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舌の味覚地図って知ってる?
人は食べ物を口に入れたとき、「甘い」とか「しょっぱい」とか「苦い」とか感じますよね。口の中のどの部分で感じているのでしょう。それは、舌です。では、舌のどの部分で甘味や苦味、酸味を感じるのでしょう。味覚によって、舌に伝わる部分は違うのでしょうか。
味覚地図って知っていますか?舌にも地図があるの?そうではありません。味覚を感じる場所は、舌の先や奥など、舌の部分によって違います。それを地図に見立てているのです。学校の教科書で習った人もいると思いますが、味覚地図について詳しくご紹介します。
味覚地図とは
味覚地図とは、甘味・酸味・塩味・苦味この4つの味覚を、地図のように舌の位置によって表したものです。甘味は舌の先、酸味は舌の横、塩味は舌の中央、苦味は舌の奥で感じているというものです。この話は教科書にも載っていたようですし、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ひと昔前までは、この説が主流でした。
味覚は5つ要素で成り立っている
味覚は、酸味・塩味・苦味・旨味・甘味の5つの要素で成り立っているそうです。それぞれの物質と特徴についてお話します。
酸味は、酢酸やクエン酸などから生じる水素イオン、塩味は、ナトリウムイオンなどの金属系陽イオン、苦味は、カフェインやキニーネなどアルカロイド系物資、旨味は、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、甘味は砂糖や人工甘味料でできています。
また、酸味は新陳代謝の促進と腐敗のシグナル、塩味は体液バランスに必要なミネラルの供給という特徴を持ちます。苦味は毒物の警告と「良薬は口に苦し」ということわざにもあるように、少量なら薬になり、旨味は生物に不可欠なアミノ酸や核酸の供給、甘味はエネルギー源だそうです。
味覚地図は嘘だった?
フロリダ州立大学・味覚嗅覚センターのスティーブンミュンガー教授は、「舌の味覚分布地図は20世紀初期の間違い」だと否定しているのです。味覚地図があると言われていたのは1990年頃までの話で、それは間違いだったのです。生物学系のサイトにも事実のように書かれていたそうですよ。教科書で習ったことが、今になって間違いだったなんて、驚きですよね。
味覚は舌の味蕾という部分で感じていて、味蕾は舌のどの部分でも、まんべんなく味を感じられる仕組みになっているといわれます。人間の舌には約10,000個の味蕾があるそうです。なので、舌の先で甘味を感じるとか、横で酸味を感じるとか、そんなことはありえないということ。疑問に思った人は、試しに舌の先に塩を乗せてみてください。しょっぱいと感じると思いますよ。
味覚地図はこうして広まった
ドイツ語論文に掲載されていた、ヘーニック博士の味覚地図をハーバード大学の心理学者エドウィン・ボーリング博士が翻訳引用し、1942年、「実証心理学の歴史における感覚と知覚」という書籍で一般に広まったといわれています。
特定の味が特定の部位でしか感じられないというのとは大違いである」という情報を、40年後、ボーリング博士によって味覚地図として作成されたのです。
味覚の要素は4つではなく、5つあるということを先ほど書きましたが、5つめの旨味がヘーニック博士の論文には書かれていません。そのため、ボーリング博士が作成した味覚地図には「旨味」が抜けているのです。その間、さまざまな研究がなされてきましたが、1990年頃まで、誰もこれを否定する人は現れなかった。みんな信じていたんですね。
味を確認するメカニズム
舌の上面には、ざらざらした舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれている小さな突起物があるそうです。その舌乳頭には、有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)、葉状乳頭(ようじょうにゅうとう)、糸状乳頭(しじょうにゅうとう)、茸状乳頭(じょうじょうにゅうとう)の4種類あり、味蕾はその部分に集まっているとか。
舌の奥にあるのが有郭乳頭です。有郭乳頭は舌の付け根あたりに約10個あり、1個あたり数百~数千の味蕾があるそうです。舌の横にあるのが葉状乳頭で、1個あたり十数個、1300個の味蕾を持っています。舌全体にあるのが糸状乳頭、舌を鏡で見たときに白いぽつぽつが見えませんか。それが糸状乳頭です。この部分には、味蕾はないそうです。舌の先端にある茸状乳頭にある味蕾は、1個あたり数個程度といわれています。
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