ライター : 堀田 らいむ

webライター

ウソ?ホント?電子レンジは危険らしい

電子レンジは、英語圏でMicrowave Oven(マイクロウェーブ オーブン)と呼ばれており、電磁波(電波、マイクロ波とも呼ぶ)で食品を加熱する調理器具です。そして、非常に便利で、今やなくてはならない調理器具ですね。 でも、おそらくは多くの人が、電子レンジの使用を不安に思うようなウワサを見聞きしたことがあるはずです。「電磁波は危険!」とか、「ビタミンなどの栄養素が破壊される!」とか。では、実際のところはどうなんでしょう。今後安心して電子レンジを使うために、ちょっと勉強してみました。

電子レンジの危険性って?

そもそも、電子レンジの何が危険だと言われているのでしょう。大きく分けて、電磁波そのものに対する不安と、調理された食品に対する不安に大別できるようです。以下にまとめてみました。 電磁波の人体への影響 ・電磁波は健康を害する ・電磁波は放射線の一種? ・電磁波の漏れが心配。電子レンジの漏れ対策は? 調理される食品の栄養素 ・電磁波で食品の分子構造が変化し、栄養価が減少する。酵素は失われている。 ・電磁波に細胞や遺伝子が耐えられない。さらには毒性が生じる。 ・電磁波では芯まで火が通らない ・電磁波で樹脂容器が加熱され、ホルモン異常が起きる

かつてロシアでは使用が禁止された

1976年、旧ソビエトが電子レ ンジの使用を禁止し、ベルリンの壁崩壊後に解かれたというエピソードがネット上に散見されます。この情報がどのように拡散したのか、ソースを辿ってみましたが、公の情報はありませんでした。 電子レンジの原理を発見したパーシー・スペンサーがアメリカの大手軍需品メーカーに所属していたことと何かしら関係があるかもしれませんが、定かではありません。

そもそも、電子レンジの仕組みとは

ちょっと説明がむずかしくなりますが、がんばって読んでください。 電子レンジとは、発振器から電磁波を放射して庫内に高周波電界をつくり、電界に置かれた誘電体(食品)を誘電加熱する装置です。高周波電界と同じ周波数で食品の双極子が揺さぶられて誘電損失を起こし、損失が熱に変わることで食品自体が発熱するというメカニズム。 電磁波は金属の鏡面で反射し、プラスチック、紙、陶磁器をすり抜けて食品に届きます。均一な電界になるように、ターンテーブルやアンテナが回転したり、電磁波が乱反射する構造になっています。 電子レンジは周波数2.45GHzの電磁波を使っていますが、これは国際電気通信連合によって産業・科学・医療用に割り当てられた周波数帯です。他にも無線LAN 、ブルートゥースや医療機器などがこの周波数帯の電磁波を使用しています。

実際、電子レンジは危険なのか

電磁波の悪影響の心配はなさそう

私たちの周りにはたくさんの電磁波が飛び交っています。FM放送の周波数は70~100MHz、地デジ放送が400~700MHz、衛星放送はほぼ12GHzです。携帯電話は700MHz~3.5GHzで、電子レンジの周波数2.45GHzとほぼ同様の周波数帯です。 しかも、電子レンジ内の電磁波は金属の壁に反射しますが、電子レンジの外に強い電磁波が漏れることはありません。ガラスがはめ込まれたドア部分にも金属のシールドが施されています。さらに、電子レンジは電波法令で管理されています。 電子レンジから漏れてしまう電磁波の強さに対する日本及び米国の安全基準は、電子レンジから5㎝の位置で5mW/cm2(電力密度)以下と定められており、実際に測定してもそれを越えることはありません。さらに電子レンジから50cmも離れれば、電力密度は1/100以下になる実験結果もあります。安心してください。

本当に栄養素は減るのか

野菜に含まれるビタミンには、熱に強いもの(ビタミンAやEなど)と、熱に弱いもの(ビタミンCやB1など)があります。できるだけ熱に弱いビタミンを壊さないように調理するには、加熱時間を短くするのがポイントです。 ブロッコリーとほうれん草を使った実験の結果をみると、茹でるよりも電子レンジで加熱したほうが、ビタミンCの残存量が多いことがわかります。電子レンジは加熱時間が短いこと、水溶性のビタミンCが茹で汁に流れ出てしまったことが原因だと考えられます。 また、海外の実験ですが、電子レンジで調理した食事とふつうに調理した食事をマウスに食べさせて比較したところ、健康状態に差が出なかったという報告もあります。
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