ライター : kamomm

「腐っても鯛」とは?

「腐っても鯛」ということわざ、一度は聞いたことがありますよね。 広辞苑でこの言葉を調べると、「本来すぐれた価値を持つものは、おちぶれてもそれなりの値打ちがあることのたとえ。」とあり、大辞林には「本来上等なものは,たとえ腐ってもその品格を失わない。」とあります。 しかし、鯛は魚であり、私たちにとって身近な食べ物。腐って匂えばきっと食べないでしょうし、食べたならお腹も壊すことでしょう。鯛だから腐っても食べるという人は、あまりいないですよね。 腐っても鯛とはいえ、腐っていることに間違いないはず。この言葉、褒めているのかなしているのか、なんとも不思議な表現です。今回は、「腐っても鯛」の語源や由来、なぜお祝い事に鯛が出されるかなど、さまざま調べてみました。

語源・由来

腐っても鯛の語源は、「めでたい」の響きから縁起がよいとされ、仮に腐ったとしても、おめでたい鯛に変わりはないことから由来したとされています。 由来や語源については諸説ありますが、鯛は他の魚に比べて腐りにくく、多少悪くなっても食べられる魚であることから、優れたものは痛んでもそれなりの値打ちを保つことができる例えとして、用いられるようになったとも言われています。

鯛はなぜ「めでたい」?

結婚式や、神仏への奉納、お食い初め(生後100日のお祝い)など、さまざまな祝時のシーンで供される鯛。見た目が立派で美味な魚は他にもあったと思うのですが、なぜお祝いごとの際には昔から鯛が選ばれているのでしょう? 鯛が祝時の定番食材になった理由は、めでたいの語音だけでなく、他の魚に比べて格段に寿命が長いこともあげられます。 個体差はありますが、鯛の寿命は平均40年と言われ、イワシやアジの5〜6年、マグロの10〜15年と比較するとその長さがわかります。ちなみに、高級魚の代表として思い浮かぶフグは10年程度です。 また、鯛の桜色の体が紅白をイメージさせることも理由のよう。 そして、鯛は海の深い場所に生息し、高い圧に耐えられる引き締まった体をしていることから、高タンパク、低脂質の栄養価の高い魚。そのため、生後100日を祝うお食い初めでは、子供の健康へ願いを込め、祝膳のメニューにされています。

実際に腐った鯛は食べられる?

腐っても鯛だとはいえ、実際に腐った鯛は食べられると思いますか? 答えは、腐ればもちろん食べない方がよいです。しかし、鯛は他の魚よりもずっと腐りにくい魚なのは確かなようです。深い海の中で泳ぎ続け体の引き締まった鯛は、体に傷を負ったとしても傷口から細菌が繁殖しにくく、死んだ後でさえもその性質が残るといいます。腐っても鯛というよりむしろ、腐りにくいからこそ「鯛!」といえます。 獲れてから時間が経ったものは生では食べられないにしても、よく水洗いして火を通せば、食べられる期間はかなり長いようです。

目からウロコ!腐った魚を見分ける方法

腐りにくいとはいえ、やはり新鮮なお魚を食べたいもの。スーパーやお魚屋さんで、鮮度の良し悪しを簡単に見極められるポイントをいくつかご紹介します。

魚の身・ウロコを見る

魚は古くなると全体的に茶色く変色し、透明感を失います。ツヤがあり、ウロコがそろっている魚を選ぶとよいでしょう。もし、魚に触れることができるようであれば、お腹のあたりを触ってみて、ハリのあるパツパツとした魚であれば鮮度がよいでしょう。押した箇所が凹んだままの魚はあまり新鮮とはいえません。 スーパーなどでパッケージされているお魚であれば、容器の中に血が流れ出ていないものを選ぶとよいですよ。水揚げから時間の経った魚は身割れし、内臓物が流れ出てきてしまうため、容器に血が溜まりやすくなります。
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