ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

マルサラ酒って聞いたことありますか?

マルサラ酒って聞いたことありますか?お菓子作りに使うお酒としてご存じの方もいらっしゃるかもしれません。ワインに詳しい方もご存じでしょう。イタリアのシチリア島で古くから愛されるマルサラ酒は、実は偶然できあがったお酒なのです。 今回は、そんなマルサラ酒についてご紹介したいと思います。料理に使う場合のレシピと購入の仕方もご紹介しますよ。

マルサラ酒とは

マルサラ酒とは、イタリアのシチリア島で生産される酒精強化ワインで、別名「マルサラワイン」ともいわれます。 酒精強化ワイン(しゅせいきょうかワイン)とは、ワインにアルコール(酒精)を加えてアルコール度数を高めたワインのことです。気温が高く、温度管理が難しい地域で腐らないようにするために工夫されたワインで、船便による長期の輸送のために考えられました。 酒精強化ワインは、スペインのシェリー、ポルトガルのポートワインとマデイラワインを3大酒精強化ワイン、そしてマルサラワインを含めたものが4大酒精強化ワインと呼ばれています。 このワインは、アルコール分がある量を超えると酵母が止まり、発酵による糖の分解がストップする状態を使って作られます。加えるアルコールは、ブドウ原料のブランデーが使われることが多いよう。通常のワインのアルコール度数は10~14度ですが、酒精強化ワインは18度前後になります。 またマルサラ酒は、ブドウの品種や育てた場所、作り方に至るまで伝統の方法で行うことが決められています。

歴史、発祥

実は、マルサラ酒は偶然生まれたそうです。18世紀の大航海時代にイギリス人貿易商ジョンウッドハウスがシチリア西岸部を航海中に悪天候に見舞われ、シチリア西岸部の街「マルサラ」に避難することになりました。 このマルサラのレストランで飲んだワインが当時イギリスで流行していたポートワインやマデラワインに似ていたため、イギリスで売れるのではないかと考え、当時の数ヶ月もの月日がかかる航海でも腐らないようにとアルコールを加えたのが始まりだそうです。まさに、偶然の産物ですね。 しばらくの間、マルサラワイン市場は、イギリス人によってコントロールされていましたが、1833年にイタリア人で地元の大富豪だったヴィンチェンツォ・フローリオ氏が参入。当時から近代的な考えのもと、輸送に便利な海に近い土地に醸造所を建築したり、イタリア国内外にマルサラを紹介していき、現在では、フローリオ社がマルサラワインの最大手ワイナリーとなっています。

マルサラ酒の種類

マルサラ酒は、熟成年数の違いや甘さの違いによってさまざまなタイプに分けられます。 熟成度合によっては 、1年のものはフィーネ、2年はスペリオーレ、4年はスペリオーレ・レゼルヴァ、5年はヴェルジオ、10年はヴニルジネ・ストラヴェッキオと呼ばれています。 また、発酵のどの段階でアルコールを加えるかで甘口・辛口の違いが生まれます。基本的に、未発酵もしくは発酵途中に加えると糖分が多く残るために甘口、発酵後に加えたものは辛口となり、辛口は「セッコ」、半辛口は「セミ・セッコ」、甘口は「ドルチェ」と呼ばれます。 また、白ワインに「オーロ(金色)」と「アンブア(琥珀色)」、赤ワインに黒ブドウ種であるペッリコーネ、ネーロ・ダヴオーラ、ネレッロ・マスカレーゼを使用した「ルビーノ(ルビー色)」と、大きく3種類のワインがあります。

マルサラ酒の味は?

マルサラ酒はオーク樽という木樽で熟成させて造られるので木の香りやカラメルのブーケ、豊かなアロマを堪能できるワインに仕上がるようです。ほかにもトーストしたアーモンド、ドライフルーツ、柑橘果実、バニラ、蜂蜜、スパイス、甘草などの香りが感じられるそうですよ。 また、辛口はもちろん、甘味が強いデザートワインもあるほか、ティラミスなどのデザートの調理用として使用されることでも有名です。

そもそもマルサラとは

マルサラとはどのあたりの地域なのでしょうか。マルサラは、イタリア共和国シチリア州トラーパニ県にあり、県内最大の人口を保有する都市です。太陽の光を十分に浴びながら育ったぶどうは、ミネラル豊富で糖度が高く、シチリア島内でもっともワインの生産量が多い地域として知られています。
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