ライター : shucyan

フードアナリスト / 江戸ソバリエ / ソルトマイスター

「せいろ蕎麦」と「ざる蕎麦」の違い言える?

大晦日の年越し蕎麦を始めとして、日本人にはとてもなじみ深いお蕎麦ですが、「もり蕎麦」「せいろ蕎麦」「ざる蕎麦」の3つの違いがよくわからない方が多いのではないでしょうか。それは蕎麦の歴史と関係があります。 地方では昔から太打ちの田舎蕎麦が食べられて来ました。製粉技術が現代のように洗練されておらず手挽きの石臼による挽きぐるみでは、そば殻などのつながりの妨げとなる異物も多く、細く打つと千切れてしまうのです。

せいろ蕎麦とは

そもそもなぜ「せいろ」?

江戸時代に小麦粉をつなぎに使ったニ八蕎麦(にはちそば)の技術が確立されるまで、十割蕎麦はゆでるとちぎれやすく、それ以前の江戸では和菓子屋さんがお饅頭を蒸す片手間に蒸篭(せいろ)で蒸し蕎麦を出していました。

大工や荷役労働者(にやくろうどうしゃ)、運搬の仕事など肉体労働が多かった江戸では、正式な食事は白米を炊いたご飯を食べて、蕎麦は間食や夜食として食べられていたのです。ススっと短時間で食べられるお蕎麦は、気が短くて、ええ格好しいの江戸っ子の気風に合っていたのでしょう。

ざる蕎麦とは

ざる蕎麦を始めて出したお蕎麦屋さんは、江戸時代に深川にあった『伊勢屋』というお店です。海苔をのせ始めたのは明治以降で、専用の汁を使っていたそうです。今ではざる汁を別に作る店は少なくなっており、海苔の有無だけが「もり」「ざる」の違いとなっているようです。

「ざる蕎麦」と「せいろ蕎麦」は同じもの?

「ざる」も「せいろ」も調理道具ですね。今では本来の役割を越えて蕎麦を華やかに盛る器として使われています。塗り物の器にスノコを敷いて盛るスタイルが現代のせいろ蕎麦の姿ですが定義は曖昧になりつつあり、ざるに盛っても「せいろ」と称しているお店もあります。

もり蕎麦は、また別のもの?

もり蕎麦の由来

小麦粉をつなぎに使うニ八蕎麦の登場で、グルテンの恩恵によって細切りにしても切れずにゆでることが可能になりました。ところが当時は現代のように、つゆは猪口(ちょこ)につけるのではなく皿盛りにした蕎麦の上からまわしかける「ぶっかけ」スタイルでした。ざるを器に使うようになったのは、江戸中期以降のことです。

結局3つの蕎麦の違いって?

改めて整理してみますと、もり蕎麦は皿盛りが語源ですが現代では塗り物のせいろに盛られることが多く、基本的に海苔は掛けません。せいろ蕎麦は蒸し器のせいろに盛られたのが語源ですが、近年は器の種類は問わなくなって来ていて、手打ちの専門店によく使われる名称。 ざる蕎麦は、大衆的なお店では海苔掛けそばを指しますが、手打ちの専門店などでは海苔は掛けずに本当のざるに盛るお店もあります。
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