ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

入手困難!? 日本酒「飛露喜(ひろき)」の魅力

廃業を考えるほどの状況から一転、入手するのがむずかしいほど人気の日本酒となった「飛露喜(ひろき)」。日本酒ブームをけん引したうちのひとつとも言われています。

「飛露喜」は、甘味・旨味・香りのバランスがよく、どんな料理にも合わせることができるお酒で、食中酒としても存在感抜群です。誕生の背景には、実は隠れたエピソードがあるのです。

醸造元は「廣木酒造」

「飛露喜」の醸造元は、江戸時代中期より続く酒蔵「廣木酒造本店」。かつて宿場町として賑わいをみせた、福島の会津若松と新潟を結ぶ越後街道沿いの会津坂下町(あいづばんげまち)にあります。

米どころでもあるこの地は、人口は1万6千人を切る小さな町ですが、古くから酒造りが盛んで、現在でも3つの蔵が酒造りに勤しんでいます。

確かな実力で人気急上昇!

1996年、酒造りの最高責任者である杜氏(とうじ)を約20年間務めた方が高齢のため引退。そこで元々サラリーマンだった廣木健司さんが、先代である実父と酒造りを始めます。ところがわずか1年後、実父が逝去。心の準備もないまま9代目になられたのです。

無濾過生原酒

この“大変な状況”に、テレビ局の取材依頼がきます。廃業するつもりだった9代目は不本意な取材内容ながらも記録のために取材を受けたのだとか。しかし、この放送がきっかけで地酒専門店として有名な「小山商店」から連絡が!ようやく見えた販路でした。

試しに持っていったお酒は酷評でしたが、これをきっかけとして「自分が好きな白ワインのような酒を造りたい」と、新しい生酒を造りあげました。

新しいお酒は瞬く間に日本を席巻することになります。これが絞ったままの原酒を、濾過や熱処理など一切しない「無濾過生原酒」の誕生秘話です。

ラベルに込められた愛

ラベルの文字は9代目の母による手書きの文字。最初は1枚1枚、手書きをしていたと言います。今はそれが追いつかなくなるほどの人気で、ラベルはプリントでおこなわれていますが、温かみのある素敵なラベルには家族の愛情が感じられますね。

飛露喜(ひろき)には定番・限定酒が存在する

「飛露喜」には、通年販売されている定番酒と季節よって造られる限定酒があります。日本各地のお米を使う期間限定商品もあるので、それぞれの味わいの違いを楽しんでみてはいかがですか?「飛露喜」は、どの種類も年間を通して入手がむずかしいと言われていますので、見つけたらぜひチェックしてください。
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