ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

関西では普通!? 飴にちゃん付け

関西のおばちゃんといえば、おしゃべりが大好きで陽気、アニマル柄の洋服を着ている、そしていつも飴を持ち歩いているというイメージを持っている人はいませんか?ポケットにはいつでも飴が入っている、そんな噂が有名になるほど、関西のおばちゃんの必需品ともいわれているのが飴。
なぜこんな噂が立つのか、それは関西地方へ行ったときに「知らないおばちゃんが親しげに話しかけてきて、ポケットから飴を出してくれた」とか、「マスクをしていたら、知らないおばちゃんがのど飴を分けてくれた」とか、飴と関西のおばちゃんにまつわるエピソードは多く存在するのが原因のよう。
そんな関西のおばちゃんとは切っても切れない飴なのですが、関西では、おばちゃんに限らず「飴あげる」ではなく、「飴ちゃんあげる」という風に飴にちゃん付けをするのが日常的だといいます。しかしなぜ飴にちゃんをつけるのでしょうか。加えて、なぜいつも飴を持ち歩いているおばちゃんが多いのでしょうか。

「飴ちゃん」と呼ばれる理由

関西のおばちゃんの必須アイテムと言われている飴ちゃんですが、そもそもなぜ飴にちゃん付けをするのか?関西以外に住んでいる人にとってはやはり不思議ですよね?実は、ただ親しみをこめて「飴ちゃん」と呼んでいるわけではないようです。飴ちゃんと呼ばれるようになったのには、さまざまなと理由があるようですが、いったいどんな理由でしょう?

「雨」と区別するため?

まずひとつめは、「雨」と区別するためという説です。「雨」と「飴」、同じ発音の「あめ」であるため、それぞれを間違わないように区別して、飴のほうを「飴ちゃん」と呼ぶようになったという説があります。冷静に考えると、文脈や話の流れで区別しなくても分かる気もしますが、なんだかかわいらしいエピソードですね。

食べ物に「さん」をつける風習から派生?

関西では食べ物を中心に「お芋さん」、「お粥さん(おかいさん)」、「お豆さん」など、食べ物に「お」や「さん」をつける習慣があります。これは京都の御所言葉から広まったもので、宮中の女性たちの女房言葉が由来になっており、尊い食べ物に「さん」をつけていたのが始まりなのだとか。
飴についても、もともとは「飴さん」と呼ばれていたのが、関西の人に飴を携帯する人が多く、お菓子の中でも飴がより身近な物であることから、飴だけが「さん」よりも親しみやすい「ちゃん」を付けられ、「飴ちゃん」と呼ばれるようになったのではないかという説があります。

飴を常に持ち歩く理由

テレビ番組でも取り上げられた!関西のおばちゃんは飴ちゃんが大好き

関西のおばちゃんは必ず飴を持ち歩いている、そんな噂もありますが根拠はるのでしょうか?関西テレビ「たかじん胸いっぱい」で、以前日本の5大都市で、どれくらいのおばちゃんが飴を持っているが調査した企画がありました。その企画の結果は、東京では9%だったのに対して、大阪では84%。この結果をみると、確かに関西のほとんどのおばちゃんが飴ちゃんを持っている様子が伺えますよね。
関西では、持っていない人の方が多い飴ちゃん。しかし、なぜ常に飴ちゃんを持ち歩く習慣があるのでしょうか。

飴ちゃんはコミュニケーションツール

実は、飴ちゃんをコミュニケーションのツールとして考えている人が多いのだそう。知らない人にもどんどん渡すこともあるのだとか。
実際、電車やバスの中では、隣の知らないおばちゃんから飴ちゃんが回ってきてもらったという話も珍しくないそう。知らない人にも飴ちゃんをあげることで、相手の心を開き、すぐに打ち解けて話しやすくなることも。全く知らない人に突然握手やハグをするのは難しいけれど、飴をあげるいうのは和やかなムードが生まれ、気を許しやすくなることもあるのかもしれませんね。
また、飴を持ち歩く関西のおばちゃんは、同年代だけに限らず、さまざまな年代の相手とコミュニケーションを取れるように、色々な味の飴ちゃんを持っている人も多くいるのだとか。小さい子どもにはミルクやフルーツ味、大人にはコーヒーや黒糖味など、出会う人の様子によって使い分けているよう。調べてみると実は奥が深い「飴ちゃん」なのですね。
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