ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

カレーに欠かせない「カルダモン」

カレーに欠かせない香辛料のひとつ「カルダモン」。料理好きな方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。料理をスパイシーに仕上げるということは知っていても、どのような効果があるのかまで理解している人は少ないはず。そこで、今回はカルダモンの歴史から、その効果や効能、カレー以外の使い方やおすすめレシピまでご紹介します。

カルダモンとは?

カルダモンとは、ショウガ科に属する多年草の一種です。実がまだ緑色で固いうちに収穫します。それらを乾燥させたあとの中に入っている黒色または茶色のゴマ粒大の種子が、私たちがよく知っているスパイスとしてのカルダモンなんですよ。 原産は、インドやスリランカ、マレー半島といわれており、清涼感のあるさわやかな香りとピリッとした辛み、ほろ苦さが特徴です。カレーをはじめ、煮込み料理など、フランスやイタリアなどの欧米よりはエスニック料理に使用されることが多いスパイスです。

カルダモンの歴史

歴史は実に古く、紀元前から生薬や香辛料として今日まで使われてきています。その歴史の古さから「最古のスパイス」ともいわれています。 そもそも、カルダモンという名前の由来はどこにあるのでしょうか。実はヒンドゥー語で、心臓の形をした生薬と呼ぶことからきているそうですよ。様々な病気の治療にも遣われていたことから、古代エジプトでは「聖なる香煙」として神殿での祈祷にも使われていました。 また、古代の人々は常に毒殺の危機にさらされており、王室の医者たちはその際にスパイスのもつ防腐性や殺菌力に注目し、カルダモンをはじめとするスパイスを解毒剤として使用していたそうです。 一見、長細い形をしたカルダモンがなぜカルディア(心臓)の形に似ていると言われているのかは定かではありませんが、解毒剤の働きをして心臓を守るということもなにか関係しているのかもしれませんね。

カルダモンの効果・効能

疲労回復

疲労回復というと、梅干しやレモンなどのクエン酸を含むすっぱいものをイメージする人が多いかもしれませんが、実はカルダモンにも疲労回復効果があるといわれています。 また、心をほぐして精神を落ち着かせることから、精油としてアロマの世界でも使われているのだそうです。こういった精神面も関係し、カルダモンは疲労回復効果があるといわれているのかもしれませんね。

整腸作用

カルダモンのは消化器官の不調を改善し、唾液や胃液の分泌を促して消化を助けてくれる働きがあるとされています。また、腸内に溜まったガスを出してお腹を整えてくれるため、なんだか食欲がないというときや胃の調子が悪いというときにおすすめのスパイスです。 冷房の効いた部屋に長時間いたり、暑さのあまり冷たいものを飲み過ぎて、体調が悪くなりがちな夏こそカレーなどのスパイスの効いたものを食べて力をつけようというのは、こういったことも関係しているんでしょうね。

体温の上昇

スパイスたっぷりのカレーやお茶などを飲むと体がポカポカしてきますよね。カルダモンにもその効果があり、汗をかきやすくするため、冷え性に悩んでいる人や、風邪の引きはじめなどに紅茶に入れて飲むなどすると、体の芯から温まってきます。 ただし、妊婦さんへの安全性は100%確証がもてないようですので、妊娠中の人でカルダモンを摂取したいと思っている場合は、念のため主治医に確認するようにしてください。
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