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玉子形を目指し試行錯誤を繰り返すも……。

Photo by さいとう製菓

1951年に発売された初代・鴎の玉子。その後、2代・3代と製造されていて、じつは現在の「かもめの玉子」は4代目なんですよ。(1999年に「かもめの玉子」に名称を変更)

・1961年~2代目 桃山まんじゅうタイプ
・1964年~3代目 初代をベースに生地をホワイトチョコでコーティング
・1967年~4代目 完全な玉子形

代替わりした理由は「完全な玉子形」にするため。当時、かもめの玉子は「玉子形」で仕上げるのがとてもむずかしいお菓子だったのです。

「完全な玉子形」に焼くのに、試行錯誤の連続だったそうですね。

Photo by さいとう製菓

2代目「鴎の玉子」
さいとう製菓:はい、トライ&エラーの繰り返しでした。かもめの玉子作りで大変だったのは、玉子形に焼くこと、そしてそのための機械開発です。

2代目は、饅頭を桃山(黄味餡を焼いてつくる和菓子)にすることで、初代より随分と玉子形に近づきました。ただ、鉄板で焼くため、まだ底の部分が平らな状態だったんです。

Photo by macaroni

3代目「鴎の玉子」のイラスト
さいとう製菓:3代目でもうまくいかず、1966年に機械を導入しました。イカせんべいの焼き機を改良した、玉子形に成形する型を取り付けたものです。それまでは鉄板で焼いていましたので、本格的な機械ならうまくいくだろうと。

ところが、機械を導入したはよいものの、焼き終わったあとに型を開くと、型に生地が付着して、玉子が半分に割れてしまったんです。型に油をいっぱい塗ったり、生地にマーガリンを多くいれてみたりと、いろいろな方法を試してもうまくいきませんでした。

約15年に及ぶ挑戦の末、ついに完成!

Photo by さいとう製菓

現在の「かもめの玉子」(ホワイトチョコをかける前の状態)

玉子形に焼くのはそんなにむずかしかったのですね…… その後どうなったのでしょうか。

さいとう製菓:最終的には、成形の型を本体から取り外し、それをオーブンに入れて焼くことにしました。亀の甲のような形で玉子形ではありませんでしたが、鉄板で焼くよりもいくぶんか形が整ったように見えましたね。

その方法で1ヶ月ほど焼き続けるうちに、しだいに生地が型になじみ、型から離れやすくなってきて、手ごたえを感じ始めたんです。

何度も試すうちに、現会長の俊明が「ポイントは温度にありそうだ」と感じ、再び機械に取り付けて焼いてみたところ、ついに玉子形に焼きあげることに成功しました。1967年のことです。

その後、1971年には、ホワイトチョコ掛け機を前会長が考案し、生産性が向上しました。現在では、かもめの玉子のレギュラー・ミニサイズを一日12万個製造しており、多くの方にご購入いただいております。

「玉子形」が完成して約50年になります。今後のかもめの玉子作りについて お聞かせください。

Photo by さいとう製菓

さいとう製菓:試行錯誤の末に生み出された味、そして一番の特徴である立体的な玉子の形を、これからも大事にしていきたいと思っております。

また、守るべきものは守ると同時に、新たな考えを取り入れて“進化系”かもめの玉子を生み出したいですね。

多くのお客様にご愛顧いただき、支えられて今日がありますので、お客様への感謝の気持ちとお客様の笑顔を忘れずに、お菓子づくりに励んでいきたいと思います。

実食!まろやかな黄味餡の味わいが魅力

Photo by 嶋田コータロー

4個入540円(税込)~
玉子形への苦労をお聞きしたあとに食べると、より愛着が湧いてきます。

かもめの玉子の特徴は、その形に加えて、カステラ生地に包まれた黄味餡です。ひと口食べたときに広がる、黄味餡のまろやかさがなんともいえません。

餡のメイン素材は、白いんげん豆・白ザラメ・小麦粉・鶏卵。また、まろやかな味に仕上がるよう、従来のカステラにはあまり用いない、マーガリンが使用されています。

品のあるほどよい甘さを引き出す白ザラメや、北東北産のキタカミ小麦を使用するなど、素材にとことんこだわって作られています。

黄味餡・カステラ・ホワイトチョコが見事に一体となったかもめ玉子。全国各地に根強いファンがいるのも頷ける味わいですね♪
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