ライター : dressing

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メディアを賑わす人気カレー店が、飯田橋に新店を“間借り”でオープン!

東京・秋葉原に本店を持つ人気カレー店『カリガリ』が2018年9月、飯田橋に『飯田橋カリガリ』をオープンさせた。
『カリガリ』は“おもしろいカレー店”として、度々メディアに取り上げられている。たとえば、2011年には「インド人完全無視カレー」という商品名のレトルトカレーを開発して話題となったり、“大人の文化祭”と称してライブハウスを貸し切って、『カリガリ』のスタッフが歌ったり、演劇したりする「カリガリフェス」を開催したりしている。 このように、飲食店の枠を超えた活動をしているカレー店が新店舗を開いたのだ。

人気トッピング全部のせ「アキバ盛りカレー2」が話題!『飯田橋カリガリ』

『カリガリ』は、香辛料の辛みとハーブの香り、ココナッツミルクの甘みが融合したスープ状の「タイカレー」をベースにしたオリジナルカレーを提供する。
『飯田橋カリガリ』のカレーメニューは3種類のみ。ベーシックは「カリガリカレー」(写真上)。チーズのような甘い香りが漂うカレーソースは、一般的なサラサラとしたタイカレーとは異なり、とろりとしたテクスチャー。 カレーソースは、豚肉や鶏肉、タマネギ、チーズ、ニンニク、ショウガなどを圧力鍋で約15時間じっくり煮込んで作る。すべての具材は完全に煮溶けており原形はない。そこへさらに、クミンやコリアンダー、ターメリック、チリ、シナモンなどのスパイスとココナッツミルクを入れて味を調える。素材のうまみが凝縮されたソースは、複雑だがまとまりのよい濃厚な味わいだ。 ご飯は日本米を使用し、ターメリックパウダーとハチミツを一緒に少し硬めに炊くことで、ほんのり甘く仕上げている。
一番人気は「アキバ盛りカレー2」(写真上)。「カリガリカレー」をベースに、写真右上・奥から左回りに煮卵と魯肉飯(ルーローハン)の肉、高菜、タマネギのアチャール(酢漬け)、ポテトサラダ、パクチー、そしてカレーソースの上にカスリメティ(スパイスの一種)がトッピングされている。 カレー界で最近話題のお店に見られる魯肉飯やカスメリティなどのトレンドを意識したトッピングと、ポテサラや煮卵など誰もが好む王道のトッピングを全部のせた豪華な一皿だ。
魯肉飯の肉は山椒が効いていて、タマネギのアチャールはチリパウダーが効いた辛めの味わい。トッピングもご飯の量も多く、ボリューム満点である。食べ方に決まりはなく、好きなところから食べていい。
『飯田橋カリガリ』は店内が広く、席数が約40席もあるので、複数人でのランチ利用も可能。日によっては、アコースティックライブイベントなども実施している。ちなみにワンオペ(1人の従業員がすべての作業を行う)のため、水などはセルフサービスとなっている。注文はカウンターで伝えるスタイルだ。

『飯田橋カリガリ』は間借りスタイルをとる。そのワケとは?

『飯田橋カリガリ』の営業は、平日の昼間のみ。というのも、イタリア料理店『ビストロクオン』の場所を間借りしているからだ。
今、カレー界では間借りスタイルが流行している。店を出店するためのステップとして、まずは間借りからチャレンジし、そこで成功したら実店舗をオープンする流れだ。 しかし、『カリガリ』はその逆を行く。 秋葉原に実店舗を持っているにもかかわらず、2018年6月には新宿に間借り店舗を出店。そして今回の飯田橋店だ。なぜ、間借りなのだろうか? 「経営のノウハウはあるとはいえ、新しくお店をオープンするには莫大なお金がかかり、リスクも大きい。だけど間借りだったら、最初にかかる費用は看板代程度。また1カ月ごとの更新なので、撤退もしやすい。車もシェア、自転車もシェア、店もシェアする時代が来ると思う」――こう話すのは、『株式会社カリガリ』の代表取締役・二木(ふたき)博さんだ。
▲『株式会社カリガリ』の代表取締役・二木博さん そもそも、なぜ二木さんがカレー店を始めたのか。きっかけは、2000年代初頭までさかのぼる。 当時バンドマンをしていた二木さんは、父親が経営する銀座の老舗クラブでボーイとして働いていた。お客さんからフードメニューの要望があれば、二木さんがパスタやカレーなどのメニューを作っていたそうだ。そこで、生まれたのが今の「カリガリカレー」の原型となるエスニックカレーである。
▲「カリガリカレー」は意外にも歴史が長い 「銀座のクラブで、家庭で食べるような日本のカレーを出すのも雰囲気が違うかなと思い、タイカレー風のカレーを作ってみたんです。だけど僕自身、タイカレーのようなシャバシャバしたカレーが好きではなくて……。それでカレーソースにチーズ溶かしたり、じゃがいもを煮溶かしたりするなど日本風のアレンジを加えていったら、いつの間にかオリジナルのカレーが完成しました。その頃から、お店を経営しているお客さんから『うちでランチをやらないか?』と誘われるようになりました」(二木さん) “それだったら自分で店を出してみよう”と決意。なんとか資金調達をし、内装も自分たちで手掛けるなどして、2005年に渋谷にカレー専門店『カリガリ』をオープンさせた(現在は閉店)。 「渋谷店を始めた頃は、大手チェーン店ほどの価格帯で自分のカレーを作って、店舗数を増やしていくぞと思っていましたが、ある程度やっていくと、システム的に無理だということがわかりました。あの巨大なチェーン店にはどうやっても勝てない」と、二木さんは苦笑する。
▲『飯田橋カリガリ』の店内様子 その後も、立ち食いスタイルの田町店やテイクアウト専門の丸の内店(現在どちらも閉店)など、さまざまな営業形態を模索するなかで目を付けたのが「間借り」というスタイルだった。 「店舗を持つことにこだわらなくてもいいのかなと。間借り営業で、気がついたらどの街にも『カリガリ』のカレーが食べられるとなったら、若かりし頃の僕の夢がおもしろい形で叶うんじゃないか」と話す。ユニークな活動を続ける『カリガリ』ならではの発想力だろう。

間借り営業に込められた、「働き方改革」の想い

そして間借り営業に託された想いは、それだけではない。実は、「働き方改革」の意味も込められている。
▲『飯田橋カリガリ』の店内様子 「昼間の間借り営業だったら、たとえばお子さんのいる主婦の方が、保育園にお子さんを預けたあとに15時頃まで働いて、そのあと保育園に迎えに行くこともできると思うんですよね。『カリガリ』だったら、そもそも昼間しか営業していないので」と二木さんは話す。そして、こう続ける。 「僕が昔バンドマンだったこともあって、歌手や役者、声優、アイドル活動などをしている人たちを応援したいんです。そういう子たちの多くは、売れるまでアルバイトで食いつないでいることが多く、“働く=時給”というイメージになっていて、働くのが嫌になっている。それは、ちょっと損だと思っているんです。 そこで『カリガリ』では、お客さんに良い接客をするとか、早めに準備してきれいにするとか、自分の努力によってお客さんを集めてくれたら、売上のロイヤルティ払いをしています。それだけで生活できるようになれば、大きな社会から見たら小さいことだけど、働き方改革になるんじゃないかなと思っています」(二木さん)。
▲店舗入り口の様子 そうした夢を追う人たちも働きやすいように、『カリガリ』のカレーはセントラルキッチンで作り、食の安全面や味のクオリティを確保している。今後も、ランチ需要のあるビジネス街を中心に、間借りスタイルの店舗を増やしていくという。 「一緒に間借りの『カリガリ』をやってみたい人や店舗を貸したいという方がいれば、ぜひ連絡ください!」と二木さん。 間借り営業の裏には、“店舗を増やして、自分のカレーを広めたい”という若かりし頃の店主の夢があった。間借り店として、どの街でも『カリガリ』のカレーが食べられる日は、近いかもしれない。 【メニュー】 アキバ盛りカレー2 1,000円 カリガリカレー 800円 ※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

飯田橋カリガリ

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