ライター : ☆ゴン

福岡名物「あぶってかも」を知ってる?

「あぶってかも」は福岡市博多の郷土料理で、お店や家庭で普通に食べられている魚料理のことです。昭和に入ってから博多の高級料亭で、なじみのお客に出したのがはじまり。

晩春から夏の終わりまで獲れるスズメダイで作る料理で、福岡ではスズメダイそのものを指す言葉でもあります。

あぶってかもとはどんな料理?食材と味

「スズメダイ」を姿のまま炙った料理

洗ったスズメダイに塩を多めに振り、頭と内臓、ウロコを取らずにそのまま、真っ黒になるまで焼いた料理が「あぶってかも」。塩をして時間を置いたり、ひと晩干したりすることもあるそうです。

スズメダイは東北から南の日本各地、沿岸の岩礁域に群れをなして生息していて、木の葉のような形をした体長12~15cmほどの魚。名前の由来は目がスズメに似ているからや、スズメのように小さい、群れているからなどといろんな説があります。

あぶってかもの食べ方とその味わい

最近では一夜干しや唐揚げにして、食べやすくしているお店もありますが、丸ごと塩焼きにしてかぶりつくのが一番の醍醐味。

背中の縁側を外してそこからかぶりつくと、脂がのった身のうま味とパリパリしたウロコの塩味が、口の中いっぱいに広がります。中骨だけ残して、苦みのある内臓と頭も食べるのがおいしい食べ方です。

あぶってかもの不思議な料理名の由来

ユニークで不思議なこの料理名の由来には、ふたつの説があります。魚を焼いて(炙って)かぶりつくことから、「炙って噛む」がなまったとする説。

もうひとつが、焼くと脂がのった身がおいしくて、鴨肉の味に似ていることことから、「炙った鴨」が転じたとする説です。いずれにしても本当のところは定かではありません。

あぶってかもは福岡でしか食べられない?

スズメダイは身が少なく小骨が多いことから敬遠され、福岡以外の全国各地の市場で、商品として出回ることはほとんどありません。そのため網にかかっても、価値のない魚として漁師に捨てられてしまうのです。

一方、九州対岸の山口や四国の一部、対馬などでは、漁師や地元の人が自分たちで食べるためだけに、消費しているとも言われています。

初夏の博多であぶってかもを食べよう♪

スズメダイは産卵期を前にした、初夏が一番おいしい旬とされます。この季節になると博多では、朝に水揚げされたスズメダイにたっぷり塩を振り、夕方には魚屋さんやスーパーで「あぶってかも」として販売されることもあるそうです。

暑い季節に博多を訪れる機会がありましたら、ぜひ一度あぶってかもを堪能してみてください。
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