ライター : 堀田 らいむ

webライター

ケチャップは英語?

できあがった料理にかけるものとしても、調理の途中で味付けに使うものとしても、もはや家庭に欠かせないものになったケチャップ。今はカゴメなど日本のメーカーのものがスーパーに多く置かれていますが、カタカナである以上外来語である可能性が高いですよね。そもそも「ケチャップ」とは何語なのでしょうか? 南米原産のトマトがヨーロッパ大陸に伝わり、イタリアでトマトソースが作られるようになったのは18世紀と考えられ、アメリカでも19世紀後半にはトマトケチャップが一般家庭向けにも販売されるようになりました。 現在も最大のトマトケチャップ消費国はアメリカで、ハインツやデルモンテなど、世界的シェアを持つメーカーもアメリカに集中しています。もはや、ケチャップはれっきとした英語になっています。

ケチャップは英語。でもイギリスでは通じない?

ケチャップを辞書で調べると、一般的な「ketchup」の綴りのほかに、「catsup」、「catchup」、「katsup」などのものがあります。もともとイギリスにはアンチョビ、マッシュルームやエシャロットなどから作られる「チャップ」というソースがあり、綴りには「ketchup」が使われていました。 元々19世紀後半にアメリカでトマトケチャップが盛んに作られるようになったとき、ケチャップの綴りは「catsup」が使われていました。しかし、ハインツが他社との差別化を図るためにイギリスのソースと同じ「ketchup」の綴りを使い始め、他社もそれに習うように徐々に「ketchup」に表記を変更しました。(今も、catsupと表示してケチャップを販売しているメーカーはあります) その結果、ketchupという言葉は、アメリカではトマトケチャップのことを指し、イギリスではチャップという別のソースを表すという現象が起きたのです。

イギリスでは「tomato sauce」

イギリスでの「ketchup」はトマトケチャップのことを指していませんが、イギリスでももちろんトマトケチャップは使われています。では、イギリスではなんと呼ぶのでしょう?実は非常にわかりやすく、そのまま「tomato sauce」と呼ぶのです。 イギリス本国だけでなく、イギリス連邦であるオーストラリア、ニュージーランドや南アフリカでは、トマトケチャップに類するものはトマトソース(tomato sauce)と呼ばれるようです。これらの国では、瓶入りでトマトソースとして売られているものがケチャップであると、お考え下さい。 最近は、ハインツやデルモンテなどのアメリカ製ケチャップも数多く出回っているので、それらを指す商品名としては通じるようですが、言葉としては使われないそうです。

ケチャップの英語の由来

ketchupの由来

中国南部で塩漬けにした魚の汁で作った魚醤のことを茄醤(ケツイアプ、Ketsiap)と呼んでいたそうで、インドシナ半島やマレー半島でも同様のソースが作られていました。それがイギリスへ伝えられ、ヨーロッパへ広まる過程で、KechapやCetchupなど様々な綴りに変化しました。 前述のように、イギリスでは18世紀前半にアンチョビー、マッシュルーム、エシャロットや香辛料を煮詰めて濾したソースが作られ、ketchupとよんでいたそうです。 他方、アメリカではハインツがトマトケチャップを商品化する際に、Ketchupの綴りを採用したことから、ケチャップはこの綴りが一般的になりました。

tomato sauceの由来

ステーキソースの2大ブランドはいずれもイギリス発祥です。HPソースはイギリスで、A1ソースはアメリカで親しまれています。 HPソースはイギリスのパブやカフェには必ずといっていいぐらい置いてあり、原料はトマト、ビネガー、デーツなどで、シャープな味が特徴です。 A1ソースは沖縄県のステーキハウスでよく見られるソースで、原料にトマト、デーツやタマネギ(ピューレ)などが使われています。こちらもスパイシーなステーキソースです。 どちらも誕生は古く、HPソースは1895年で、A1ソースは1831年とされます。A1ソースの生みの親は、イギリス王ジョージ4世の料理人として働いていたシェフで 、牛肉料理用にジョージ4世のリクエストに応えて作ったソースです。 HPは国会議事堂から命名され、A1はジョージ4世が名前付けたとされます。このように、アメリカでトマトケチャップが流行する前から、イギリスではトマトを使ったソースが普及していました。
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