ライター : macaroni 編集部

記事を書いたのは……

発酵マイスター よねごはん(米村 さおり)

普段は会社員として働くかたわら、ライフワークとして「おいしい・楽しい食卓から、人生を発酵させるお手伝いをする」をテーマに発酵イベントやワークショップを主催。

2020年6月より、日本全国で発酵食品を作る人々の元をオンラインで訪れるイベント『発酵オンラインジャーニー』を開催。

これまでにビール、醤油、カカオ、魚醤、麦味噌の生産者を訪れ、現地の営みを多くの人に発信している。

発酵オンラインジャーニーとは?

こんにちは。発酵マイスターの“よねごはん”こと、米村さおりです。

私が住んでいる東京では春のように暖かい日も増えてきました。とはいえ、再びの緊急事態宣言の発令により、外出を控えている方も多いかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?


さて、おかげさまで、この発酵オンラインジャーニーのレポートも5回目となりました。

『発酵オンラインジャーニー』は、簡単に言うと、オンライン会議ツールのZoomを使って、日本全国の醸造家さんと参加者をリアルタイムで繋いで開催するイベントです。

このイベントを始めた経緯や、私のバックグラウンドについては、ぜひ初回の記事も読んでいただけると嬉しいです。

▼詳しくはこちら
第5弾となる今回は、鹿児島県の北西部に位置する長島で『cocoromiso(ココロミソ)』という、麦味噌を作られている石元淳平醸造の石元さんをゲストにお迎えしました。

Photo by 石元淳平醸造

家業である漁師を営まれながら、麦味噌の醸造もされている石元さん。

創業4年目の石元淳平醸造は、発酵食品業界ではまだまだベンチャー企業。なのですが、石本さんが手掛ける麦味噌『cocoromiso』は、地元で愛されているのはもちろん、都内の有名レストランでも使用されているほど。いま、業界でも注目を集めている味噌屋さんなんです。

今回のイベントに際し、事前に打合せでお話を伺っただけでも、石元さんの味噌への愛情や醸造にかける思いがひしひしと伝わってきました。

とにかく「アツい」醸造家である石元さん、今回はどんなお話が聞けるのでしょう。
▼『cocoromiso』について 詳しくはこちら

いよいよイベント当日!長島へ!

Photo by よねごはん

発酵オンラインジャーニーでは、醸造家の皆さんの気持ちがこもった商品を味わいつつ、お話も聞いて欲しいという思いから、事前に食べ比べセットをお送りしています。

前回に引き続き今回も、内容を選べる2つのコースをご用意しました。

写真は長島スペシャルコース。スタンダードコースの『cocoromiso』ともろみに加え、鯛めしキット&あおさも付いた”最強の定食セット”です。

そして、いよいよイベント当日。今回も沖縄、長崎、広島、名古屋、東京等々全国各地から16名の皆さんにご参加いただきました。毎回盛況で、本当に感謝しかありません。

今回も、皆さんに肩の力を抜いて楽しんでもらいたいという思いから、好きなお酒、飲み物片手にご参加いただきました。

味噌は、日本のスーパーフードだ!

Photo by よねごはん

発酵オンラインジャーニーでは、参加者の皆さんに簡単な自己紹介をしていただいた後、私から簡単な発酵講座を行なっています。

今回は「味噌の発酵」についてお話しました。

味噌の材料は大豆・塩・麹ととてもシンプルですが、発酵の過程で、麹が持つ麹菌だけでなく、乳酸菌、酵母菌も働くことで独特の味わいや香りが生まれます。

あまりイメージはないかもしれませんが、大豆に含まれるタンパク質や食物繊維以外にも、乳酸菌や酵母菌などたくさんの善玉菌が含まれているのが特徴。そのため味噌は、美肌効果やアンチエイジングにも効く"スーパーフード"と言っても過言ではないんです!

そして日本全国には、それぞれの地域ごとに米麹を使用した米味噌、麦麹を使用した麦味噌、豆麹を使用した豆味噌といった、土地に根ざした味噌文化があります。

自然食品店などにはさまざまな種類の味噌が売っているので、ぜひ食べたことのない味噌を試してみたり、自分好みの味を探してみてください!

味噌を通して"子ども達の未来の時間"を作りたい

Photo by 石元淳平醸造

発酵講座の後は、石元さんに味噌を作る工場の様子を見せていただきながらお話を伺いました。

九州では麦を主体とした味噌が主に食べられていますが、石元さんの作る『cocoromiso(ココロミソ)』も地元に馴染みのある、麦味噌です。

一度に樽8つ分(320kg)の味噌を仕込み、完成までに1ヶ月ほど発酵・熟成させるというのが『cocoromiso』の製法における最大の特徴。

ちなみに、味噌作りの工程としては、麦に麹菌を付け麦麹を作る「製麴(せいきく)」という作業、大豆を蒸し、機械で潰す作業、塩と麦麹、潰した大豆を混ぜる作業があります。

なんと、石元さんはそれらをすべて1人で行なっているそう!

漁師のお仕事も並行して味噌づくりを行っていると聞き、「大変じゃないですか?」という質問には「どちらもまったく違う仕事なので、大変だけど面白い」というなんともタフな回答が。

Photo by 石元淳平醸造

「cocoromisoとほかの麦味噌の違いはなんですか?」という参加者の方の質問には、こんなエモーショナルな回答が。

1番違うのは作る理由。cocoromisoは“子ども達の時間を作りたい”という思いが最初にある。cocoromisoを食べて育った子ども達が、将来島を出て生活する時にこのお味噌を食べて島の時間を思い出し、力にして欲しいと思っている。

また、「味噌は家庭で味噌汁になった時に完成するもの。そこで1番おいしくなるように計算して熟成させているというお話の流れから、cocoromisoの味を決める時に使用した、材料配合の計算式まで公開してくれました。

こんなにも、次世代への愛情と強い思いが込められている味噌があるのか……!と衝撃を受けたのは、きっと私だけではなかったはず。

私自身も、子どもの時に家族で食卓を囲んでいた思い出が強く残っており、食の大切さやみんなで食べる楽しさを伝えたい、という思いで今の活動を続けています。

改めて、石元さんが味噌を作る理由に深く共感し、この人が作る味噌を多くの人に知ってもらいたい!と、強く思うことになりました。

……と、すっかり石元さんのお話に引き込まれていましたが、次はお待ちかねの試食タイムです!

味噌玉作り&お味噌汁の試食タイム!

Photo by よねごはん

今回の試食コーナーでは、手軽にお味噌汁を飲む方法を知ってもらいたいという思いもあり、参加者全員で味噌玉を作るワークショップも開催しました。

まず、大さじ4杯ほどのcocoromisoに、小袋パックの鰹節(2.5g)を加えスプーンでよく混ぜます。これを1/4ずつ手に取って丸めれば、味噌玉のできあがり。お好みで乾燥ねぎやわかめを加えてもOKです。

後はお湯を注ぐだけで……パパっとお味噌汁が完成!

味噌玉を作っておけば、1杯分のお味噌汁がすぐにできるので、たくさん作って冷蔵庫に常備しておくのもおすすめです。

今回私は、味噌と一緒に送っていただいた、あおさのりと合わせていただきました。

ひと口飲んだ瞬間に広がる『cocoromiso』ならではの甘みと旨み。そして鼻に抜けていく、芳醇なあおさの香り。

それがお味噌汁になることでまあるく調和して、じんわり心まで温まるおいしさでした。参加者の皆さまからも、「今まで飲んだお味噌汁で1番おいしい!」という声が上がるほどでした。
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