ふわふわなのにタルト?愛媛銘菓「一六タルト」はサクサクしない伝統和菓子

愛媛の銘菓「一六タルト」は、ロールケーキのようなのにタルトと呼ばれる和菓子。サクサクの生地でもないお菓子が、なぜタルトと呼ばれているのか、気になりませんか?今回、その名前の由来と発祥を調べてみました。読んだあとにはきっと食べたくなりますよ。

2020年4月22日 更新

ライター : kamomm

定番よりも、つい珍しいものを選んでしまうのは ひねくれ者でしょうか……。 モノも食も、ちょっと癖のある方へ近寄りたがり。

愛媛銘菓「一六タルト」

愛媛銘菓「一六タルト」(いちろくタルト)をご存知でしょうか?カステラ生地で、ロールケーキのようにあんこを巻いた、愛媛の伝統的な和菓子です。四国土産として、また地元の人からも長く愛されている、郷土菓子です。

見た目はロールケーキ

一六タルトは、ロールケーキのような見た目ですが、呼び名はケーキではなく、タルトです。一般的にタルトといえば、バターの香りとサクサクの食感が特徴的な、フルーツタルトやチーズケーキタルトなどを思い浮かべますよね。 一六タルトは見たとおり、タルト生地を使ったスイーツではなく、あんこを巻いた和菓子です。なのに、なぜ”タルト”と呼ばれているのでしょうか。その由縁を由来から見ていきます。

一六タルトの由来

一六タルトの発祥は、愛媛県松山市の「一六本舗」。創業が明治16年だったため、一六本舗と名がつき、一六タルトの名前も、店名を冠したもの。 タルトの呼び名の理由については、一六本舗が創業するよりもずっと前の、江戸時代初期までさかのぼります。現在の愛媛県にあたる松山藩の藩主、松平定行公が、幕府の命をうけて長崎へ行った際に、ポルトガル菓子の”タルト”に出会ったことが始まり。 ポルトガル船が来航し、その護衛にあたっていた松山藩主は、そこで出会った南蛮菓子の味に魅了されます。感動したその味と製法を松山に持ち帰ったあと、すぐに菓子職人に作らせたものが、一六タルトの元祖。 松平定行が長崎で口にした南蛮菓子は、カステラ生地でジャムをくるんだものだったそうですが、定行は菓子職人へ、現在のようなあんこ入りのものを、殿様菓子用に作らせたといわれています。 長い間、一六タルトの製法は家伝され、一般庶民に普及したのは明治時代になってから。製法が菓子製造者へ引き継がれ、四国の名産になりました。

一六タルトをタルトと呼ぶ理由

そのあと一六本舗にて商品化される際に、一六タルトと名付けられわけですが、一六タルトをケーキではなく、タルトと呼ぶようになった理由は諸説あります。もっとも有力なものは、”タルト”がケーキを意味する単語だったから。 オランダ語でケーキを意味する言葉に、「taart」(タルト)があり、一六タルトと製法が似ているポルトガルのケーキを意味するのは「torta」(トルタ)といいます、長崎で定行が口にしたケーキは、おそらくこれらの名前で呼ばれていたはずです。

ロールケーキとも違う一六タルト

タルトであってタルトではない一六タルトは、ロールケーキとよく似ていますが、その一方で大きく異なる点もあります。 それは、食べやすい大きさにカットされているかどうか。ケーキ屋さんなどで売られているふつうのロールケーキは、ある程度長さがあり、“一本”と呼べる状態で販売されていますが、一六タルトは違います。 やわらかなスポンジ生地にあんを巻いている一六タルトは、クリームなどを巻いたロールケーキのように上手に切ることが難しいため、食べる人のことを考え、あらかじめスライスされているのが定番です。

一六タルトの味

愛媛で生まれた一六タルトは、今では全国にファンをもつ甘味。カステラ生地にあんを巻いたその味は、控えめな甘さが人気です。あんには柚子風味をしのばせ、お茶うけにぴったりな和菓子に仕上がっています。
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