと思いますが、これは涙が目と鼻をつなぐ鼻涙管を通るからです。つまり、大泣きしたときに出る鼻水も涙だということ。涙は血液、そして涙を流したときに蛇口をひねったように勢いよく流れる鼻水も、涙だったんですね。

泣きたいときは泣けばいい

テレビや映画、漫画やアニメを観たり、押さえ込んでいた感情が爆発して思い切り泣いたあとのこと、思い返してみてください。さっきまでの落ち込み様がウソかのようにスカッとして、晴れ晴れとした気持ちになることありませんか? 喜怒哀楽によって出てくる涙には、ストレスホルモンが入っています。つまり、涙とともにストレスを外に流しているんですよ。 また、「エンドルフィン」と言う快感物質も大きく関わっています。このホルモンには強い鎮静作用があり、涙を流すことによって分泌量が増えるんだそう。結果、ホルモンの働きによって累積されたストレスが外に流れていくため、泣いたあとは気持ちが軽やかになるんだと言われているんですよ。 常に多くの見えないストレスと戦う現代社会において、強くありたいと思うがあまり涙を流すことをためらう人も少なくないはず。でも、決して恥ずかしがることありません。涙はあなたの心を解放し、前向きな気持ちにさせてくれるすばらしい武器なんですから。

涙の味は感情の印

瞳からこぼれ落ちる涙は、怒っているときは塩辛く、悲しいときは甘いといった具合に、感情によって味に違いがあったんですね。しかも涙はただの液体ではなく、血液というから驚き。よく「血も涙もない」という言葉がありますが、涙の成分が血液だと言う事実を分かったうえで考えてみると、なんだかちょっと納得できる気がします。 悲しいとき、うれしいとき、腹が立ったとき、辛いとき、感情を無理に押し込めて目頭をおさたりせず、泣きたいときは心に従えばいいんです。涙を流したときは、ぜひその味の違いをご堪能あれ。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ